素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

日本大学アメリカンフットボール部の廃部報道を聞いて

2023年12月03日 | 日記
 悪質タックル問題もやっと収まり、林真理子新理事長のもと改革への一歩を踏み出した矢先の大麻事件。いろいろな情報が錯綜して混乱の極みである。大学内部の事情などはわからないので、このことに関してはコメントしようがない。

 しかし、この問題に関連する報道に接する中で、うまくまとめることはできないモヤモヤ感がよどみに浮かぶうたかたのように浮かんでは消えていく。それらを書き留めておく。

 *罪を犯した場合罰を受けるのは当然であるが、罰は罪を犯した個人に限り、家族や個人が所属する団体に広げてはいけない。小、中、高校生までなら保護者の監督責任が問われるかもしれないが、成人した大学生となれば自己責任だろう。

 *連帯責任は集団の規律を図る手段としてよく使われてきた。江戸時代の五人組制度が最たるものである。江戸時代、安定した年貢の徴収,治安維持,キリシタンの取り締まりを目的として町人も農民も近隣の5戸を単位としてグループを組まされた。

 グループの一員で年貢を納めない者がいた場合はそのグループが連帯責任を負わされる。またグループ内で決まりを守らない者や犯罪者がでたときは,密告を強制され、密告せずにかくまったりすると処罰された。最悪の場合,連帯責任により打ち首になることもあったという。この制度は1597年,豊臣秀吉が治安維持のために下級武士や農民を対象に5人組を組織したことに端を発している。江戸幕府はこの秀吉が作った制度の有用性を知っていたため継承した。と言われている。

 さらに時を戻すと、5人組の雛形ともいえる制度は,7世紀後半から10世紀ころの古代律令制時代に既に存在しているらしい。このときのグループの名称は「五保」といい,同じく5戸を1単位としていて5人組のように徴税や治安に関して連帯責任を負わされていた。

 また、第二次世界大戦中には「隣組」という名前で,戦後は「町内会」という名前で,5人組と同じような仕組みが継続されたというから1500年あまり名を変えつつも受け継がれてきた統治システムである。

 しかし、連帯責任は犯罪の抑止力として働く反面、隠蔽工作をまん延させるという副作用がある。目指すべき社会は、人々が必要に応じて適度に協力し合い,多様な個性を持つ人々が,それぞれの力を発揮しながらお互いを認め合う社会だと思う。「個をより活かす社会」をつくるためには連帯責任というものを無くすことが第1歩となる。

 そのためには、学校に根付く集団主義を改善することが求められる。

*その観点から考えると、アメリカンフットボール部の廃部は間違っている。学校関係者、指導者、部員を含めて今回の問題についてしっかり討論をし、改善点を含め今後の方向性を決めていくべきである。切り捨てご免みたいな処置は、大学生に対して失礼なことだと思う。

*大学生の学校を離れた所における生活面に対しては大学は関与しないというのが普通ではないか。中学校や高等学校でも放課後の生活指導においては学校が関与しなくてもいいのではないかとずっと思ってきた。放課後の事件は基本的には家庭で処理すべきである。

 今後、どのように展開するかはわからないが、注視していきたい。
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