素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

大阪高島屋7階グランドホールで開幕した《川瀬巴水展》へ出向く

2014年02月26日 | 日記
 昨年の12月22日(日)の20:00~21:00、Eテレで日曜美術館『郷愁に染まる風景~版画家 川瀬巴水~』(←クリック)を見た時、久々に心を鷲づかみにされた感があった。番組の最後に「生誕130年 川瀬巴水展 —郷愁の日本風景」の巡回展覧会のお知らせもあったかと思うが忘れていた。強烈な印象だけが心に残っていた。

 幸いなことにこの展覧会の主催がNHKサービスセンターと毎日新聞社なので、年が明けてから新聞紙上にお知らせがよく掲載されるようになった。昨日の夕刊には一面全部使っての紹介があり力が入っていることがうかがえた。招待券のプレゼント企画に募集して外れてしまったが、アサヒメイトのほうに1名無料という特典があったのでつかわせてもらった。

 待ち遠しかったので初日の今日さっそく出向いた。 会場は多くの人でにぎわっていた。代表的な木版作品や写生帖、原画など170余点が展示されていた。日曜美術館ではいくつかの作品にしぼり込んで紹介されていたが、ズラリと並んだ作品を前にすると「旅情詩人」とか「昭和の広重」とたたえられ高い評価を受けていることが納得できた。

 口をポカンとあけて見入っている自分に時々苦笑しながらの鑑賞であった。関東大震災で、家と書き溜めた多くのスケッチを失った失意からの再出発の作品である1925(大正14)年の「芝増上寺」は代表作で3000枚という大ベストセラーあったことにうなづける。
 大阪での開催ということもあってか大阪の風景を描いた作品をまとめた特設コーナーもあり、在りし日の大阪を思い起こさせてくれた。中でも「大坂道とん堀の朝」は好きだ。
   絶筆となった1957(昭和32)年の「平泉金色堂」の中に描かれた一人の雲水(僧)の姿が全国各地を旅し、600点を越す作品を残した巴水に見えた。
 ふとさむしくなりてひたすらにさむしくなりぬ身もだえつゝも洒落云うおろかさ 巴水の写生帖に残された狂歌だそうな。落語の世界の住人のように剽軽で陽気に洒落を飛ばす一方、どこやら寂しい陰があったという。作品の持つ独特の魅力はこのあたりからも来ているように思った。
コメント
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