素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

「人」という字と「H」という字

2014年02月16日 | 日記
 人間関係について相談された。プライベートなことなので詳しくは書けないが、聞いていて1つの言葉が浮かんできた。《相互依存》である。基本的に人間は一人では生きることはできない。程度の差こそあれ相互依存関係の中で生きているのである。そのことを武田鉄矢演じる金八先生は「『人』という字を見てごらんなさい。お互いに支え合っているから人なんだ。」と諭した。なるほどうまく言ううものだと共感した人も多かったように記憶する。ところが先日「人」の関係で支え合うのはよくない。と言った人がいた。仕事をしながらつけていたテレビから聞こえてきた。神戸のスイーツについてのリポートで伝説のパティシェとその弟子たちの絆の話であった。ながら視聴だったので記憶はあいまいなのだが『「人」ではだめなんだ』というくだりは印象に残っている。なぜダメかというと「人」という字の支え合いは一方がとれると他方は倒れるという。師弟の関係も寄りかかりでは駄目で徹底して自立を目指して鍛えていくという。その関係をイメージしたのが『H』という字。しっかり自立したもの同士がつながることが大切だと強調していた。福沢諭吉の『独立自尊』につながるとも思った。
 
 そんな話を交えながら親と子、夫婦、友人、教師と生徒、コーチと選手などの関係を《相互依存》になっていないかという観点で見直すと解決の糸口が見つかるかもしれないということを話して別れた。

 今日の《日曜クラブ》の海原純子さんの「新・心のサプリ」では«「3次の隔たり」の効用》というタイトルで人間関係の妙について書かれてあった。人は友人が禁煙すると自分も禁煙することが多いという。ある人がたばこをやめると、その友人、友人の友人、友人の友人の友人へと波及効果が拡がるというハーバード大学のクリスタカス教授の研究を紹介している。これを教授は「3次の隔たり」と名付けたのだが、このことは禁煙行動だけではなく肥満や摂食行動ともかかわるとされている。友人が太ると自分も太る可能性があるという。ジムなどで見ているとその逆の伝染があるのではと思うことがある。個々の体重管理への取り組みが知らず知らずの間に伝わってお互いに支え合う関係ができているといってよい。

 また、海原さんはこの「3次の隔たり」は感情とも関わっているのではという。気分も人から人へと伝わる。被災地での心の健康サポート事業に関わる中でまわりに温かい思いの人を増やすことにより、孤独な人へまわりから少しずつ温かさを伝えていく忍耐強い取り組みが必要不可欠という思いを強くしたという。

 自分自身が楽しく生きることが知らず知らずのうちにまわりにもその気分を伝えていくのだと考えれば何となく幸せな気分になれる。
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