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かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

日比谷~霞が関(5) 財務省(旧大蔵省)/千代田区

2017-09-07 | 東京の近代建築

かつては霞ヶ関官庁街には昭和戦前期に建てられた庁舎がずらりと並んでいましたが、現存するのは財務省と文化庁(一部保存)だけになってしまいました。
外壁はタイル仕上げで装飾はほとんど見られず実用的で簡素な官庁建築。
近代建築としては面白みに欠けますが、唯一の見どころはエントランスの大小3連アーチ。


■桜田通りに面したファサード



■中央玄関を入ると中庭に抜けられます




■財務省(旧大蔵省)/千代田区霞が関3-1
 竣工:昭和14年(1939)
 設計:大蔵省営繕管財局
 施工:大倉土木
 構造:SRC造8階
 撮影:2017/08/11


日比谷~霞が関(4) 中央合同庁舎六号館赤煉瓦棟(法務省旧本館)/千代田区

2017-09-06 | 東京の近代建築

皇居側から桜田通りを官庁街へ入ると、すぐ左手に巨大な赤レンガの建物が姿をあらわします。
このあたりには警察、検察、裁判所など法曹関係の機関が集中していますが、法務省旧本館、通称赤煉瓦棟はその圧倒的存在感で霞が関官庁街のランドマークになっています。
明治政府は明治19年(1886)「官庁集中計画」に着手、ドイツから建築家(エンデ&ベックマン)を招きました。
ただ彼らの計画案はスケールが大きすぎ、予算不足と計画推進者である時の外務大臣井上馨の失脚により、司法省と大審院が建てられた時点で計画は頓挫しました。
幸いにも2棟の建物は戦災を免れましたが、昭和51年に最高裁判所(旧大審院)が取り壊され、旧司法相だけが唯一現存する明治官庁建築の遺構として霞が関に往時の威容を誇っています。


■赤レンガに白い石材のコントラストが美しいドイツのネオ・バロック様式の壮麗な外観


■このスケールでも当初の計画よりはかなり縮小されたようで、まさに国の威信をかけた大事業でした







■戦災で大きな被害を受けましたが、1994年創建時の姿に復元され重要文化財に指定されました



■中央合同庁舎六号館赤煉瓦棟(法務省旧本館)/千代田区霞が関1-1-1
 竣工:明治28年(1895)
 設計:エンデ&ベックマン
 施工:直営
 構造:煉瓦造地上3階、地下1階
 撮影:2017/08/11
 ※国指定重要文化財

 


日比谷~霞が関(3) 法曹会館/千代田区

2017-09-03 | 東京の近代建築

日比谷公園の西側、巨大ビルが立ち並ぶ官庁街の北の端お堀沿いに建つこじんまりとした建物です。
小さなとんがり屋根の尖塔が印象的でロマネスク風ですが、タイル張りの外観は幾何学的な平面で構成されています。
彫りの深い濃厚なゴッシク様式の日比谷公会堂に対し、爽やかなあっさりした外観はモダニズムへの転換期の作品です。
四角四面の真っ白なトーフ建築(インターナショナルスタイル)に移行するまでの、様式とモダニズムがほどよくミックスされた、品の良さが感じられる建築です。


■淡い色のタイル張り外観はすぐ隣の赤煉瓦の旧法務省とは対照的です




■法曹会館/千代田区霞が関1-1
 竣工:昭和11年(1936)
 設計:藤村朗(三菱地所)
 施工:竹中工務店
 構造:RC4階
 撮影:2017/08/11