かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

半田の看板建築(愛知県半田市)

2012-07-12 | まち歩き

半田の古い町並みが残る本町界隈で見つけた看板建築です。
和風の建物のファサードに洋風の壁面を立ち上げ、道路側からは洋風の建築に見えるようにしてあります。
壁面の幾何学模様の装飾が、いかにも戦前昭和モダンな時代の雰囲気を醸し出し、半田の当時の街角の様子を現代に伝えてくれます。


■道路側のファサードは二軒に分かれていますが、瓦屋根がのぞく和風部分はつながっている様子



■看板状の薄い壁を建物正面にくっつけただけの様子が良く分かります
 
撮影:2012/05/04


日の出食堂(愛知県半田市)

2012-07-11 | まち歩き



JR半田駅東の銀座本町三丁目の交差点にあるレトロな食堂。建築年は不明ですがそのデザインから戦前ものと思われます。
外壁は石張り風で、ファサード上部と2階の軒下のいわゆる「ラーメンどんぶり模様」の装飾がとてもユニークです。
一度見たら忘れられない、印象に残る建物です。(撮影:2012/05/04)


天埜家洋館(愛知県半田市)

2012-07-10 | 知多の近代建築

亀崎駅の南、国道366号線沿いの緑に囲まれた広大な敷地に天埜酒造社長の邸宅、天埜家洋館があります。
知多半島は気候風土と水質、海運にも恵まれ、江戸から明治にかけて醸造業が非常に盛んで、28の業者が酒造場を経営していました。
戦後は酒類の多様化により日本酒の売り上げは激減、亀崎の酒造会社も次々に廃業し、天埜酒造は亀崎で営業する最後の酒造会社になりました。
天埜家洋館は酒造業の全盛期の明治期に建てられた洋館で、内部には当時の繁栄を物語るかのようなマントルピースや水洗式のトイレなども現存しています。

◆天埜家洋館/愛知県半田市亀崎町
 竣工:明治34年(1901)
 構造:木造平屋建
 撮影:2006/06/04
 


■深い木立に囲まれた天埜家洋館玄関


 


亀崎駅~JR東海 武豊線(愛知県半田市)

2012-07-09 | 木造駅舎の旅

明治19年(1886)武豊線開通時に開業した亀崎駅は「日本最古の現役駅舎」として有名で、その年号を記した国鉄時代の建物資産標も残っていますが、開業時の駅舎は焼失しているという説もあり、正確な年代は確定していません。
いずれにしても現役最古級の駅舎ということは確かです。

◆亀崎駅~JR東海 武豊線/愛知県半田市亀崎常盤町2-156
 竣工:明治23年(1890)?~参考:「日本の近代土木遺産」
 構造:木造平屋建
 撮影:2006/06/04
 


半田駅~JR東海 武豊線(愛知県半田市)

2012-07-08 | 木造駅舎の旅

半田駅は大府と武豊を結ぶJR東海武豊線の途中駅で、明治19年武豊線開業以来の愛知県下でも最も歴史のある駅の一つです。
明治45年に建てられた木造駅舎は何度もリニューアルされている様子ですが、待合室や柱などに当時の面影が残っています。
また駅舎とホームを結ぶ明治43年(1910)に完成した跨線橋はJR最古と言われており、跨線橋の隣には煉瓦積みのランプ小屋(明治44年)も当時の姿をとどめています。


◆半田駅~JR東海 武豊線/愛知県半田市御幸町110-1
 竣工:明治45年(1912)
 構造:木造平屋建

◆半田駅跨線橋
 竣工:明治43年(1910)
 構造:鉄骨、木造

◆半田駅旧ランプ小屋
 竣工:明治44年(1911)
 構造:煉瓦造平屋建
 撮影:2006/06/04、2012/05/04


■駅舎の外観はリニューアルされ当時の面影は残っていません



■駅舎の脇に設置されている銀行のATMコーナーには、セセッション風の装飾が施された木製の柱があります



■国鉄時代の資産標には「大正11年9月」の表示



■待合室の柱は当時のままで、セセッション風の意匠が見受けられます



■駅舎と接する旧1番線ホームと2番線、3番線ホームを結ぶ跨線橋



■跨線橋通路~天井は鉄骨がむき出しです



■跨線橋の通路にある「JR最古の橋」の表示板



■跨線橋出入口の金属製の柱にも装飾があります


■跨線橋脇レンガ造の旧ランプ小屋~夜間に信号機の日に使う灯油が保管されていました
 

 


旧中埜家住宅/紅茶専門館T's CAFE(愛知県半田市)

2012-07-03 | 知多の近代建築

名鉄河和線知多半田駅より北東へ100mほどの小高い丘の上に、第10代中埜半六が明治44年、別荘として建てた山荘風の瀟洒な洋館が現存しています。
この住宅は中埜半六が英国留学中に親しんだヨーロッパの住宅を手本とし、アール・ヌーヴォー様式を取り入れたイギリスのチューダー様式の住宅で、設計は名古屋高等工業の教授鈴木禎次が担当しています。

外観は絵本からそのまま飛び出てきたような、誰もが『西洋館』として描くイメージそのままで、寄棟造りの大屋根に複数の切妻屋根、白壁にハーフティンバーが織りなす幾何学的模様など、これぞ西洋館という演出がてんこ盛りです。
建物は木造2階建、屋根は天然スレート葺で1階の腰壁部には大理石の石片を埋め込み、2階部分は柱や梁などの構造材をそのまま化粧材として外に見せる、ハーフティンバー仕上げとしています。

戦後は桐華学園本館として利用され、昭和51年には国の重要文化財に指定、平成13年からは紅茶専門館『T's CAFE』として活用されています。
5月の連休に訪れた時はお客さんでいっぱいで、まち歩きの途中で疲れたからだを休めながら、100年前の明治の洋館でゆっくりおいしい紅茶をいただきました。
本物の西洋館と紅茶専門店の取り合わせは相性抜群で、お好みの紅茶(30種類以上から選べます)と一緒に自家製のスコーンやケーキを味わえば、至福のひと時を過ごせます。


◆旧中埜家住宅(紅茶専門館T's CAFE)/愛知県半田市天王町1-30
 竣工:明治44年(1911)
 設計:鈴木禎次
 施工:志水正太郎
 構造:木造2階建
 撮影:2012/05/04
 ※国重要文化財


■建物南面~向かって左西側から、寝室・食堂・居間・客室(出窓付)が並ぶ。1、2階の中央には手摺付のベランダを設ける



■本来の玄関は建物東側ですが、喫茶店の玄関は南側ベランダから入る旧食堂に設けられています



■1階ベランダには5本の列柱が並び、エンタシス形の柱の上部にはアールヌーヴォー風装飾を施す



■南面東側の切妻屋根部分(旧客室)とベランダ
 


■現在カフェの玄関として使われている旧食堂。当時のアールヌーヴォー様式の暖炉がそのまま残っています



■旧客室の漆喰装飾がある天井。カフェとしては1階の居間・客室(南側)・北東側の広間部分が使われています



■建物南東部~出窓のすぐ右側の窓のテーブルで紅茶をいただきました。
 1~2階の壁の出っ張りは暖炉の煙突部分ですが、屋根から上の煙突は撤去されています。



■建物東面~玄関の奥、東北隅には大きな広間が設けられています



■玄関扉の円形の組子やハーフティンバーの斜材の微妙な曲線にアールヌーヴォーの影響が見られ、小さな丸窓が可愛らしい表情を見せています



■建物南西側~壁面に飛び出した寝室の暖炉の煉瓦煙突が西洋館らしさを醸し出します



日本福音ルーテル知多教会半田礼拝所

2012-07-01 | 知多の近代建築

新見眼科医院旧館の前に道を一本隔てて日本福音ルーテル知多教会半田礼拝所があります。
ルーテル教会は1517年、マルチン・ルターの宗教改革(そういえば昔世界史で習ったような・・・?)により生まれた古い伝統のあるプロテスタント教会で、日本では1892年に宣教が始められました。(名古屋市東区徳川の日本福音ルーテル復活教会ホームページより)
外観はルーテル教会に共通する、グリーンに塗られた小さな尖頭を持つスタイルで、築年は不明ですが戦後の建築と思われます。
ゴシック教会のような荘厳な重厚さはありませんが、質素で明るい雰囲気の教会は親しみやすく、洋風建築の新見眼科医院とともに半田の町の景観に彩りを添えています。

◆日本福音ルーテル知多教会半田礼拝所/愛知県半田市堀崎町1-29
 竣工:戦後?
 構造:木造2階建
 撮影:2012/05/04