豊橋建築散歩 その1~豊橋ハリストス正教会聖使徒福音者馬太聖堂
愛知県三河地方の建築散歩第2弾ということで、平成12年以来ほぼ10年ぶりに豊橋の近代建築を巡りました。
豊橋市は東三河を代表する中心都市で、江戸時代から三州吉田藩の城下町として栄え、現在は三河港を中心とした臨海工業地帯の整備が進み、特に自動車の輸出入は国内トップクラスで、日本を代表する国際貿易港として発展しています。
市内にはハリストス正教会や豊橋市公会堂など名建築が現存しており、豊橋駅を中心とした街の中心部、上水道施設のある東部、かつて軍の師団司令部の置かれた愛知大学周辺に点在しています。
まず初めは吉田城跡のある豊橋公園のすぐ南側に建つ、これぞ教会建築といっても過言ではない、 大正2年竣工の豊橋ハリストス正教会聖使徒福音者馬太聖堂 です。
日本各地には現在もロシア正教会の古い聖堂が残っていますが、その中でも函館、東京ニコライ堂、豊橋、京都の聖堂は、その外観から非常に美しく絵になる教会の代表にあげられます。
豊橋ハリストス正教会聖堂も、白の下見板と淡いグリーンの銅板の錣(しころ)葺き宝形屋根には ロシア正教会お約束のネギ坊主形ドームが載り、聖堂の玄関に八角形の鐘塔がそびえる姿はいかにも絵になります。
この聖堂の設計者はロシア正教の建築担当の聖職者河村伊蔵で、プロの建築家ではない彼は見よう見真似で函館、豊橋、白河、修善寺の教会の設計を手掛けています。
特に函館と豊橋の聖堂は評価が高く、教会建築の傑作として国の重要文化財にも指定されている名建築です。
建物北側~屋根にドームを頂く聖所の東端の出っ張った部分が至聖所
建物南側~西から東へ、玄関・啓蒙所(控室)・聖所・至聖所が一直線に並ぶのがハリストス正教会の形式
西側の玄関上には八角形の鐘塔が建つ
啓蒙所へ続く主玄関
聖所北側玄関
聖所南側玄関
聖所の屋根にはネギ坊主形ドームを頂く小八角塔が載る
玄関脇に設置された説明板
◆豊橋ハリストス正教会聖使徒福音者馬太聖堂/愛知県豊橋市八町通3-15
竣工:大正2年(1913)
設計:河村伊蔵
構造:木造平屋鐘塔付き
撮影:2011/10/09
※国指定重要文化財