かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

岩村町の看板建築(岐阜県恵那市)

2011-10-25 | まち歩き

岩村町の本町通りは昔ながらの古い商店が軒を連ねていますが、出桁造の伝統的町屋建築に混じって2軒の洋風のファサードを特徴とした、いわゆる看板建築を見つけました。
建築年は不明ですが洋風デザインの看板建築が地方にも広まった昭和初め以降と思われます。

ちなみに看板建築とは~
江戸時代以来一般的だった商店(店舗兼住宅)は、軒を大きく全面に張り出した「出桁造」と呼ばれるものでした。
看板建築は大正12年に発生した関東大震災後の復興過程で生まれたバラック建築の商店が発展したもので、ファサードを立て板のように平坦にして木造の骨組みにモルタルやタイル、金属板を貼って、表通りに面した壁面だけ洋風の商店建築が東京を中心に各地に建てられました。
看板建築の特徴はファサードが平坦なため、地元の大工の棟梁や施主が、キャンパスに絵を描くように勝手気まま自由にデザインできることでした。
当時流行のアールデコや表現派のデザインを見よう見真似で取り入れたり、洋風に江戸趣味の造形を混在させたり、看板建築は日本の伝統建築には無い「自由」が庶民レベルで始めて建物に反映された、ある意味でエポックメーキング的建築様式なのです。(参照:看板建築/藤森照信)

ァサード(建物正面)はモルタル塗りで、石張り風に目地を切って洋風に仕上げています。
現在1階は駐車場に改造されていますが、当初は商店の売り場だったと思われます。
最近外壁を塗り直した様子ですが、外観は当時のまま細部の装飾や屋号も健在で、
2軒ともファサードが同じデザインから同一人物(地元の大工梁?)の設計と思われます。