二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

第6回 日本レーザーリプロダクション学会 ~不妊症~ 参加 ①

2011年03月25日 | 不妊症
3月6日(日)、京都で開催された、第6回日本レーザーリプロダクション学会に参加しました。


 京都駅~へ到着したアタシ

☆ 第6回 日本レーザーリプロダクション学会 ☆
  日 時:平成23年3月6日(日) 午前8時50分~午後3時45分
  会 場:京都ホテルオークラ
  参加人数:124名



 質問はしませんでしたが、一番前に二人で陣取って聴講してました


 会場の様子

京都で行われたこの学会に、酔耀会で同じく鍼灸の不妊治療に力を入れている豊島先生と伴に参加してきました。
この学会は不妊専門医や不妊治療に力を入れている産婦人科のドクターの集まりです。そして、レーザー治療を着床しやすいように受精卵に使用したり、あるいは難治性の不妊症の患者に対して併用療法として取り入れている皆さまです。


 大会会長の田村先生

1990年頃から、卵子(移殖胚)の透明膜に対してレーザー照射を行い、透明膜を薄くし、あるいは孔を開け、透明帯の中にある受精卵の着床率を高めようとするレーザー孵化補助術(LAH:Laser assisted hatching)が行われていました。これには高エネルギーレベルレーザーを使用するHLLT(高反応レベルレーザー療法)が行われます。

また最近、不妊専門医でも、何度も顕微授精や体外受精をしているにも関わらず、なかなか妊娠できない難治性の不妊症の方も多くみられるようになり、何とか妊娠率を高める方法はないかと模索しています。そんな中レーザー治療が注目され、低エネルギーレベルレーザーを使用したLLLT(低反応レベルレーザー療法)が、難治性の不妊症の妊娠率を高めるのに効果を及ぼす患者がいるということで、近年徐々に不妊症に対して使用されるようになってきました。

今回の学会では、このLAHとLLLTの臨床報告、そして、レーザー治療の歴史的背景や進歩、基礎医学的なものなどの発表がありました。以下に、参考になったこと、勉強になったことを、私の考えも織り交ぜながら書いておきます。

●現在、生殖補助医療(ART)の現場では、ラボ技術面での顕微授精の開発や卵巣刺激における、GnRH analogueの臨床応用以後、新しい開発はなく、妊娠率も大幅に改善されていないという閉塞感がある。このような時に統合医療をARTをバックアップするため利用することも必要である。その一つとしてのLLLTである。鍼灸治療もその方法の一つであり、これを取り入れている医療施設もある。

●LLLTは、1990年代には疼痛疾患を中心にその効果は明らかにされているが、いまだその作用機序は不明な点が多い。産婦人科領域でも不妊症を始め、月経困難症、骨盤位矯正、出産後会陰部疼痛緩和、産褥乳腺症、更年期障害などに効果を期待することができる。

●LLLTを照射すると、卵巣動脈、子宮動脈などの血管抵抗改善がみられ、それは血管拡張や交感神経を介する作用が考えられる。

●機能性不妊症に関しては、LUF(黄体化未破裂卵胞)という病態が関与している。LUFとは黄体は作られるが排卵は認められないという状態である。排卵に直接に関与しているプロスタグランディンの存在が重要となる。これがないと排卵しない。しかし、外から投与(座薬や膣内投与)したのでは全く効果がない。また、卵胞壁破裂には蛋白分解酵素の活性化も大切になる。しかし、人間の体内で起こる現象は一つの出来事に関しても一つの物質だけで行っているわけではないのである。

●現在利用されているLLLTの出力は830nmであり、630~900nmが体内の水やヘムグロビンに吸収されにくく体内への浸透性が高い。このレーザー刺激は熱刺激としてではなく、光刺激として働く。私はここが重要と考える。細胞のなかで光と反応する所は…と。

●治療方法としては、首前面にある星状神経節にまず照射し中枢を刺激、その後、卵巣動脈、子宮動脈、大腿動脈などに刺激を与え、その後、いわゆる鍼灸治療の経穴部に照射を行う。約20分ほどである。治療は週1~4回と施設によって違う。

●LLLTの臨床効果としては、知覚神経抑制作用、交感神経抑制作用、血管拡張作用、抗炎症作用などがある。



●生体というのは、あらゆる物質で構成され、様々な機能が関わり合って人間としての機能を営んでいる。だから生体には必ず個体差が存在し、同じ治療方法や診断方法でも必ず違いが出てくる。それが生体である。だから、最適な照射条件は何か考慮することが効果を高めることにもなる。やはり東洋医学的診断の考え方は現代科学においても正しいのだろうと感じた。

●フロアからの重鎮の産婦人科の先生からの質問があり、「多くの演題で出てくる良質胚とはどういう状態を指すのか?」「着床障害とはどんな病態なのか?」「そのエビデンスや基準はあるのか?」「その基準は全ての不妊専門医の共通なものなのか?」と言った質問があり、その答えを聴く限り、また、いろいろ調べる限り、良質胚や子宮着床に関しては未だ謎の部分が多いし、統一見解が出されていないようだ。

●LLLTを使用しての妊娠例では子宮内膜の改善はみられないが効果がある。鍼灸治療は子宮内膜が改善される。これは作用の違いだろう。



長くなりましたので、パート②へ移ります。鍼灸治療についての発表を中心に書きます。

二葉鍼灸療院 田中良和

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