二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

東洋療法試験財団 学術講習会 参加 2

2008年10月28日 | 鍼灸
芦野先生の講演は、今までの、あはき法(法律)の歴史や、整体やカイロ、足裏マッサージなど無免許手技療法という法律上は違法である業種がなぜこのように世の中にはびこってしまったかという話であり、そのきっかけになった裁判、メディアの対応、さらに柔道整復師による免許外施術についてのお話がありました。



参考になったところを書いていくと~

~芦野先生の言葉引用~
○昭和22年に制定された「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」では、第1条冒頭に「医師以外の者で」とし、あん摩、はり、きゅう業を法的に医業の一部と位置づけることで、免許者に限り医業の一部を解除した各施術の業を許すとしたのである。従って、1条の各行為のみが法律上の施術となるため、これらを一括し「施術行為」、各免許者を総称して「施術者」という。

一方、国が公認しない種々の民間療法は、医業の一部とはならないため「医業類似行為」と総称され、法12条で「何人も、例え1条の施術を許されていても、医業類似行為を、業としてはならない」と規定している。
~引用終了~

鍼灸マッサージは医業であって、医業類似行為ではないということです。時々、鍼灸マッサージは医業類似行為だと勘違いされる方もいますが、法律にしっかりと規定されています。また、これを「医療類似行為」という間違った言い方をするからややこしくなるということでした。

法律の字句を、国語的に解釈するのではなく、法令用語として的確に判断することが大切だということです。例えば、「少年」というと国語的には「男の子」、法令用語では「19歳以下の子供」となります。また、日本では法律によらない官僚の通達・指導で行政が行われることがあるので、話がさらにややこしくなるとのことでした。世の中、単純、分かり易い、がいいですよね。

~引用~
○昭和35年の無免許電気治療の最高裁判決が誤った報道(新聞各社)により、危害を与えなければ医業類似行為を業と出来ると解釈された。→無免許あん摩・無免許指圧(カイロ・整体等)も医業類似行為と誤解され、この最高裁判決の誤報を根拠に拡がってゆく。

○医業類似行為のうち各種手技療法に関しては、法施行後に厚生省が調査を委託した東京医大・藤井尚久教授の答申書によって、カイロプラクティックが科学的な学理に基づいていることから、それを中心に各種の整体療法などは按摩やマッサージと同質に認められ、昭和30年それらは「指圧」の総称で施術行為に加えられた。~中略~従って、法律上の「指圧」とは、按摩と医療マッサージ以外の手技療法の総称で、単なる押圧や浪越氏の指圧療法のことではないので注意して欲しい。
~引用終了~

浪越氏とは、テレビ出演により指圧療法を一躍有名にした浪越徳治郎先生のことです。そのテレビ出演で指圧のイメージが定着してしまったことが、無免許者の違法な行為に困っていた厚生省にとっては都合がよく「カイロは按摩マッサージとは違うので、指圧とは異なるもの」と昭和45年に回答してしまい、以来カイロや整体は法律規定外のものとしてお墨付きを得てしまいました。

しかし、これは国語的な解釈であり、法律ではカイロや整体は「指圧」であり、免許を持たない限りできない施術行為なのです。「どこどこの認定」「外国のカイロの学校の認定」「どこどこのオステオパシーの認定」など言い出したきりがありませんが、都道府県知事、あるいは現在では厚生労働大臣の認可を得た免許がなければ本来は施術行為はできません。これは、巷に溢れる足裏マッサージや体に対して施術を行うすべての行為に対してです。すべて違法なのです。

新聞やテレビなどメディアの影響力というのは大きいです。間違いもあるかもしれませんが、正しいことを記事、報道してほしいと思います。巷に横行する整体やカイロ、足裏マッサージなど無免許者問題にしてもしかりです。これが資本主義経済、利益優先主義なのかもしれません。

私たち、免許者も無免許者を非難するばかりではなく、自分たちに医学的知識が足らないのではないか、技術的には患者さんのニーズに対応できているか、さらに人間的には施術者として、また、いち社会人としての行動ができているか考えなければいけないな~とお話を聴きながら思っていました。

長~~~~くなりましたが、まだまだ内容の濃い、勉強になる話を聴講できたと、快晴で野球日和の富山で思ったのでした。

二葉鍼灸療院 田中良和
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東洋療法試験財団 学術講習会 参加 1

2008年10月28日 | 鍼灸
10月19日(日)、天気、晴天。東洋療法試験財団と富山県鍼灸師会が共催で、学術講習会が行われましたので参加してきました。前日は、同じく富山県高岡市で8月に行われた(社)全日本鍼灸学会北陸支部学術集会の役員で集まり、反省会&打ち上げが19時半からありましたので、土・日、連続で富山に行ってきた、ということになります。

≪内 容≫
 ◎「リスク管理」 安全な鍼灸臨床の実現のために
    講 師:明治国際医療大学 加齢鍼灸学ユニット
        (全日本鍼灸学会 研究部 安全性委員会)
        江川雅人 先生

 ◎「無免許の手技療法はなぜ増え続けるのか」
    講 師:前厚生労働教官 横浜医療専門学校 
        芦野純夫 先生




江川先生のリスク管理の話をおおまかにまとめると~
①鍼灸の安全性に関する文献調査
 鍼灸治療での有害事象(事故)について、神経障害や気胸、お灸に関する文献考察と、有害事象の症例は、医師により西洋医学系の雑誌に報告されることが多く、今後は臨床における過誤が、鍼灸師にフィードバックされるシステムが必要とのことでした。

②鍼灸臨床におけるインシデントレポートの導入の試み
 インシデント…重大な事故に至る可能性がある事態が発生し、なおかつ実際には事故につながらなかった潜在的事例のこと。 いわゆるアクシデントの前段階のことです。これを2008年2月に起こった新千歳空港における無許可滑走事故の事例や、明治国際医療大学におけるインシデントレポートを導入した試みを話して頂きました。

意識するのと、しないのとでは事故の発生自体に差が出てくるだろうと思いました。私も日頃気をつけていることと、無意識になっていることがあり、反省しました。やっぱり勉強して刺激を受けないといけませんね。

③鍼抜き忘れの防止の工夫
 アンケート結果による、どこの部分の鍼抜き忘れが多いかなど、そして、それを防止するためのアイデアなどを話して頂きました。

④安全な鍼灸手技に関する考察
 米国ではCCAOM(現NCCAO)が提唱した衛生的な鍼施術方法が、カリフォルニアをはじめおおくの州で採用されているが、日本も日本独自の安全性に関する問題点を見出して、より安全に患者様に鍼灸治療を受けて頂くべきだというお話でした。

日々勉強、日々新たにですね。勉強会や講習会へ行き、一つでも得るものがあれば参加したかいがあるというものです。

二葉鍼灸療院 田中良和
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