年末年始とお酒を飲むことが多いでしょう。
昨夜は地元の同級生と忘年会だった。
オヤジになった私たちだが集まれば子供っぽいバカな話しばかりで盛り上がる。
その話など子供のいる者たちは到底自らの子供たちには聞かせられないような話しである。
だが大いに笑った。
オヤジになっても、きっと老人になっても、私たちは子供時代を忘れない、その時代を生きた子供を自らのうちに分身のように生きさせながら歳を重ねて行くのだろう。
さて題名に書いたように冬のビールの美味しい飲み方を紹介しよう。
私は芋焼酎ラブな男だが、その前にどうしてもビールを口にしたいタイプである。
そうしたことは日々何気なく繰り返しているうちにもっとこのビールを美味しく飲める方法はないかとふと考えた。
夏の暑さは今なく、喉の渇きもあまりない、ならばどうしたものだろうかと考えた挙句、ひらめいたことがあった。
それはビールを美味しく飲んでいる人の真似をすれば良いと言うことだった。
そこで思い出されたのは「幸せの黄色いハンカチ」に出て来る健さんであった。
出所したばかりの島勇作{健さん}が食堂でビールを飲むシーンがある。
まず左手でビールを注がれたグラスを握り、待ち焦がれたようにじんわりと触れ、そこに右手を合わせグラスを包み込む。
健さんはそのグラスを一点集中し、そこで祈りの間のような沈黙がある。
この沈黙の間にある健さんの気持ちを思うと、こうして書きながらも生唾を呑み込み、ビールが欲しくなってしまう。
この沈黙の間を破り、健さんはグラスを少し持ち上げ、今度は顔全体をグラスに近づけ、ビールを吸い込むようにすするようにして一気に飲み干すのである。
出所後の初めてビールはどんな味がするのだろうか、いや、別に出所後でなくても良い、待ちに待ち焦がれたビールの味、飲みたくても飲めなかった長い年月を掛けて作り上げた目には見えないツマミがビールをどんな味にするのだろうか、普段何気なく飲んでしまうビールを目の前にして、健さんのその瞬間の気持ちになって今宵のビールを飲んでみてはどうだろうか。
健さんのように演技がうまくなくたっていい、大根役者でも構わない、その心その思いを深く思い巡らすことによって、今宵、あなたの飲むビールの味は必ず変わるだろう。
本格的に美味しいビールの美味しく飲みたい方はまず「幸せの黄色いハンカチ」を観ることをお勧めします。
そしてまたあなたの生涯のなかで最後の一杯のビールと思い、ビールをほお張るのもいいかも知れない。
大人になっても子供心を大切に。
それでは善いお歳を。