雪月花 季節を感じて

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栗名月

2008年10月10日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 寒露の候となり、本格的な秋をむかえました。町は金木犀の香でいっぱい。銀色に輝くすすきが風にゆれています。路上を舞う枯れ葉の音も聞こえるようになりました。

 明日11日は十三夜、後の月ですね。東京の天気予報はまずまず、おうちでのんびりと月の出を待つつもりです。下ごしらえしておいたゆで栗で栗茶巾をつくり、お供えしています。辰砂釉(しんしゃゆう)のこっくりとした紅色の皿にのせ、深まる秋を表現。銘はもちろん「栗名月」です ^^


 栗にシロップを少量加えただけの素朴なお菓子は、ほっくりとして栗そのままのお味が真情です。粒をすこしのこしつつ栗をつぶしてゆくと、栗色の生地からいっぱいに香がたちます。手のひらでやさしく、ひとつひとつ仏さまをつくる気持ちでまるめます。

 先をちょっととがらせた(キューピーさんの頭のような)形のピンポン玉大の生地をぬれぶきんでつつみ、きゅきゅっ、としぼります。転がらないよう、底をすこしへこませて。茶巾づくりのもっとも楽しい作業です ^^♪

 レシピは 『私が作る和菓子』(ベターホーム出版局) にあります。和菓子づくりが楽しくなる本です。

 400gの栗から 9つの茶巾ができました。ひとつひとつ、表情がちがいます。


 準備は完了。十三夜には、また栗ごはんを炊きましょう。


 後かたづけを済ませ、ほっと一服‥ 栗たちも、これで成仏したかしら。


 栗一粒秋三界を蔵しけり (寺田寅彦)

 栗菓子をはさみ笑顔の月夜来る (雪月花)


● ● ● ● 栗づくし ● ● ● ●


 こちらはとらや製 「栗鹿の子」。主人のおみやげです。つやつやの栗の甘露煮であんをつつんでいます。

 とらや製 「栗名月」 もあります。わたしの田舎茶巾とちがって、さすがに上品です(笑