雪月花 季節を感じて

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お味噌汁のこと

2008年10月08日 | たまゆら ‥日々是好日(随筆)
 
 お味噌汁はおふくろの味と申します。地域やご家庭でお出汁もお味もちがいますし、具材によってバリエーションは無限といいましても過言ではないでしょう。塩分と良質な大豆たんぱく質の補給に欠かせない一品として、室町期ころからまず庶民の食卓にのぼり始め、やがて武士階級に広まりました。

 一日一杯のお味噌汁を食していますか?

合わせ味噌に具だくさん‥がふだんのわが家のお味噌汁です。吸い口はねぎ、みょうが、ごま等々、具により変えています。
写真は、ぶなしめじ、ほうれん草、油揚げのお味噌汁。数種の野菜に油揚げや豆腐を加えて、野菜不足を補うこともしばしばです。

お味噌汁の具なら、何がお好きですか? 主人はじゃがいも、わたしはさやいんげん ^^


 毎日のお味噌汁の具を考えながら、おもい出すことがあります。高校時代の友人の言葉なのですが、あるときその言葉がふとよみがえってきて、以来忘れたことはありません。


 友人もわたしもまだ若かりしころのこと。おしゃべりの話題のひとつに、将来結婚するならどんな人がいい?と語り合ったときのこと、友人が「食事のはじめに、まずお椀を手にとってお味噌汁をすーっとひとくち飲む人がいいの」と言うのを聞いて、その観点の意外性におどろき、かつとても新鮮で面白く感じられたものでした。ちなみに、そのときわたしはいったいどんな条件を語ったのでしょうか、まったくおもい出せないのですけど。

 その後社会に出てからは、当時の他愛のないおしゃべりも、斬新だった友人の“お味噌汁発言”もすっかり忘れて、互いに忙しい日々をすごして歳月は流れてゆきました。


 都心の某ビルの地階にとらや系列の和食処がありました。(知らぬまに閉店したようです) 忘れもしません、そこは結婚前の主人とわたしが初めて会食をしました場所。お昼でしたから、お弁当とお椀が同時に出まして、ふた付きのお椀にまず手を伸ばした主人が、そのままお椀を手にとり口もとに運んだのですね。そのときです、長年地中にかくれていた水が伏流水となって地表にあふれ出るように、十数年前の友人の言葉がよみがえりました。それも友人の声で、「食事のはじめに、まずお椀を手にとってお味噌汁をすーっと‥」って。「あらっ‥」とおもい、しばし主人をまじまじと見つめてしまいましたものの、まさか友人の言葉をその場で披露するわけにもまいりませんから、その後は和やかなお昼の膳になるようこころがけました。(う~ん、初々しかった?)

 もちろん、そんな理由ひとつで主人と一緒になったのではありませんけど、インパクトは大きかったと言わざるをえません。いまも変わらない主人ですが、気恥ずかしくて友人の言葉を伝えたことはありません。おもい返すたび、友人のご主人もそうなのかなぁと想像するばかりです。


 現在は仕事とふたりの子育てに忙しい友人ですが、久しぶりに会えそうなので、思いきって今度はこのことを話してみよう、とおもっています。彼女、自分の発言を覚えているかしら。


 ご参考までに ^^ 「味噌汁行脚