雪月花 季節を感じて

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和菓子の日

2006年06月15日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 二日前の早朝、ほととぎすの声を聞きました。紫陽花が輝き、未央柳はほろほろと黄の花弁を散らし、足もとの蛍袋は露をのせてうつむいています。これから東海から西の地方は降雨量が多くなりそうですね。お気をつけておすごしくださいますよう。

 
 六月十六日は和菓子の日です。
 平安時代(848年頃)に疫病が蔓延しました。時の帝、仁明天皇が元号を「嘉祥」と改め、六月十六日に日にちと同じ数の十六個の菓子と餅を神に供え、疫病除け、健康招福を祈り、それを食しました。これを「嘉祥喰(かじょうぐい)」といいました。時を経て、室町時代には年中行事として同日に行われるようになり、さらにくだって江戸時代には、朝廷や公家の屋敷で祝宴が催され、また庶民の間では、この日に十六文で十六個の菓子を買い求めて食べたそうです。この「嘉祥祭」にちなんで、昭和五十四年(1979年)に全国和菓子協会が六月十六日を和菓子の日と定めました。

 「厄除招福」
 今年も和菓子の老舗・とらやさんに、写真の嘉祥饅頭(かじょうまんじゅう)を予約しておきました。とらやさんが東京の日枝神社でお祓いをした「厄除招福」のお札付きです。桃色の薯蕷饅頭には「招福」、黄の新饅には「嘉定通宝(※)」、茶の利休饅には和菓子協会のマークが焼印されています。
 みなさまも、この日にお近くの和菓子店をのぞいてみてください。たいていこんな形のお饅頭があるでしょう。以前は五色(青、朱、白、黒、黄。中国の五行思想につながっている)あったのですが、とらやさんでは数年前から三色のものしか扱わなくなってしまいました。残念です。

 四季折々の美しい情景を映した和菓子の姿、雅びな菓銘、ほのかな香、手にしたときのふうわり、やわらかな感触とまろやかな味わい。和菓子は、この国の歴史や伝統をいまに伝える五感の総合芸術ですね。


 それでは、みなさまのご健康とご多幸をお祈りしつつ、自然の恵みに感謝して─
 「いただきまぁす」 ^^


※ 「定(祥)宝」の「嘉通」が「勝つ」につながるので縁起が良いそうです。
  とらやさんの嘉祥菓子のページは こちら です。
 
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