名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋問題集 20180427

2018-04-27 | 大山将棋研究
先手番谷川先生の手を考えます。

第1問


すでに作戦失敗の感じですが、ここではこれしかないでしょう。
A 97角 B 65歩 C 86歩

第2問


金銀の配置を変えます。
A 56金 B 65歩 C 75歩

第3問


この手が後で効いてきました。
A 79桂 B 79香 C 84歩

第4問


平凡ですが、後で厳しい手になりました。
A 76歩 B 57桂 C 91飛成

第5問


ぴったりの寄せです。
A 66歩 B 75金 C 67桂
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大山将棋研究(867);四間飛車に玉頭位取り(谷川浩司)

2018-04-27 | 大山将棋研究
今日の棋譜20180427
昭和61年8月、谷川浩司先生と第45期A級順位戦です。

大山先生の四間飛車に谷川先生は玉頭位取りです。

対玉頭位取りならば大山先生でなくても袖飛車は考えるところでしょう。

谷川先生は75を支える駒が足りないのですが、6筋の歩を交換して右銀を応援に出せば

位は失うものの、均衡を保てます。2歩持ったのが大きいと見ることもできるのですが、位を失うほうが痛いのでしょう。

谷川先生は中央の位を取り65歩と合わせ

銀を立て直しました。中央位取りの将棋で右銀を66にもっていって、7筋の歩を交換して、65歩と合わせてこの形にもっていく将棋があります。66角~77桂~86歩~85歩が実現すれば先手有利なのですが

大山先生が手をこまねいているわけもなく、銀をぶつけていきました。こうなると玉頭の手厚さで優る後手もちです。

銀交換から銀を打たれるというのは嫌な手ではありますが、63銀成同飛を予定して66銀から暴れるのはありそうです。

大山先生はちょっとおとなしく64銀と埋めました。谷川先生は金を剥がしてもう一度打ちます。

53歩の受けはどうなんでしょうね。角取りを受けにくくて72金と補強するのも、なるほどという感じではありますが

銀角交換で飛車を走れば谷川先生も十分に指せそうです。

大山先生は駒損ですが、6筋を反撃できるので悪くはありません。この角取りの応手は悩ましく

75歩を取ったので角が死んだ形です。64歩62飛66金くらいが普通の返し方だと思いますが

谷川先生は52角から飛車を取りました。これでは駒損がひどそうですが

21飛成に72金と埋めた?81飛打93玉91飛成は先手よしでしょう。81飛を許さないように、72銀か、81金~72銀を選ぶべきです。

谷川先生はやって来いと言われてひるんでしまいました。11竜では甘いです。でも大山先生は71角と我慢する気にもならなかったのでしょう、桂馬を捨てて中段玉で粘る体制です。

これなら形勢不明という感じではありますが、

49角に79香の受けに67歩成と行けないのでは先手よしか。大山先生の85歩は一歩補充して76歩を見た、良さそうな手ではあるのですが、谷川先生の手番です。

谷川先生は84歩、64歩を決めて二枚飛車を打ちました。

73玉に76歩、ここに先着できれば玉頭の厚みが生きます。大山先生は銀交換に持ち込むくらいしかなく

79香の利きが通ってしまいました。これではっきり先手有利です。

香取りの67歩成は攻防ですが、ダイレクトにはがしていって

香が消えても攻めは続きます。

大山先生は入玉できるかどうか。だけど桂を打たれては角を切るしかなく

攻防の香を打ちますが、谷川先生は攻め駒が豊富です。

61竜63銀合いを取って、即詰みのコースに入りました。

投了図。

大山先生の作戦勝ちのはずですが、そのあとの受け方がおかしいです。
谷川先生の将棋を見ていると、ずいぶん無理なことをやっている感じを受けるのですが、なぜか相手が間違えてくれることが多いのです。不思議なのですが、相手がこれでつぶれるわけはないと思い込むと、甘い手が出るのでしょうか。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:谷川浩司棋王
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 5七銀(48)
20 4三銀(32)
21 7五歩(76)
22 5二金(41)
23 7七銀(68)
24 6四歩(63)
25 7六銀(77)
26 6三金(52)
27 6六歩(67)
28 8四歩(83)
29 6七金(58)
30 8三銀(72)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 6八金(69)
34 7二飛(42)
35 6五歩(66)
36 同 歩(64)
37 同 銀(76)
38 6四歩打
39 7六銀(65)
40 7四歩(73)
41 6六銀(57)
42 7五歩(74)
43 同 銀(66)
44 7四歩打
45 6六銀(75)
46 6二飛(72)
47 5五歩(56)
48 7二金(61)
49 6五歩打
50 同 歩(64)
51 同 銀(66)
52 6四歩打
53 5六銀(65)
54 7三桂(81)
55 8六歩(87)
56 5四歩(53)
57 同 歩(55)
58 同 銀(43)
59 5五歩打
60 6五銀(54)
61 同 銀(56)
62 同 歩(64)
63 2四歩(25)
64 同 歩(23)
65 5四銀打
66 6四銀打
67 6三銀成(54)
68 同 金(72)
69 5四金打
70 5三歩打
71 6三金(54)
72 同 飛(62)
73 4三金打
74 7二金打
75 3三金(43)
76 同 桂(21)
77 2四飛(28)
78 7五歩(74)
79 8七銀(76)
80 6六歩(65)
81 同 角(88)
82 6五銀(64)
83 7五角(66)
84 6六歩打
85 7七金(67)
86 7四銀打
87 5二角打
88 7五銀(74)
89 6三角成(52)
90 同 金(72)
91 2一飛成(24)
92 7二金打
93 1一龍(21)
94 5六角打
95 8八玉(78)
96 8五桂(73)
97 同 歩(86)
98 4九角打
99 7九香打
100 8五歩(84)
101 8四歩打
102 同 銀(83)
103 6四歩打
104 同 金(63)
105 8一飛打
106 7三玉(82)
107 7六歩打
108 8六歩(85)
109 7五歩(76)
110 8七歩成(86)
111 同 金(77)
112 7八歩打
113 同 香(79)
114 6七歩成(66)
115 7四銀打
116 同 金(64)
117 同 歩(75)
118 6四玉(73)
119 8四飛成(81)
120 7八と(67)
121 9七玉(88)
122 4七角成(56)
123 6七桂打
124 同 角成(49)
125 同 金(68)
126 8三香打
127 6一龍(11)
128 6三銀打
129 同 龍(61)
130 同 玉(64)
131 7三歩成(74)
132 5二玉(63)
133 6三銀打
134 4二玉(52)
135 4四龍(84)
136 4三飛打
137 4一金打
138 投了
まで137手で先手の勝ち
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大山将棋問題集 20180426

2018-04-26 | 大山将棋研究
後手番米長先生の手を考えます。

第1問


無理でもこう行くところでしょう。
A 53銀引 B 65桂 C 57歩

第2問


形勢は悪いので「不利な時には戦線拡大」にしてしまいます。
A 79銀 B 75歩 C 66銀

第3問


とうとう逆転してしまいました。気持ちよく寄せに入ります。
A 56桂 B 65桂 C 37歩

第4問


攻防の手になりました。
A 55銀 B 67歩 C 57銀打
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大山将棋研究(866);中飛車に53金戦法(米長邦雄)

2018-04-26 | 大山将棋研究

今日の棋譜20180426
昭和61年8月、米長邦雄先生と第7回日本シリーズです。

大山先生の中飛車に米長先生は53金戦法(金立ち戦法)です。珍しいのが来ましたね。

中飛車のまま78金で受けるのもあるはずですが、三間飛車にして受けるのしか見ませんね。角頭を受けたいと思うものなのでしょうか。居飛車は飛車で7筋を受けられたら5筋を攻めます。

金立ち戦法の利点は、65歩と応じられた時に銀ばさみにならないことと、5筋か7筋の歩を交換して1手で金を寄れることにあります。(銀だと2手かかります。)

そのあとは64歩から65歩を狙うのですが、すぐに仕掛けないで金銀を盛り上げていくというのもあります。厚みを生かすのがうまい米長先生らしい指し方だと言えるでしょう。

大山先生が銀を引いて固めたところで、米長先生が仕掛けました。角筋が止まっているのですからちょっと無理な感じはするのですが。

55銀に56歩。当然66歩のはずで、57金65桂55歩に77桂成54歩か単に55同金か、という進行が普通です。

日本シリーズは持ち時間が少ないですから思いとどまったか、銀を引きました。これだと手損しているだけでしょう。大山先生はチャンスと見て銀ばさみの筋。45同銀や同金はだめ、33銀55歩もだめでしょう。53銀22角成同玉55歩くらいかというところですが

米長先生は桂を跳ねて二枚換えを選びました。

大山先生の46桂は好点で

銀取りに桂を跳ねて46歩も見ています。49角には当然42桂成から68飛かというところなのですが

42桂成は決めませんね。受けるなら桂を渡さない方が良いのですが、それなら46桂を打たない方が良いわけで、このあたりは早指し特有の気持ちの揺れでしょう。さて米長先生は駒損なので何とかしなければいけないのですが、68飛に66歩

66同金57歩同銀まで決めて、角を切りました。先手玉を薄くすれば勝負になると。

35歩に対して、大山先生の46歩の感触が悪いです。後手から46歩を打てないのですから、歩を打つ必要もなく、金を呼びこむのでは危ないでしょう。大山先生の好きな角打ちがありそう、63角なんていかにも好手です。

金を呼んでおいて、角切りを避けて55歩というのがちぐはぐです。強い受けの後は強い受けを続けるべきで、やはり63角だったか。

米長先生は86飛と走って65歩。65同桂は47金~77銀でしょうか。65同金には67歩か76飛か。

金を引かせて47金から75歩、嫌なところをついていきます。

77桂を働かないところに成らせておいて、銀の王手。38玉か58玉か、悩ましいところでの王手です。

47金まで決めて手を戻します。

37歩は当然取って歩を突き出せばよく

桂2枚をとればまあまあでしょう。かなり駒損が解消しましたね。後手玉のほうが堅くなっているから形勢不明です。

36銀には金銀を換えて76飛。ここで大山先生は64飛か78歩か、悩ましいです。有利になりそうなのは64飛ですが、失敗すると負けます。

78歩が実戦心理でしょうか。でもこの角打ちは良い手に見えません。飛車にひもがついていますし、飛車を持っても厳しくはないですから。

36桂同歩から52歩38金、互いに自玉に手を入れたところではあるのですが、後手からは37歩があります。

これは食いつかれた形です。米長先生が逆転しました。

角が働き出して

大山先生はやむなく飛車を取るのですが

米長先生の46角は厳しく

清算して角を取り返しておきます。飛桂と銀銀の交換くらいで、後手玉のほうが堅いです。先手玉はまだ詰まない、詰めろもかからなそうだけど、修復は難しいです。

55角は詰めろのような手ですが、角で受けられて桂を跳ねさせるわけにもいかず

64角から81飛は詰めろだけど銀で守られ

42歩から41金。なるほどという食いつきです。

角を取られましたがとりあえず詰めろ。

だけど金を外されてここまで。詰めろは続きません。

もう少し持ち時間の長い将棋ならば大山先生の楽勝でしょう。大山先生におかしな手があって逆転してしまいました。63角などは大山好みだと思うのですが。
米長先生の方は気合で攻めていったのですが、ちょっと無理筋です。だけど金銀の枚数が手厚さにつながるのですよね。いつもこういう将棋を好むわけではないけれど、金銀の多い手厚い将棋だと力を発揮します。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:米長邦雄十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 6七銀(68)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 7四歩(73)
19 4八銀(39)
20 4二銀(31)
21 2八玉(38)
22 8五歩(84)
23 7七角(88)
24 5三金(52)
25 3八金(49)
26 6四金(53)
27 7八飛(58)
28 5五歩(54)
29 5八金(69)
30 5六歩(55)
31 同 銀(67)
32 5四金(64)
33 4六歩(47)
34 6四歩(63)
35 6七金(58)
36 5三銀(62)
37 3六歩(37)
38 4四銀(53)
39 4七銀(56)
40 6五歩(64)
41 同 歩(66)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 7三桂(81)
45 5八飛(78)
46 5五銀(44)
47 5六歩打
48 4四銀(55)
49 4五歩(46)
50 6五桂(73)
51 4四歩(45)
52 7七桂成(65)
53 同 桂(89)
54 4四角(22)
55 4六桂打
56 4五金(54)
57 3四桂(46)
58 4九角打
59 6八飛(58)
60 6六歩打
61 同 金(67)
62 5七歩打
63 同 銀(48)
64 3八角成(49)
65 同 玉(28)
66 3五歩打
67 4六歩打
68 3六金(45)
69 5五歩(56)
70 8六飛(82)
71 8八歩打
72 6五歩打
73 6七金(66)
74 4七金(36)
75 同 玉(38)
76 7五歩(74)
77 6五桂(77)
78 6四歩打
79 7三桂成(65)
80 3六銀打
81 3八玉(47)
82 4七金打
83 2八玉(38)
84 3三銀(42)
85 3七歩打
86 同 銀成(36)
87 同 桂(29)
88 3六歩(35)
89 3八歩打
90 3七歩成(36)
91 同 歩(38)
92 3四銀(33)
93 3六銀打
94 5七金(47)
95 同 金(67)
96 7六飛(86)
97 7八歩打
98 2四桂打
99 8五角打
100 3六桂(24)
101 同 歩(37)
102 5二歩打
103 3八金打
104 3七歩打
105 同 金(38)
106 5六銀打
107 5八金(57)
108 2五桂打
109 3八金(37)
110 5五角(44)
111 4七銀打
112 4九銀打
113 7六角(85)
114 3八銀成(49)
115 同 銀(47)
116 4六角(55)
117 3七銀打
118 同 桂成(25)
119 同 銀(38)
120 同 角成(46)
121 同 玉(28)
122 7六歩(75)
123 5五角打
124 3三角打
125 6四角(55)
126 6七歩打
127 8一飛打
128 5三銀打
129 4二歩打
130 3一金(41)
131 4一金打
132 6四銀(53)
133 3一金(41)
134 2二玉(32)
135 3二金打
136 1三玉(22)
137 3三金(32)
138 5五角打
139 4六桂打
140 3三桂(21)
141 投了
まで140手で後手の勝ち



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20180426今日の一手(その683);自然な順を選ぶ

2018-04-26 | 今日の一手

20180426今日の一手

2月18日の名南将棋大会から、MさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けのところから見てみます。

四間飛車に65歩の急戦ですが、後手としては63銀型(二枚銀急戦)ではなく、62銀型の方が良いです。二枚銀の時には75歩同歩と突き捨ててから66歩(66同銀に76歩)76銀64銀左という攻め方をします。
また、86歩同歩を入れていないというのも失敗です。(86歩同角がややこしいということもあるのですが。)この場合は51銀と引くこともできないのですから、42金上の形のほうが中央が厚いです。9筋の突き合いは少し後手の得です。
さて65歩に同銀同桂22角成同玉65飛

先手としては57銀と引く変化もありましたが、65歩を取るほうが強く反撃できます。後手玉を乱したのは気分が良いですが、左桂がさばけていないわけで、どちらから角を交換するかというのは微妙なところです。
さてここで後手64銀左は疑問手、当たりが強くなってしまいます。68飛に44銀と打ったのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
銀と桂歩の交換です。後手が歩切れなので歩もカウントして、わずかに先手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は68飛と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。

総合すればはっきり先手有利です。

☆大局観として

先手は3つの要素で上回っていますから、一番差がない駒の損得を気にかけながら、攻め駒を増やしつつ攻めることを考えればよいでしょう。
後手からは86歩同歩同飛くらい。86歩を手抜くこともできます。
懸念は左桂がさばけていないことです。今から77桂~65桂では働きがないので、別の4枚目の攻め駒が欲しいです。候補はすぐにわかりますね。

形勢が有利なので、なるべく自然な攻め手を選びましょう。


○ 65歩は飛車先が止まるのですが

後手陣に傷を作った、あるいは拠点を作った手です。後手の64銀左が悪い手ですよ、という主張をします。
53銀右には45桂

これが4枚目の攻め駒になります。(ただし68飛が攻め駒ではないのですが、いつか64歩を突きだせばよいでしょう。)後手は銀を逃げて64歩では苦しいので放置して86歩くらい。53桂成同金(53同銀では45桂のお代わりがある)

重く64銀としないで、73銀83飛64歩52銀65桂

これくらいで先手優勢でしょう。金を取って63歩成があります。

後手は45桂を食らわないように73銀

として耐えるべきか。45歩33銀25桂

24銀77角12玉26歩

自然に駒が前に出ていって、角を据えて15歩を狙います。32金に15歩同歩同香同銀13歩同桂33桂成

香を捨てても14歩が残っていますし、64歩から飛切りもあります。寄せきれるでしょう。

後手としては33銀を逃げるわけにもいかないので79角

と打って24角成で粘るのでしょう。先手は飛車を逃げずに33桂成同桂46角68角成同角78飛46角72銀35歩

飛角交換でも33桂の頭を狙っていけば優勢です。


○ 45歩は銀取りで

右桂が攻め駒にならないかもしれませんが(25桂から77角の筋はある)、33銀に46角

というのが厳しい攻め筋を見ているのです。後手は歩切れが痛すぎます。65歩もあるので、うまい受け方がないです。55歩65歩73銀55角では角が威張っているから、81飛として二枚換えを受け入れるくらいか。64角同銀同飛86歩72銀

縦に飛車を逃げても捕獲できますし、51飛には63歩が厳しいです。

後手は6筋を強化するために45歩には53銀左

と逃げるのでしょう。65歩73銀77角33角同角成同桂46角83飛35歩

今度は77角が厳しくなり、33桂を強要してその頭を攻めればよいです。33桂を取って4枚目の攻め駒にするのです。


△ じっと77角も有力で

32玉45歩33銀25桂22銀46桂

後手は34桂を受けることができません。

75歩が嫌な手で

65歩53銀右75歩76角25桂

76角が不気味な位置ではありますが、先手有利には違いないです。


○ 97角は考えないかもしれませんが

これも後手の歩切れをついています。62飛で受かるけれども、65歩53銀右45桂42銀64歩72銀66桂

次の54桂を受けにくいです。

後手は65歩に73銀

と耐えるのかも。これだと45桂がないですが、45歩33銀25桂24銀88角12玉26歩

最初に出てきた変化と似ています。後手の飛車の位置が62なので86歩を心配しないで良いですね。端攻めをみて明らかに先手有利です。


△ 26桂も手筋です。

86歩には34桂32玉22角

というのが狙い筋です。33角と合わせられますが45歩

22角同桂成同玉44歩

ならば攻めが続くでしょう。

後手としては先に受けるほうが手堅いわけで、32玉とかわして

34桂33銀35歩31金

これが結構難しいです。


△ 先に25桂として

24歩に45歩同銀46歩

で桂銀の取り合いにするというのも考えられます。悪くはないけれど36銀同金25歩と乱されるのも嫌なので、はっきりしていないです。


△ 25桂打のほうが

おかしな感じですが25桂よりは良くて、86歩に45歩33銀86歩

33銀は取れるので悪くはないのですが、優勢には見えません。


× 実戦は15歩と端を攻めました。

15同歩13歩86歩15香87歩成12歩成

攻め合いになって

端を攻め続けたけれど反動があるので難しい戦いです。美濃囲いから端攻めはちょっと怖いのです。
この後は25桂から中段玉で粘って難しい戦いになりました。


☆ まとめ

形勢が良いのですから、自然な順で勝つのが一番良いです。
自然な手とは
駒を取る手、取らせないようにする手
駒の働きを良くする手、相手の駒の働きを悪くする手
の四種類です。この場合はどれが一番自然でしょうか。

65歩は自分の飛車の利きを止める不自然な手なのですが、後で突き出せばよいのでそんなにおかしくはないでしょう。後手の64銀が良い位置なので、それをどかそうというわけです。相手の駒の働きを悪くさせる手です。
64銀の引き場所によって、45桂や77角の筋で攻めていきます。

45歩は44銀のほうが働いているから、どかして働きを悪くさせるという意味です。次に46角と据えるのが好位置だということでもあります。もちろん53銀左なら77角の筋で攻めます。
この2つが最有力です。

角を打つ場所に注目してみれば、45歩~46角か、77角か、97角か。自陣角は中央に近い方が働きが多いけれど追われやすいものです。45歩~46角というのは追われにくい好位置です。
77角は22玉をにらんでいます。
どちらも有力ですね。97角は窮屈なところに一方しか利かない角を打つのですが、後手の86歩を受けていることと、銀取り(二枚換え)を受けにくいこと、88角と戻して使えるという高度な手でした。不自然な感じがしますから、そのあとの読みが必要です。

実戦の15歩は、桂歩歩と持っていて22玉を攻めるのですから、指したくなるのはわかります。でも美濃囲いから端攻めをすると反動が大きいです。歩切れの相手に歩を渡す、というのも避けるべきことで、そのあとの成算無しにできることではありません。

不自然な手は読みの裏付けが必要だということもできますね。

なお後手としては形勢が悪いので、自然な受け方をしていると簡単に負けてしまいます。銀を追われたら自玉に近い方に引く方が自然なのですが、それで簡単につぶれるようならば、あえて逆に引いてみたりする、不自然な手も考えてみなければなりません。

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大山将棋問題集 20180425

2018-04-25 | 大山将棋研究
後手番日浦先生の手を考えます。

第1問


33角を生かします。
A 55歩 B 77角成 C 65同桂

第2問


これが狙いの手です。
A 87歩 B 67歩 C 44角

第3問


こんな手があるのですね。
A 57角成 B 15香 C 48香

第4問


強襲します。

A 45歩 B 45桂 C 57桂
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大山将棋研究(865);三間飛車に65歩急戦(日浦市郎)

2018-04-25 | 大山将棋研究

今日の棋譜20180425
昭和61年7月、日浦市郎先生と第2回全日本プロトーナメントです。

大山先生の先手三間飛車に日浦先生の急戦です。先手三間飛車には桂を跳ねる急戦ではうまくいかないのですが

33角と上がるのが狙っている手です。

47金を待って仕掛けがあります。

65同歩に同桂、角を換えさせて銀で取れるというのが先の33角の意味でした。

66歩で桂馬が死んでいるのですが、47金を待って仕掛けたので67に歩を打てます。67同銀には79角78飛57角成という攻め方です。

大山先生は銀を引きましたが、桂を捨てて79角を打てば

86飛から竜を作れます。桂馬には逃げられても香を取れればまあまあ。

日浦先生は端に手を付けました。16同香で後続はなさそうなのですが

甘い感じなので大山先生が91角成とするのもわかります。そしたら17香?

指し過ぎのようですが、焦点の香捨てがありました。48同飛は57角成、48同金は68歩成同銀同角成同飛19竜~15香という寄り筋です。

銀で取れば68歩成。これで技ありです。

大山先生は45桂から銀を取れたので

飛と銀香の交換ですから形勢互角でしょう。中段玉で粘りに行けば、日浦先生の82歩も馬筋を止める手筋です。だけど歩切れになったので14歩からと金を作れば大山先生が指せるのかもしれません。

68香は打ちたくなるのですが、歩を入手する97角成が大きな手で

64馬と使われると68香の意味がないのです。これは困っていて

59銀は玉を広くして粘ろうという感じの手ですが、桂馬を捨てられて、

57同金に45桂から中央を攻められて投了図。56同玉に55馬が利きます。

日浦先生に鋭い手が多くあった将棋でした。後手の攻め方は私も検討したことがあったのですが(何かの本に同じ筋が出ていたのでこの将棋が元なのかも)、有利まではいかないです。
大山先生はずいぶん攻められてもまだまだという感じでいたのでしょうが、手堅いと思った68香が空振りでした。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:日浦市郎4段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八銀(79)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 8五歩(84)
13 7七角(88)
14 5二金(61)
15 5八金(69)
16 5四歩(53)
17 2八玉(38)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 6四歩(63)
21 5六歩(57)
22 1四歩(13)
23 1六歩(17)
24 4二銀(31)
25 4六歩(47)
26 7三桂(81)
27 8八飛(78)
28 3三角(22)
29 3六歩(37)
30 9四歩(93)
31 3七桂(29)
32 9五歩(94)
33 4七金(58)
34 6五歩(64)
35 同 歩(66)
36 同 桂(73)
37 3三角成(77)
38 同 銀(42)
39 6六歩打
40 8六歩(85)
41 同 歩(87)
42 6七歩打
43 5九銀(68)
44 5七桂成(65)
45 同 金(47)
46 7九角打
47 5八飛(88)
48 8六飛(82)
49 7七桂(89)
50 8九飛成(86)
51 6五桂(77)
52 9九龍(89)
53 6四角打
54 1五歩(14)
55 同 歩(16)
56 1六歩打
57 9一角成(64)
58 1七香打
59 同 香(19)
60 同 歩成(16)
61 同 玉(28)
62 4八香打
63 同 銀(59)
64 6八歩成(67)
65 2八玉(17)
66 1五香(11)
67 4五桂(37)
68 5八と(68)
69 同 金(57)
70 4四歩(43)
71 3三桂成(45)
72 同 桂(21)
73 3七玉(28)
74 8二歩打
75 6八香打
76 9七角成(79)
77 1四歩打
78 6四馬(97)
79 5九銀(48)
80 5七桂打
81 同 金(58)
82 4五桂(33)
83 4八玉(37)
84 5七桂成(45)
85 同 玉(48)
86 5五歩(54)
87 同 歩(56)
88 5六歩打
89 投了
まで88手で後手の勝ち

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大山将棋問題集 20180424

2018-04-24 | 大山将棋研究
先手番大山先生の手を考えます。

第1問


ここではこの一手です。
A 66銀 B 22角成 C 88飛

第2問


強気の後手25歩が疑問手でした。
A 25同歩 B 66歩 C 54歩

第3問


勝負手を与えないように応対します。
A 45同桂 B 25歩 C 95歩

第4問


いろいろ見えますが、後手陣の形を乱してからです。
A 22角成 B 24歩 C 44歩

第5問


厳しい返し手がありました。
A 14銀 B 14歩 C 33歩

第6問


王手よりも詰めろです。どれも有力ですが。
A 32銀 B 51角 C 22角
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大山将棋研究(864);四間飛車に玉頭位取り(米長邦雄)

2018-04-24 | 大山将棋研究
昭和61年7月、米長邦雄先生と第45期A級順位戦です。

大山先生の四間飛車に米長先生は玉頭位取りです。

大山先生は右銀で3筋の歩を交換しましたが

位の奪還まではいかないです。44銀右を強制したという効果はあります。

米長先生は銀を戻して2手損です。後手番なのに2手損では作戦負けの元です。44銀を生かして引き角から固めたいと思うのですが。

角筋を通したまま戦おうということなのでしょうが

55歩対策で(55同歩とはできなくて、54歩同銀の後で43銀と引く意味)44歩を突くのでは失敗でしょう。

86歩と空き捨ててから金を寄るというのはかなり苦労している感じです。

大山先生は模様が良いのでおとなしめです。中央を押さえて88飛。

米長先生は6筋で飛車を使います。

あちこち歩を突き捨てて桂を跳ね

歩を合わせて

一度位を取っておきます。

44銀が浮いているので、54歩同飛65金というのが大山先生の好手。米長先生はこの筋に備えねばならないところでした。

飛車の必至です。こうなれば暴れるしかないのですが

歩を突きだして桂馬を跳ね

交換して36桂。大山先生は玉を端にかわしました。

さてここからの数手をかわし切れば勝ちが見えます。飛車取りで角をぶつけられました。

24歩に13玉だったので(12玉ならば23銀と打ち込めば王手になる)、飛車を切って33歩。厳しい反撃です。

25桂から角を取れました。

先手玉が広いので余裕があります。25歩から44歩を決め

角を切って51角、この詰めろが受けにくいです。

米長先生は玉を逃げ出しましたが、平凡に追いかけられて受けがなく

投了図。

序盤が下手だと自称(他称も)する米長先生ですが、中盤以降に力を発揮するので位取りの将棋は棋風にあっています。でも形勢が良くないと苦労が多いわけで、ちょっと盛り返したかなあというところに隙がありました。飛車を封じ込まれては挽回できません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:米長邦雄十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 5四歩(53)
17 3八銀(39)
18 4二銀(31)
19 6七銀(78)
20 3五歩(34)
21 4六歩(47)
22 3三銀(42)
23 4七銀(38)
24 5三銀(62)
25 3六歩(37)
26 同 歩(35)
27 同 銀(47)
28 8五歩(84)
29 7七角(88)
30 4四銀(53)
31 5八金(69)
32 3五歩打
33 4七銀(36)
34 3四銀(33)
35 3八金(49)
36 2四歩(23)
37 6五歩(66)
38 7四歩(73)
39 3七桂(29)
40 5三銀(44)
41 6六銀(67)
42 2三玉(32)
43 5六歩(57)
44 3二金(41)
45 2六歩(27)
46 4四歩(43)
47 5五歩(56)
48 8六歩(85)
49 同 歩(87)
50 4二金(52)
51 5四歩(55)
52 同 銀(53)
53 5五歩打
54 4三銀(54)
55 8八飛(68)
56 6二飛(82)
57 6七金(58)
58 6四歩(63)
59 同 歩(65)
60 6五歩打
61 5七銀(66)
62 6四飛(62)
63 8五歩(86)
64 7五歩(74)
65 同 歩(76)
66 4五歩(44)
67 同 歩(46)
68 3三桂(21)
69 5六金(67)
70 4四歩打
71 同 歩(45)
72 同 銀(43)
73 8六飛(88)
74 4五歩打
75 4八銀(57)
76 2五歩(24)
77 5四歩(55)
78 同 飛(64)
79 6五金(56)
80 9四飛(54)
81 7四歩(75)
82 4三金(42)
83 9六歩(97)
84 4六歩(45)
85 同 飛(86)
86 4五桂(33)
87 2五歩(26)
88 3七桂成(45)
89 同 銀(48)
90 3六桂打
91 1八玉(28)
92 1五歩(14)
93 同 歩(16)
94 1七歩打
95 同 玉(18)
96 4五銀(44)
97 2四歩(25)
98 1三玉(23)
99 4五飛(46)
100 同 銀(34)
101 3三歩打
102 同 角(22)
103 2五桂打
104 2四玉(13)
105 3三桂成(25)
106 1六歩打
107 2七玉(17)
108 3三金(32)
109 2五歩打
110 3四玉(24)
111 4四歩打
112 同 金(33)
113 同 角(77)
114 2六歩打
115 1六玉(27)
116 4四金(43)
117 5一角打
118 4三玉(34)
119 3三金打
120 5二玉(43)
121 4二金(33)
122 6三玉(52)
123 6四銀打
124 7二玉(63)
125 7三歩成(74)
126 同 桂(81)
127 同 銀成(64)
128 8一玉(72)
129 6二角成(51)
130 2四桂打
131 2六玉(16)
132 2九飛打
133 2七桂打
134 投了
まで133手で先手の勝ち

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20180424今日の一手(その682);戦線拡大?

2018-04-24 | 今日の一手

20180424今日の一手

2月18日の名南将棋大会から、SさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は95香1枚ですが、99飛も入れて良いでしょう。合わせて2枚。
後手の攻め駒はありません。21飛を使おうとしているところです。

総合すれば先手が指しやすいです。

☆ 大局観として

元は後手の右玉に先手がミレニアムというか菊水矢倉で対抗していました。後手は向い飛車にして木村美濃へ、先手は銀冠にして地下鉄飛車から端を攻めました。
端で1歩手に入れて、継続の攻めがあるかどうかという問題です。ゆっくりしていると後手は25歩~26歩~27歩成と2筋を突破していきます。形勢は良さそうですがちょっと忙しいというところです。
攻める筋はどこでしょうか。9筋をこじ開けるか、8筋に広げるか。あとは後手の桂頭ですね。2筋を逆用するというのもあるかもしれません。持ち歩を生かす手があれば形勢が良くなりそうです。


× 9筋を破れれば良いのですが、93同香成

93同香94歩同香95歩同香同飛91香

飛車を取られないように歩を使って取り返してみても、歩切れになるとだめです。もう1歩あればうまくいくのですが。(だから後手から94歩とされるのは大丈夫だということです。)


○ 35歩として桂頭を攻めてみます。

先手の桂頭でもあるのですが、35同歩34歩36歩33歩成37歩成

取り合ったとしたら、32と81飛37銀

先手だけ と金が残って後手の2筋攻めがとん挫します。

あるいは と金を払い合っても45桂

先手だけ両取りがあるのです。

後手としては34歩に25桂

と逃げることができるのですが、33歩成もありますし、45桂

中央に跳ね違えて33歩成があるのですから先手が十分です。


△ 55歩同歩として

35歩と攻めるつもりならばこれでも良いです。後で54歩と打てるから、先手の得かもしれません。


△か○ 実戦は85歩。8筋に手を広げました。

85同歩96銀83金57角72玉65歩

角を移動して使い、攻め駒が増えます。65同歩84歩82金85桂同桂同銀62玉75歩94歩

後手玉は逃げ出したので先手だけの玉頭で戦っていることになり、攻めると反動が大きいです。66桂や86桂の傷があるので強い戦いにしにくいのが難点です。ここで94同香は98歩同飛86桂(それでも飛車を逃げて指せなくはない)、
あるいは86桂と打って95歩74桂同銀同銀96歩、有力な手があるのですが、どうも今一つのようです。
実戦では74銀87歩79玉95歩

と進めたのですが、香損で66桂や66香があり、飛角も活躍できていないのでは苦戦です。

先手としては戦線を広げ過ぎたようで、角を使わないで単に65桂

としておくくらいでした。84歩73桂成同玉

手堅く守られても、先手番で桂歩歩と手持ちにしていますから35歩から攻めればよいです。

後手としては85桂には同桂

同銀84歩で追い返して手番を握りたいのですが、94歩

と合わせて端を攻める手があります。85歩には93歩成同香84歩

として駒損を取り返せます。

94歩に同歩ならば

94同銀同香同香93歩同香成同金98香

歩切れなので受けにくく、83金93歩72玉93歩成

銀と歩2枚の交換ですが、と金を使えば取り返せます。
この端攻めで形勢が良くなっているかどうかは微妙なところですが、攻めは続いています。


△か○ 2筋を応待したらどうなるかを見てみます。24歩は自然な手ではありますが、24同飛で後手の飛車が働いてきますから自然な手だとは言えません。

45桂や45銀も効果がないでしょう。25歩で追い返すことはできて(25同桂29飛は先手が指しやすい)29飛94歩24歩25歩

25同桂24飛26歩では今一つ。95香を取られる以上の戦果はありません。

やはり25歩21飛くらいのところで35歩

を考えるしかないようです。25桂45桂同銀同銀37桂成34歩28飛成61銀

飛車は成られても先手の銀冠が堅いので、後手の金を剥がして33歩成から攻めていくほうが確実です。

あるいは25桂の時に29飛として

24歩を打たせて45桂同銀同銀37桂成34歩のほうが得に見えるのですが、94歩

とされるとちょっと忙しいです。先手の飛車は9筋に置いたままのほうが良さそうです。


× 29飛だと

2筋は破られないですが、後手から94歩が残るので何か戦果がないとまずいです。
25歩24歩同飛に45銀

35歩44銀同角61銀94歩

金を剥がすよりも香を取られる方が大きいです。

45桂から行っても

45同桂同銀21飛44銀同角

銀桂を交換し合っただけで歩切れではつまりません。


☆ まとめ

将棋の場合は「不利な時には戦線拡大」、その命題の裏で「有利な時には戦線縮小」というのですが、先手が悪くない形勢ですから戦線は拡大しない方が良いです。
また不利なのだったら手を広げないほうが傷が浅いものなのですが、逆転の可能性としては高くなります。相手に間違えてもらえるかもしれませんから。

日中戦争だけでも大変だったのに、太平洋戦争にまで手を広げたのは賢明だとは思えませんよね。ということは不利な時にも手を広げないで我慢するというほうが良い戦略なのかもしれません。我慢しておいてから違うところで有利にならないか考えます。

あれこれ考えてみると、戦力は集中したほうが敵陣突破しやすいものなのです。むやみに手を広げてはいけませんが、必要なとき(一点突破が有効ではない時)だけ盤面を広く見て手を探すということです。


9筋だけで攻め切れれば理想的ですが、残念ながらうまくいきません。

1歩手に入れたので35歩同歩34歩、というのが後手陣の弱点を突いた手です。元は後手が右玉だったので、3筋を攻められても困らないことが多いから44銀33桂の形になったのですが、本来は良い形ではありません。先手も46銀37桂で同じ形なのですが、後手だけ53角の位置で、45桂が角取りになるというのが目のつけどころでした。桂の跳ね違い手筋がさく裂します。

実戦では8筋に目をつけ、桂交換くらいで収めておけば悪くはない(その後で3筋を攻める)、あるいは棒銀で端を攻める、という順につながれば結構指せたはずです。
角を移動して6筋まで戦線拡大してしまったために、傷が増えてしまいました。

どこかの局地戦で優位に立ったら、そこから突破していけばよいです。(優勢が見えたら左右挟撃を狙うというのはあります。)
局地戦で劣勢になったら、他の戦線でカバーします。だから後手は玉を8筋から逃げ出して損失を抑え、広げてもらった6筋から反撃して勝ちにつなげたのでした。

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