20180424今日の一手
2月18日の名南将棋大会から、SさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は95香1枚ですが、99飛も入れて良いでしょう。合わせて2枚。
後手の攻め駒はありません。21飛を使おうとしているところです。
総合すれば先手が指しやすいです。
☆ 大局観として
元は後手の右玉に先手がミレニアムというか菊水矢倉で対抗していました。後手は向い飛車にして木村美濃へ、先手は銀冠にして地下鉄飛車から端を攻めました。
端で1歩手に入れて、継続の攻めがあるかどうかという問題です。ゆっくりしていると後手は25歩~26歩~27歩成と2筋を突破していきます。形勢は良さそうですがちょっと忙しいというところです。
攻める筋はどこでしょうか。9筋をこじ開けるか、8筋に広げるか。あとは後手の桂頭ですね。2筋を逆用するというのもあるかもしれません。持ち歩を生かす手があれば形勢が良くなりそうです。
× 9筋を破れれば良いのですが、93同香成
93同香94歩同香95歩同香同飛91香
飛車を取られないように歩を使って取り返してみても、歩切れになるとだめです。もう1歩あればうまくいくのですが。(だから後手から94歩とされるのは大丈夫だということです。)
○ 35歩として桂頭を攻めてみます。
先手の桂頭でもあるのですが、35同歩34歩36歩33歩成37歩成
取り合ったとしたら、32と81飛37銀
先手だけ と金が残って後手の2筋攻めがとん挫します。
あるいは と金を払い合っても45桂
先手だけ両取りがあるのです。
後手としては34歩に25桂
と逃げることができるのですが、33歩成もありますし、45桂
中央に跳ね違えて33歩成があるのですから先手が十分です。
△ 55歩同歩として
35歩と攻めるつもりならばこれでも良いです。後で54歩と打てるから、先手の得かもしれません。
△か○ 実戦は85歩。8筋に手を広げました。
85同歩96銀83金57角72玉65歩
角を移動して使い、攻め駒が増えます。65同歩84歩82金85桂同桂同銀62玉75歩94歩
後手玉は逃げ出したので先手だけの玉頭で戦っていることになり、攻めると反動が大きいです。66桂や86桂の傷があるので強い戦いにしにくいのが難点です。ここで94同香は98歩同飛86桂(それでも飛車を逃げて指せなくはない)、
あるいは86桂と打って95歩74桂同銀同銀96歩、有力な手があるのですが、どうも今一つのようです。
実戦では74銀87歩79玉95歩
と進めたのですが、香損で66桂や66香があり、飛角も活躍できていないのでは苦戦です。
先手としては戦線を広げ過ぎたようで、角を使わないで単に65桂
としておくくらいでした。84歩73桂成同玉
手堅く守られても、先手番で桂歩歩と手持ちにしていますから35歩から攻めればよいです。
後手としては85桂には同桂
同銀84歩で追い返して手番を握りたいのですが、94歩
と合わせて端を攻める手があります。85歩には93歩成同香84歩
として駒損を取り返せます。
94歩に同歩ならば
94同銀同香同香93歩同香成同金98香
歩切れなので受けにくく、83金93歩72玉93歩成
銀と歩2枚の交換ですが、と金を使えば取り返せます。
この端攻めで形勢が良くなっているかどうかは微妙なところですが、攻めは続いています。
△か○ 2筋を応待したらどうなるかを見てみます。24歩は自然な手ではありますが、24同飛で後手の飛車が働いてきますから自然な手だとは言えません。
45桂や45銀も効果がないでしょう。25歩で追い返すことはできて(25同桂29飛は先手が指しやすい)29飛94歩24歩25歩
25同桂24飛26歩では今一つ。95香を取られる以上の戦果はありません。
やはり25歩21飛くらいのところで35歩
を考えるしかないようです。25桂45桂同銀同銀37桂成34歩28飛成61銀
飛車は成られても先手の銀冠が堅いので、後手の金を剥がして33歩成から攻めていくほうが確実です。
あるいは25桂の時に29飛として
24歩を打たせて45桂同銀同銀37桂成34歩のほうが得に見えるのですが、94歩
とされるとちょっと忙しいです。先手の飛車は9筋に置いたままのほうが良さそうです。
× 29飛だと
2筋は破られないですが、後手から94歩が残るので何か戦果がないとまずいです。
25歩24歩同飛に45銀
35歩44銀同角61銀94歩
金を剥がすよりも香を取られる方が大きいです。
45桂から行っても
45同桂同銀21飛44銀同角
銀桂を交換し合っただけで歩切れではつまりません。
☆ まとめ
将棋の場合は「不利な時には戦線拡大」、その命題の裏で「有利な時には戦線縮小」というのですが、先手が悪くない形勢ですから戦線は拡大しない方が良いです。
また不利なのだったら手を広げないほうが傷が浅いものなのですが、逆転の可能性としては高くなります。相手に間違えてもらえるかもしれませんから。
日中戦争だけでも大変だったのに、太平洋戦争にまで手を広げたのは賢明だとは思えませんよね。ということは不利な時にも手を広げないで我慢するというほうが良い戦略なのかもしれません。我慢しておいてから違うところで有利にならないか考えます。
あれこれ考えてみると、戦力は集中したほうが敵陣突破しやすいものなのです。むやみに手を広げてはいけませんが、必要なとき(一点突破が有効ではない時)だけ盤面を広く見て手を探すということです。
9筋だけで攻め切れれば理想的ですが、残念ながらうまくいきません。
1歩手に入れたので35歩同歩34歩、というのが後手陣の弱点を突いた手です。元は後手が右玉だったので、3筋を攻められても困らないことが多いから44銀33桂の形になったのですが、本来は良い形ではありません。先手も46銀37桂で同じ形なのですが、後手だけ53角の位置で、45桂が角取りになるというのが目のつけどころでした。桂の跳ね違い手筋がさく裂します。
実戦では8筋に目をつけ、桂交換くらいで収めておけば悪くはない(その後で3筋を攻める)、あるいは棒銀で端を攻める、という順につながれば結構指せたはずです。
角を移動して6筋まで戦線拡大してしまったために、傷が増えてしまいました。
どこかの局地戦で優位に立ったら、そこから突破していけばよいです。(優勢が見えたら左右挟撃を狙うというのはあります。)
局地戦で劣勢になったら、他の戦線でカバーします。だから後手は玉を8筋から逃げ出して損失を抑え、広げてもらった6筋から反撃して勝ちにつなげたのでした。
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