鎌倉 佐助の風街便り

陶芸、街歩き、クルマ、オーディオ・・。思いのまま徒然に

扇ヶ谷のお屋敷街に鎌倉の歴史と文化交流の新拠点がそっとオープン

2017-05-17 10:04:22 | エンタメ

五月 皐月の空の下、我が家よりも尾根一つほど鎌倉駅寄りの扇ヶ谷界隈は、市内でも「閑静なお屋敷街」として、まさに別格の趣きがあります。駅から銭洗弁財天方面に向かう扇ヶ谷の沿道は、これぞまさに「いにしえの鎌倉」の風情が満ち溢れています。



この扇ヶ谷の一角にかつて、なんとも謎めく建物が人知れず佇んでいました。その沿革、ならびに施設の一端は恥ずかしながらワタシが約3年前にアップしたこちらこっちのブログを観ていただければ幸いです。とてつもない建造物です…。

そしてこのたび、5月15日にこの謎めいた建物が装いを新たに市営の「鎌倉歴史文化交流館」としてオープンしました。その数日前のとある日に内覧会があると聞き、館内を展観してみました。

鎌倉駅方面からは扇ヶ谷のお屋敷街を通る緩やかな上り坂を歩み、ほどなく施設を示すプレートが目に入ります。

この誘導路は、交流館を訪れる方々が周辺の住宅街へ流れることなくスムーズに入場できる効果を狙ったものと思われます。

整備されたばかりの誘導路を進むと、約50メートル先に新装なった「鎌倉歴史文化交流館」が佇んでいます。


この建物の設計者ノーマン・フォスターは、建築にあたり そのコンセプトを「洞窟」と定義づけていました。

そのポリシーたる所以でしょうか、エントランスは採光が控えめで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

エントランスの突き当りには、なんと常日頃行きつけのお店「六弥太」でちょくちょくお見受けして言葉も交わす
正宗さんの手になる刀剣が鎮座していました。

今度、「六弥太」で正宗さんとお会いしたら、今回の刀剣制作の苦労話をそっと聞いてみたいところです。

続いて通路をそっと進み、最初の展観でもある 通史展示室へ。原始から古代を経て鎌倉幕府成立、以後、中世、近世、近代、現代の鎌倉の歴史が市内から出土・発見された考古資料等と共に解説されています。


スペースの傍らではプロジェクターも馳駆して、映像と音を通して往時と現在の街の歴史をナビゲートしてくれます。

ところで、「はて、プロジェクターに見入る恰幅の良いこの青年はたぶん…」と思っていたところ、

やはり、長谷寺観音ミュージアムの学芸員・三浦さんでした。

ワタシの大学の後輩でもある彼は、以前NHKテレビ「ブラタモリ鎌倉の巻」にてタモリさん、桑子アナと共演し、いまや市内ではちょっとした「時の人」であり続けています。

三浦さんとともに、施設の2番目の展示スペースである中世展示室へ。交流館として整備される前の各室内の状態や展示方法等、あれこれ語り合い、楽しい時間を送ります。


陶芸を生業とするワタシにとって、この交流館が位置する扇ヶ谷にほど近い今小路通りから出土した青磁の深い発色がつとに印象に残りました。


中世展示室の窓越しに見える鎌倉特有の「やぐら跡」を前に、展観の方々の足がしばし止まります。


展示ルートに従って、近世/近現代展示室へ。


北側の窓からは、地元の方々いわく「鎌倉で一番見事、だった」といわれる枝垂れ桜が新緑に覆われています。

3年前の3月に訪れた時、まだ冬ということで枝だけで寒そうに立っていた姿を思い出します。あの当時、枝の多くがバッサリと切られて、今にも枯れそうに見えました…。いつの日にか、「鎌倉一の枝垂れ桜」として復活することでしょう…。

同交流館・本館の展示はここまで。

展示ルートを外れた一角に、かつて茶室とされ、さらには一説ではご先祖の「位牌堂」とも言われていた?朱塗りの離れはそのまま残っています。


ちなみに地下に作られた長さ約25m、2レーンのプールは現在は倉庫として使われ、公開の予定はないようです。

約3年前、同館の朽ち果てつつあった状態を知っているだけに、「よくここまで整備してきたなぁ」というのが実感です。と同時に、多数訪れるであろう来館の方々と扇ヶ谷の落ち着いた佇まいとの調和を考えた運営も課題になってくるものと思われます。

実際、周辺に住む方々に配慮して、同館の展示は平日と土曜日で、日曜、祝日は休館となっています。また、館の周囲には、このような「要請」が掲示されています。


この先、新たなる収蔵品の公開、ならびに、扇ヶ谷の生活環境と景観に配慮した施設運営を望みつつ、このたびオープンの鎌倉歴史文化交流館を後にしました。

以後、時を置かずして、別館展示室の様子をアップしたいと思います。今回はここまで、ということで…。







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