鎌倉 佐助の風街便り

陶芸、街歩き、クルマ、オーディオ・・。思いのまま徒然に

扇ヶ谷遊駿!?… 初夏の鎌倉で笑う日曜の午後 

2023-05-29 15:39:51 | 日記

季節の移ろいとはまさに速いもので、春が来て桜の花の輝きとともに心も華やいでいたと思っていたら、新緑萌える皐月もあと数日を残すばかり。鎌倉で生まれ育った友人知人はともに口を揃えて「桜が終わって若葉が芽吹く頃からアジサイの花が街を彩る頃が、一年のうちで鎌倉が最も美しい時期」と言っていますが、時まさに「鎌倉の旬」といってもよいのでしょう。東京の東の端っこの葛飾・立石で育ったワタシとしては「桜が終わって若葉が芽吹く頃からアジサイの花が街を彩る頃が、一年のうちで最も美しい時期」が似合う街は、さしずめ台東区の上野にほど近い谷中、根津、千駄木界隈ということになるのでしょうか。

この谷中、根津、千駄木界隈はその街の頭の文字をとって「谷根千」などと呼ばれて、少々前から古き良き東京の面影を残す地域としてあらためて注目されてもいます。ちなみに千駄木は父が生まれ育った街ということもあり、父からは折に触れて昭時代初期からの下町と山の手の文化が交錯して独特の風情を醸し出す谷中、根津、千駄木の街の様子を伝え聞き、そしてたびたび酒場放浪してきた記憶があります。

この谷中、根津、千駄木界隈は浅草や吉原、向島とともに古くからあまたある落語の噺の舞台となってきています。そしてそれは、萌える若葉がしだいに落ち着き始めて気持ちがアジサイに向かう頃、そして生まれ育った東京の東の街に思いをはせていた5月の半ばのとある日のこと。小町通りの飲み屋さんで顔なじみの方々と軽く飲んでいた時に、なかなかに様子の良いご婦人から「マキロウさん、今度、駅の近くで落語はいかが?」とお誘いを受けて即、「かしこまりました。馳せ散じます!」。

ということにて、若葉が萌える5月最後の日曜日、午前の陶芸教室を終えてあと数時間後に発走となる日本ダービーに思いをはせながら歩くこと数分ほどのこちら
古我邸

のすぐ脇のお宅での落語会へ。

会場は年に数回ほど、しっとりとしたイベントを開催するギャラリー檜松(ひしょう)さん。鎌倉駅にほど近い扇ヶ谷のお屋敷街に佇む知る人ぞ知るスペースです。こちらではかつて、我が家の知り合いである小町通りの呉服店「伊と彦」さんが着物を紹介する展観を開催いました。
散りゆく桜をいとしみながら、着物を愛でるひと時を「伊と彦」さんと共に - 鎌倉 佐助の風街便り
その時にはじめて訪れ「身近なところにこれほどまでに風情溢れる場所があるんだ…」と、少々驚いた記憶があります。

道から奥に入る小径には案内のフライヤーが控えめに貼られていました。


小径を奥に歩を進めると、なんとも奥ゆかしく控えめな門構え


手入れされた植え込みを眺めながら、さらに奥に向かうと敷地の一角には今の時代ではけっして作れない古い趣きのお宅が


こちらのお宅のギャラリースペースともいえる場所にて、今回の落語会。お客様は総勢約40名。その大半が和服姿のご婦人方です。

聞くところによると、遠く茨城方面からお見えになったようでした。和服姿のご婦人の合間にワタシを含めて男性ほんの数名という状況にて、若葉の頃の落語会の始まりです。

高座を務めた三遊亭志う歌さんが披露した演目は、知ったかぶりのご隠居と長屋の八五郎の珍妙な会話を伝える「やかん」、そして若旦那と女房のお花と大旦那が夢をめぐってひと悶着を巻き起こす「夢の酒」、そして締めは商家の堅物の番頭さんがじつは吉原で名だたる遊び人でやがて大旦那にその素性がばれて…の顛末を面白可笑しく言歩ぐ「百年目」の三題。

三遊亭志う歌さん、はじめて聴きましたが、客人を自らのふところに引きつける技量とともに、噺に登場する旦那や庶民の会話を伝える際のテンポと抑揚の強弱がなかなかに絶妙⁉です。

しかも噺のマクラの一端として「こちらのスペースは敷地240坪で京都高島屋さん一族のゆかりの建物、そしていにしえの民家の西側に建つ新しい建物は古い建物の風よけとして建てたのだそうで…」というようなことも、面白可笑しく披露してくれます。ワタシ自身、折にふれて動向を注視している噺家さんが何人かいますが、志う歌さんも気になる噺家さんのひとりとなりました。

高座が跳ねて、志う歌さんは和服姿のご婦人方に囲まれて、何度も何度も記念撮影の「はい、ポーズ」。撮影会終了後、志う歌さんの後ろ姿には、少しばかり脱力感も見てとれます。

お客様は神様とはいえ芸の道はきびしい…。陶芸も同じ、とワタシも気を引き締めて…。

そして午後2時から4時半まで2時間半の長丁場をこなした後、志う歌さんのちょっぴり疲労感が漂う表情にはどことなく先ほど演じた「百年目」のオチである「ここで会ったが百年目」…。そして、ダービーも百回目…。

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イタリアの薫りを伝えるmanamiさんの彫金展が明日 幕開け!

2023-05-18 21:24:52 | 日記
緊急告知…! ということでもないのですが、明日5月19日の金曜日から週末の3日間にわたりウチの工房&カフェにて、彫金作家manamiさんの展観 giardino verde が開催の運びとなりました。




展観のテーマとなっている giardino verde とは、manami さんが彫金を学んだイタリアの言葉で、日本語に訳すと「新緑」となるのだそうです。まさに里山の杜の緑が萌える鎌倉の今の時期にジャストフィット。

manami さんとしては鎌倉の地で5回目、そして私どもの工房&カフェでは4回目の彫金展ということもあり、ウチの二人にとっても「歳時記」と言っても良いくらいに、身にも心にも馴染んできている展観です。

そのようなこともあり、manamiさんとウチの同居人さんが考えながら進めるディスプレイもそこそこにスムーズに。常ならば拙作がディスプレイされた工房には明日からの展観に向けて、イタリアの地で彫金を学んできたmanamiさんの道程をたどる写真やアイテムの数々をあれこれ相談しながらディスプレイし始めています。


そして毎回のことながら、manamiさんが手がける繊細なテイストの作品と拙作が程よく調和することに少なからず驚きを覚えたりもします。


はたして今回の展観はどのようなコーディネイトになるのか。オープンが今から楽しみです。

天気予報によると、明日は午後から雨模様になるとか。お客様を迎える掲示板も雨仕様の体制を整えて

準備は万全。

そして週末の土、日曜日は天候も回復して、manamiさんの作品、そして鎌倉の里山の杜も giardino verde !





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どこにも出かけられないけれど、ワタシなりに楽しい連休の日々…

2023-05-03 12:37:51 | 日記
本日5月3日、憲法記念日からゴールデンウイークの後半がスタートしました。朝日新聞朝刊第1面ではもちろん、憲法に関する記事から。

しかしながら「議論なき9条」という見出しのとおり、昨今は9条をはじめとして与野党・国民の間で真摯な憲法論議があまり交わされていない中で、ロシアのウクライナ侵攻に乗じて? 防衛力強化への道をひたひたと進められているように思われて仕方がありません。なんとかならないものでしょうか…。

などと、紙面を読みつつ少々ため息をつきながら、ワタシのライフワークのひとつともなっている「大型連休交通状況チェック」を。

午前5時、都心から郊外各地に向かう高速道路は早くも渋滞…

というよりも、テレビの情報によると前日2日の夜から、高速道路はずっと渋滞し続けているのだとか。

そして3時間後の8時

渋滞はますます延びて、遠く軽井沢方面でも混雑が始まっています。

わが家の周りでも佐助川沿いの道は、朝早くから銭洗弁財天に向かう人の波が出来ています。お昼前には人の流れが一時的に収まりましたが

明日以降も続く連休中、市内各所は散策の方々で賑わうことでしょう。

そのような中、連休中のささやかな楽しみとなるのが、今回のブログ冒頭にも記しましたように新聞や雑誌、書籍、そしてテレビのドキュメント番組に触れるひと時。

おりしも4月末の連休前半、朝日新聞を読んでいたところ、昨年の1月から8月まで同紙に連載されていた池澤夏樹氏の「また会う日まで」を加筆編集した単行本の書評が掲載されていました。書評をしたためたノンフィクション作家・保坂正康氏の抑揚の効いた文書にも心打たれます。

池澤氏の大叔父・秋吉利雄さんがたどった軍人、天文学者、そして敬けんなキリスト教徒という時には矛盾する様々な微妙な立場の生き方を書き記した大作です。

ワタシが池澤夏樹という人の存在を知ったのは、今からちょうど半世紀前に刊行された「ユリイカ」」1973年1月号という当時の文学界でも極めて特異的な雑誌をとおしてでした。

あの頃、氏の肩書は「詩人」でした。ワタシはその頃はまだ高校生でしたが、叔父が「ユリイカ」に寄稿していた縁で池澤氏の詩に出会い、今現在までず~と、氏の作品を読み続けています。

池澤氏の「また会う日まで」の主役・秋吉さんの親友で空母「飛龍」の艦長としてミッドウェー海戦で戦死した加来止男(かくとめお)の存在は様々な書籍をとおして知っていました。そしてこの小説をとおして、あらためて、国、政治、戦争、組織、学問、信仰、そして本来ならば国家というものの根底を支えるハズの国民の命が軽んじられてきた歴史をあらためて思い知らされるような気がします。

朝日新聞に池澤夏樹氏の「また会う日まで」の書評が掲載された4月29日の翌30日、NHKテレビでは「戦艦武蔵の最期」が放映されていました。今から70以上前に日本が西洋列強と無謀な戦いを繰り広げた太平洋戦争にて、戦艦大和とともに「不沈艦」と信じられていた戦艦武蔵の最後の戦いと沈没するまでのこのドキュメントは、まさにNHKならではの奥深い下調べと取材の結晶といっても過言ではないでしょう。このドキュメントの中で戦艦武蔵の艦長・猪口敏平が武蔵とともに海に沈む前にしたためた日本国への遺書が伝えられています。

遺書には、武蔵を失って申し訳ないこと、他の艦船に被害無いこと、生存者を退艦させて命を救えること、さらに私ほど恵まれた者はない…その他、無念の思いや部下への感謝の気持ち等を短い文章に凝縮して記しています。何回読んでも胸に沁みます…。

今のこの国の行方を司どる政治家の皆さんははたして、空母「飛龍」加来、戦艦「武蔵」猪口両艦長のような平和への想いや部下への思いやりがあるのかとこと問えば、おそらく答えは「ノー」ということになるのでしょう…。

そのうえで、とかくNHKの報道の在り方が批判されがちですが、あらためてNHK まだまだその底力衰えていないようにも思えます。

この連休以前から、陶芸教室では春に行なわれた野球WBC優勝の話題で盛り上がっていました。そして連休直前になると、ひさしぶりに勝ち続けてセ・リーグ首位に立っている横浜DeNAベイスターズの話で持ち切りです。大谷選手が活躍したWBC優勝を契機に日本中で野球があらためて関心を集めているようですが、ウチの工房も例外ではないようです。

そしてまさに今、ワタシの母校も熱戦の真っ最中。

1点差でリードしています。この試合に勝利すると、貴重な勝ち点1をマーク出来ます。午後の陶芸教室開講までつかの間、母校野球部へ熱視線! と思っていたら負けてしまった、アタタっ…。

遠くへ出かけられなくても、陶芸教室が待ってます。そして野球観戦も楽しんで…。道が混むのでクルマは運転出来ないけれど、そのぶん お酒を飲んじゃうし。

ほどほど楽しい連休はまだまだ続きます…


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