それは今から4カ月と少々前の風薫る5月、ウチの工房&カフェを舞台に真打ちを目指して修業中の若手落語家・柳家緑助さんの「落語の集い」というイベントを開催しました。
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落語会を開くことになった経緯や当日の様子はこちらから。
そしてこの秋、お彼岸の3連休初日の土曜日、緑助さんの師匠である柳家花緑さんの噺を聴きに、埼玉県鴻巣市で開催されている「鴻巣寄席」に足を運んできました。じつのところ、真夏の7月の「鴻巣寄席」に出かけようとも思っていたのですが、熱中症のために断念。今回、まだ体調万全ではないものの、勇気をふるって出かけてみました。陶芸教室終了後、鎌倉駅からあわただしく湘南新宿ラインと高崎線を乗り継ぐ2時間20分の大移動!?は、今だに熱中症を引きずり気味のカラダにはなかなかキツいものもあります。されど、次々に変わる車窓の景色が体調の心細さを吹き飛ばしてくれます。
湘南新宿ラインが神奈川から東京に入って車窓の両側に高層ビルが林立する中、渋谷駅に停車すると目の前には再開発真っ盛りでぽっかりと穴の開いたような姿の桜丘の街が…。
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入り組んだ路地やディープな飲み屋さんが点在するあの街がどのような姿に生まれ変わるのか…などと思いを巡らすうちに電車は夜のとばりがすっかり落ちた鴻巣駅へ。
駅から徒歩数分、「鴻巣寄席」が開かれる西洋料理メイキッスさんでは受付スペースにて母校・駒澤大学の大先輩である水村さん(写真左)と三ツ木さん(写真右)が「よく来たね!」と温かく迎えてくれます。
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「会場は2階だよ」と促されて階段を見上げると、「鴻巣寄席」と書かれた立派な提灯がきらびやかに輝いています。
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来年5月に開催を予定している「柳家緑助 落語の集い」にも、こんな感じの名入り提灯を準備したい衝動にかられつつ、会場に入ると100人近いお客さんが詰めかけています。
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そして今から28年ほど前にはじめて開催して以来、今回で174回目を迎える「寄席」の歴史と伝統がそこかしこから伝わってきます。
開演前のあわただしいひと時、水村先輩に導かれて柳家花緑さんにご挨拶。水村先輩から「緑助の鎌倉での勉強会の席亭」と紹介されて、ちょっぴりこそばゆい思いとともに「緑助 落語の集い」をさらに盛り上げる意を強くしました。
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この日、花緑さんが掛けたのは「狸賽」と「笠碁」の二席。
花緑さんが真打ちへ向けて修業中の二つ目当時からずっとこの「鴻巣寄席」に上がっていたこともあり、お客さんと丁々発止のやり取りを交えながらの高座からはとてもアットホームな雰囲気が伝わってきます。
中入り(休憩)にはメイキッス特製の美味しいサンドイッチとビールやお茶が提供されます。
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花緑さんが噺のマクラで「とびきり美味しいサンドイッチを食べて、そのついでに落語を聴く。落語なんて、ついでのお楽しみでいいんですよ」という感じのくすぐりを入れるくらい、このサンドイッチは「「鴻巣寄席」には必須のアイテムのようです。
そして寄席をともに務めるお方は上方落語の桂春雨さん。上方特有のじつに流ちょうで面白可笑しい「お玉牛」に大笑いしつつ、寄席の〆のもう一席はなんと「不覚にもよく覚えていない!?…」という体たらく。後日、「佐々木政談」を掛けてくれたと伝え聞き、ようやく、そしてしっかり思い出しました。まだまだ、ボケてはいないみたい。よかったぁ…。
まあ、いろいろありますが かの流ちょうな上方落語を演じる春雨さんがじつは東京小石川生まれの東男だということを知らされた時の驚きははっきり覚えています。まだまだアタマは大丈夫、です!?…。
終焉後、ご厚意に甘えて懇親会にもちょこっと参加。西洋料理メイキッスのチーフ、そして「鴻巣寄席」の席亭としてとしても活動されているこの方と花緑さんともども、今日本で開催中のラグビー・ワールドカップの話題でひとしきり。元ラガーマンとのことで、日本代表サクラ・ジャージのユニホームがとても似合うナイスミドルでした。
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ふと気がつけば夜もすっかり更けて、花緑さんの「そろそろ、おいとまします」という声とともに帰宅の途に。タブレットを凝視して帰路をたどります。
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最終電車に乗り遅れると、所要時間6時間34分・翌朝5時17分鎌倉着という恐ろしい状況に陥ってしまいます。
酔いにまかせて車中で眠りでこけないように注意しつつ、東京駅発東海道線最終電車に間に合った時には、ドッと安堵。
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備忘録よろしく撮った写真は感動のあまり? 手が震えていたのか、ブレブレの状態でした。
何カ月ぶりに未明の駅を横目で見ながら家路につきます。
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気のせいか、熱中症も幾分か改善したかも…。
そして今回「鴻巣寄席」にお誘いいただいて得たさまざまなもてなしの流儀をもとに、来年の「柳家緑助 落語の集い」をよりいっそう楽しい会に盛り立てていきたいと思った次第です。
あらためまして「鴻巣寄席」に呼んでいただいた水村、三ツ木先輩、そして柳家花緑、桂春雨両師匠に感謝いたします。