鎌倉 佐助の風街便り

陶芸、街歩き、クルマ、オーディオ・・。思いのまま徒然に

過ぎ去りし、夏の日。「和の心」明日に紡いで…

2021-09-08 16:32:11 | 日記
9月に入った途端、にわかに秋めいた涼しい日が続いています。この先、去り行く夏の名残に浸ることなく本格的な秋となってしまっては、いささか物足りません。翳りゆく夏の陽射しと爽やかな秋空がシーソーゲームを繰り返しながら、ゆっくりと季節の移り変わりを感じてみたいような気もします。

そして本格的な秋を迎える前にあらためてこの夏を振り返ると、やはりかのコロナに触れないわけにはまいりません。コロナのおかげで陶芸教室は以前からの「自粛」モードが続き、ただひたすら落ち着いた? 状況のまま、夏の幕を閉じました。それでも、工房にお越しいただいた方々と交わした鎌倉の話題や陶芸、コロナその他さまざまな話の中に、「コロナ後」の明日の光をかすかに見出したように思います。

そのようなこの夏の日々の中において、ひときわ楽しい出来事がありました。それは今から約一ヵ月前の8月はじめ。知り合いで茶道家でもあるご婦人の紹介で、市内の若いお母さんが小学生のお嬢さんを伴って体験陶芸に来てくれました。お母さんが見守る中、作陶にチャレンジしていたお嬢さんが「お茶碗作るはずだったけど、少しイメージが違うかなぁ…」とつぶやいています。

制作の様子を見ていた私が「もう少し手を加えると、抹茶碗になりますよ」と少しだけアドバイスすると、お母さんとお嬢さんは声をそろえて「うわあ、ステキ。抹茶碗がいい!」と意見が一致。作陶後に仕上がりの色をはじめさまざまな希望をお聞きし、9月1日の始業式前に作品が焼き上がりました。


作品を仕上げるにあたり、私は高台(こうだい:お茶碗下部の食卓に接する輪状の台)の削り出しとうわぐすりかけ、焼成の各工程を行ないましたが、作品の基本となる成形はこのお嬢さん一人で仕上げた力作です。

内側の底部には、茶だまりもあります。


出来上がった作品をお持ち帰りいただいたき、その日のうちにさっそくお茶を点てて、写真を送ってきてくれました。


指先にも凛とした意識がこもった見事なお点前、です…。


振り返れば今から10年ほど前、佐助の街のチビッ子たちが毎週水曜日に陶芸教室に通ってきてくれた、とても賑やかな数年間がありました。あの当時、今のコロナのようなことが起こるとは想像だにしませんでした。あの子たちも今やすっかり成長し高校生になっています。今この時代を過ごす児童、生徒、学生さんたちにとって、その一年一年の時の意味は私たち大人とは比べられないくらい重く大きなものであることはいうまでもありません。

チビッ子のみんな もうしばらくしたら きっと良い日がやってくる、もう少しがんばって…と祈らずにはいられません。


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