Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「武器、爆弾を劇場に持ち込まないでください」

2016-05-11 | Weblog
『野鴨中毒』ハノイ公演は明後日から。
ベトナム青年劇場の公演なので、「いつもの場内アナウンス」を流していいかと聞かれる。
聞いても意味はわからないから、一応日本語訳を見せてくれと頼む。

「こんばんは。ベトナム青年劇場の規則を守るために、以下のことをお願いします。
 武器、爆弾などの危険なものを劇場に持ち込まないでください。
 服装は丁寧に着て、飲食は禁止される。
 ビデオ・カメラの撮影は禁止される。
 チケットに書いてあるお席にお座りください。
 十二歳以下の方は入場をご遠慮ください。」

ということである。

のっけの「武器、爆弾などの危険なものを劇場に持ち込まないでください。」というのは、さすがにベトナムの人にも違和感があるらしいが、劇場が開場した37年前以来の決まり事で、必ず流しているのだという。
「芝居がつまらなかったらそういうものを投げられるということだね」というジョークに通訳のグエンさんは大笑いだが、国際的緊張というか、世界の動きに敏感なこの街の人たちにとっては、「残しておいていいフレーズ」なのである。
私は『上演されなかった「三人姉妹」』という劇場が兵士たちに占拠される劇を作ったことがあるが、劇場という公共の場所は、脆いものではある。

昨夕から照明づくり。本日午前に終えて、場当たり。合間にベトナムメンバーのワークショップ。
写真は、明かり造り中。演出助手の山田真実が明かりに当たる係で、照明用の人形と共に立っている。

『野鴨中毒』ハノイ公演詳細は以下の通り。続く、ハイフォン・オペラハウスでの公演は17日。
………………

江戸糸あやつり人形結城座×ベトナム青年劇場
日越国際協働制作『野鴨中毒』

原作:イプセン
脚本・演出:坂手洋二
人形美術・衣裳:寺門孝之
音楽・生演奏:太田惠資
出演:十二代目結城孫三郎、レ・カイン、グエン・タイン・ビン(ベトナム青年劇場) ほか

舞台美術:島次郎
照明:齋藤茂男
音響:島猛
舞台監督:森下紀彦

<ベトナム青年劇場スタッフ>
Dang Minh Tuan(舞台美術・舞台監督)
Nguyen Anh Tuan(音響)

国境や文化の境界を越えて、結城座+坂手洋二がイプセン最高傑作『野鴨』に挑む!

日本の古典文化のひとつ「江戸糸あやつり人形」を継承する結城座と、ベトナム青年劇場との国際協働制作による人形芝居。12代目結城孫三郎はじめ人形遣いたちが寺門孝之デザインの人形をあやつり、ベトナムの国民的大女優であるレ・カインと競演します。演出に現代演劇の旗手・燐光群主宰の坂手洋二を迎え、アジアの芸術力を結集し、イプセンの戯曲『野鴨』を再構築していきます。様々な要素が融合した今まで見たこともない舞台にご期待ください。


○ハノイ公演 

於 : ベトナム青年劇場

5月13日(金)20:00開演
5月14日(土)20:00開演
5月15日(日)15:00開演


http://www.youkiza.jp/sp/vietnam/
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