Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『屋根裏』ヤルタにて上演

2013-09-14 | Weblog
燐光群『屋根裏』が、ヤルタ・チェーホフ演劇祭のオープニングを飾りました。
オープニングセレモニーは、劇場前広場。海岸通りであるレーニン通りとチェーホフ通り(!)に挟まれた場所にあるこのチェーホフ劇場がヤルタの街の中心的な文化スポットなので、町を挙げての大騒ぎだったようだ。
ようだ、というのは、こちらは直前まで字幕の調整など場内でてんてこ舞いだったから。おそろしいことにフェスティバル事務局のパソコン異常で、字幕の一部が壊れていたのだ。移し替える際に異変が起きたのだろう。MacとWindowsの相性の問題かもしれない。で、ついに間に合わず、一部を英語字幕に差し替えて上演することに決定。少し開演が遅れたので、私が開演直前に舞台前に出て挨拶、字幕のことを話す。ウクライナ語通訳の人は素人さんなのでビビったため、一人で出て、スーパーカタコト英語で喋るが、なぜか拍手喝采。……まあとにかく劇場入りからトラブル多々であった。それでも幕は開く。
序盤は堅かったが、「マーケット」シーンで「マイケル・ジャクソンが入っていた〈屋根裏〉」のくだりで受け始め、中学生の少年少女のシーンではクスクスしはじめ、宗像少女の「セクハラ返し」キックに大爆笑とどよめき。短いシーンが並ぶ芝居だとわかってくると、シーンによっては(静けさを重視しなくていいのが明らかな場合)、終わるたびに拍手が来る、こんな現象は初めて。そんなこんなでなんとか進んでいく。
英語字幕の場面は言葉がわからないのでいろいろ問題はあった。この地で英語のできる人は三割。ご高齢のお客さんも多いからその比率はさらに減っていたはず。ともあれ終了。
終演後、VIP席で観ていたヤルタ市長が出てくるなり私の所に寄ってきて「Great!」を連発。ウクライナの演劇人も面白がってくれた様子。
副市長とウクライナ高官も観ていたこのボックス型VIP席、ちょこっと座ってみたが、ソファも楽ちんで足下も余裕があり、こりゃあ贅沢な観劇環境だ。ボックス型なので、〈屋根裏〉から『屋根裏』を観ていた風情ではある。
まあ、この街にいると、ソビエトがあった時代と今の変遷を、否応なく感じる瞬間がある。
フェスティバル事務局がまだ写真をくれないので、まずはこの身内写真。舞台仕込みの日。左にいるのは照明班、海外スタッフとの呼吸はすぐに合った。舞台前では〈屋根裏〉セット組み立て中、ここは日本組だけ。客席で舞台に手をついているのが、私。客席からの見え方を試行錯誤して、前後位置など微調整。
演劇祭は十八日まで。
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何も言えない世の中でいいのか

2013-09-14 | Weblog
自民党石破幹事長は東電福1原発への地下水の流入で汚染水が増加していることに関し「漁師の理解が必要だが、地下水が汚染される前にバイパスして海に放出することを理解してもらわないといけない」と発言。「地下水を汚染前にくみ上げて海へ流すべき」と言った。オリンピック誘致の国際的な責任のある場で総理大臣が「汚染水を完全にブロックした」と言ったその直後にである。

今でさえ我々が得る情報は制限されている。政府が進める「秘密保護法案」は、国民の「知る権利」を、さらに奪うだろう。自由や人権よりも、国の安全保障が最優先されるという法律だからだ。少しずつ「知らされないこと」が増えてくる。しかも我々がそれを気づかない間にだ。
特段の秘匿が必要な「特定秘密」の事項にある「公共の安全および秩序の維持」の項目が「安全脅威活動の防止」「テロ活動の防止」と改められた。この「特定秘密」の指定範囲はあまりにも曖昧で、取り締まる側の「拡大解釈」によって恣意的に判断されてしまう可能性がある。
憲法に保障された国民の「知る権利」の収奪は、アメリカの安全保障政策を真似ているだけのように思う人もいるだろうが、日本政府のせこい自己防衛により情報管制を行った上での「国家主導」を打ち出す意志は明白だ。

そう憂いていたら、時事通信が行った最新世論調査で、機密情報を漏えいした国家公務員らの罰則を強化する特定秘密保全法案について賛否を聞いたところ、「必要だと思う」と答えた人は63.4%、「必要ないと思う」は23.7%だったそうだ。「この法案には国民の知る権利や報道の自由を制限しかねないとの異論もある」と説明した上で質問。有効回収率は64.7%という。
まあ、かつて「コンピューター監視法案」も知られていなかったとはいえ、すんなり通過したわけであり、つまり日本国民は、どのようなことでも政府のやるに任せていいと思っているのだ。適当に放っておいたら誰かが何とかしてくれる世の中だと思っているのだ。体制に依存しきった「お客様社会」ここに極まれりということか。

河北新報によれば、東電福1原発3号機の原子炉建屋の上から湯気が出ているという。建屋の隙間から雨水が入って格納容器の蓋で温められたり、格納容器内に封入する水素爆発防止用の窒素ガスが漏れたりして、湯気になった可能性がある。以前は大騒ぎしていたこういうニュースも、もう日常化している。

2020年東京五輪開催誘致での安倍首相による東電福1原発の汚染水問題についての「状況はコントロール下にある」「汚染水の影響は原発の港湾内0・3平方キロ内で完全にブロックしている」発言の真偽を外国メディアが検証し始めるという。「国際公約」ともいえるこのプレゼン発言を、とうの東電や経産省が否定。放射性ストロンチウム等を含む汚染水が地下水と混じっているという。
国際原子力機関(IAEA)は汚染水漏れを「緊急に取り組む必要のある課題」として、今秋、再び調査団を日本に派遣する。「コントロール下にある』という発言を肯定するような結果が出れば、世も末だ。

そして、調査を受ける云々以前に、安倍首相は、プレゼン発言の内容が国民の認識とはずれているのだから、しっかりと国内でも説明する責任がある。
よそで通った「嘘」だから「本当」になる、なんてことはないのだ。
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『普天間』、今年もツアー始まりました

2013-09-13 | Weblog
いろいろとご報告したいことが山積なのだがまだまだまとまりきらないので、まずは告知させていただきます。
拙作『普天間』、青年劇場による上演、今年もツアーが始まりました。

9月~10月 九州演劇鑑賞団体連絡会議
11月~12月 神戸演劇鑑賞会 京都労演 神奈川県演劇鑑賞団体連絡会 他
三ヶ月あまりにわたって九州、関西を中心に、一部関東地方も回ります。
未見の方は、ぜひ。

http://www.seinengekijo.co.jp/frame.html

初演から二年を経て、普天間基地を取り巻く状況は何も好転していません。この劇の内容が「昔はこうだったんだね」となる時代が、早く訪れますよう。

戯曲集は未来社から出版されています。
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「差別」が隠蔽され、蔓延する

2013-09-12 | Weblog
文部科学省が実施している月間放射能物質降下量サンプリング調査では、東京都の7月中の放射能物質降下量は、1平方㎞当たり6.6Mベクレル。都道府県のうち半数以上が「不検出」だったにもかかわらず、東京は毎月、かなりの高いレベルを検出しているという。今は「汚染水」が取り沙汰されていることが多いが、東電福一原発から漏洩した放射能が、大気中に拡散し続けているということだろうか。

週刊朝日9月20日号で室井佑月さんがいろいろ安倍政権を批判する中で、法案成立後からずっと放置されていた「子ども・被災者支援法」の推移から、ご自身の息子さんの息子の甲状腺エコー検査・尿検査の結果、息子さんの喉に5個の嚢胞が見つかったことを告白している。
彼女は勇気を持って発言したが、こうしたことはもう巷にずいぶんと起きていて、なかなか露出していないということなのだろう。
「被曝」については、人間は恐怖心を持ちやすい。自分のことばかりでなく他者に対してもだ。恐怖を打ち消すために、人は時として「差別」を作りだす。私が話したことのある某地域の被爆者協会の副会長だった人は、1980年代になるまで自分が被爆者であることを隠していた、と言っていた。理由はもちろん、周囲からの差別や偏見を、おそれてである。
原発事故の収拾しない現実と、躁状態になってそれを忘れようという人たちが増加する動きの中で、これからの時代には、隠蔽されるものも含めた「差別」が、蔓延していくおそれがある。

安倍首相は消費税率を来年4月に現行の5%から8%に予定通り引き上げる意向を固めたという。3%の増税分のうち約2%分に相当する5兆円規模の経済対策を合わせて実施する考えだという。
冗談じゃない。国の借金返済に充てるわけでもなく、赤字まみれのこの国の運営費に当てるわけでもないだと? 必要のない増税ではないか。
結果としてだが、「オリンピック増税」であろう。
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9.11から十二年。3.11から二年半。

2013-09-11 | Weblog
オバマ米大統領は、シリアの化学兵器を国際管理下に置くロシア提案の進展を見守る間、シリア攻撃承認決議案の採決を延期するよう議会に申し入れたと発表したという。外交的な解決を優先し、対シリア軍事行動を当面見合わせた。
世界的な軍事行動阻止の運動が実ったと思う。
シリアの化学兵器を国際管理下に置くというロシアの提案はどのように実現されるのかわからないが、これを無視して軍事行動に出るリスクは高いと判断したのだろう。
9.11から十二年。アメリカが少しでも冷静さを保とうとしているのならいいのだが。
いっぽう、安倍首相は外交・防衛政策を中心とした基本方針となる「国家安全保障戦略」を年内に策定するよう菅義偉官房長官ら関係閣僚に指示したという。首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が始まる。
アメリカ並みの諜報行動ができる国にしたいということだ。
3.11から二年半。日本は独自の解決策を見つけられるのか。

9.11。3.11。二つの日が過去と現在を振り返る物差しの一つになっている。二十世紀の間にはなかったことだ。受け身ではなく、自分の目で確かめ、自分の考えで行動したい。
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それどころじゃないところに来ている

2013-09-10 | Weblog
たいへんだたいへんだと言い続けるだけでは仕方がない。そういう時期に入ってしまったと思う。
オリンピックによるこの国の「麻痺」の増進は、疑いの余地がない。
もう待ったなしだ。
なんとか事態を把握することを、現状維持するためだけでも、多くの情報を共有しなければならない。
自分だけがわかっているというように身構えるでもなく、身構えている人を揶揄するでもなく、謙虚に、能う限り正確に、事態への対応を共有したい。現状認識を少しでも多くの人と分かちあいたい。

だいたいのことは、一昨日のブログに、なるべく客観的に記した通りだ。
安倍首相の空約束は通用しない。「福1原発の状況はコントロールされている」「汚染水による影響は福1原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」「抜本解決のプログラムを私が決定し、着手している」、どれもが明白な虚偽だ。
一部の人が言うように、世界中が彼に加担しているのかもしれないが、嘘は嘘だし、いずれはばれるし、責任は問われる。そうならないかも知れないのが時代の空気なら、我々だけでも彼の責任を追及し続けよう。空気を変えればいいのだ。
黙っていても世界が何とかしてくれるわけではないのは、当たり前だ。
だけど、世界の人々も、ほっとかないと思うよ。国際的な調査だって必ず入る。まあ、万が一、その「国際的な調査」に裏切られたんじゃ、目も当てられないわけだけど。
一昨日、五輪東京決定の二時間後に「(五輪界隈は)この「嘘」を受け入れたのだが、それが善意の「承認」であるとは限らないのだ」と書いたが、今も考えは変わらない。

私がいささか心配しているのは、皆のストレスと、不安ゆえの過敏である。私とおおむね同じような考え方の人たちでも、ちょっとした些末な違いを揶揄し合い、敵対しそうな空気を感じることがある。我々も疲弊している。それは確かだ。だが、本当に取り組むべき課題、たたかうべき対象以外のところで、小さな齟齬にこだわり、どちらがより本質をわかっているとか、誰かの考え方が浅いとか、細かいところにこだわりすぎないことだ。もちろん必要な時にはそういうコミュニケーションも必要だ。だが、そうするなら、それを「芸」にするくらいにしてほしい。
それどころじゃないところに来ている。と思うのだ。

ほぼ1日前に書き込んだが、やっとアップします。旅先なので、諸々ご容赦。
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『風立ちぬ』とオリンピック

2013-09-09 | Weblog
2020夏季五輪招致で安倍首相は演説後、記者団に「誤解は解けた。世界で最も安全な都市だという理解はいただいた」と言う。東京のプレゼンに対し、海外メディアは東電福一原発の汚染水について首相が「東京に被害がないことを保証する」と発言したことを評価する声が相次いでいるという。なるほど。当事国の総理大臣が情熱に溢れて原発の安全を説明したことで勝つチャンスが増したわけだ。一国の総理が「安全性を保証した」ことになっている。すぐに化けの皮が剥がれると思うが。
オリンピックの残る一つの競技はスカットでも野球・ソフトボールでもなく、レスリングだった。

オリンピックの話は不愉快なので、日本を離れたら観られなくなると気づいて映画館に駆け込んでやっと観た映画『風立ちぬ』について。
いろいろと賛否両論というが、そんなに主人公の性格に問題があるとも思われない。タバコを吸いすぎるのは時代のせいだろう。
「夢」の「所有格」について私はよく考えるので、この映画のほとんどがそこを展開の基準にしていることに驚かされた。実に観念的だ。冒険ロマンのプロットでは、まったくない。筋書きも、人物に対しても、非常に距離を取っていて、しかし巧みに運ぶので、飛躍が多いことに気づかない人もいるだろう。
宮崎監督がこれだけの構えで個人的な映画を撮ったことに感心する。
で、やはり、戦争とオリンピックは、共通したにおいがある。という感想は、否定できない。
なぜ音がモノラルで人の声を使っているのかとか、気づいたことや言いたいことはいろいろあるが、それはまた、あらためて。
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オリンピック・パラリンピック東京決定は、どちらに転ぶか

2013-09-08 | Weblog
なぜ東京なのか。
この国は、1964年の東京、冬季の72年札幌、98年長野、半世紀の間に三回もオリンピックを開催してきたのだ。もういいではないか。
初のイスラム圏としてイスタンブールで五輪が開催されることには、国際的に意義があった。過去の挑戦回数も最多だった。経済不安の中で国民九割の支持を取り付け、既に八割の施設整備を終えていたマドリードも、かわいそうだと思う。九十六票中の六十票という得票が多いのか少ないのかはわからない。今回ロビー活動に力を入れた日本は、なりふり構わなかったらしい。招致ロゴのイメージは「大風呂敷」だ(写真)。「皆で力を出し合えば夢は叶う」(安倍首相)、企業も外交も頑張ったそうだ。そしてフランス相手に2024年パリ開催の応援を引き替えに協力の約束を取り付けたなどというはしたない話が、テレビで堂々と語られている。
安倍首相はプレゼンで「東京は世界で最も安全な都市の一つだ。(福島第1原発の)状況はコントロールされている。東京にダメージが与えられることは決してない」「汚染水は結論から言って全く問題ない。事実を見てほしい。汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている。抜本解決のプログラムを私が決定し、着手している」と答えた。
ほんとうにそうなのか。「完全にブロック」は、初めて聞いた。根拠を示してほしい。国内では既に科学者陣営に「海に薄めるしかない」と言わせているではないか。水も海産物も本当に安全か。「抜本解決のプログラム」があるならその詳細が、なぜ国民に知らされていないのか。福一原発の燃料棒を安全に取り出す手段はまだ見つかっていない。格納プールが六年持つという保証さえないのだ。万が一、次に大きな事故が起きれば、関東地方も含めた広域に人が住めなくなると、多くの専門家が予測している。それでもオリンピックは開催できるのか。
五輪開催の経済波及効果は三兆円と言われているらしい。世界企業たちにとって経済効果が最も期待されているのが日本開催という噂も流れてきていた。猪瀬都知事の押し出しの強い英語スピーチ「私たちは金はある、四十五億ドル、キャッシュで銀行にいっぱい」は、どうなのか。ただでさえ世界にアメリカの腰巾着としてカネばかり貯めてきた「成金国家」と思われてきたのだ。逆にこの国に、この街に、生活に苦しむ者がどれだけいるか。その矛盾は解消できるのか。
最終発表寸前のテレビ報道もひどい。イスタンブールを「宿敵」は、ヘンだろう。世田谷の駒沢体育館に集まった人たちは、本当にそんなにオリンピックに思い入れがあったのだろうか(あの辺りが都内・区内きっての高濃度のセシウムが検出された地域だったということは皮肉だ)。
これからマスコミからもこぞって「お祝い」ムードが出てくる。それがこの国の「現実」をより見えにくくする目眩ましにならないとは限らない。誤った安全神話の拡充に拍車が掛からないか。「世界の一流国」の幻想が、「戦争のできる一人前の国」になりたいという蒙昧に結びつかないか。
安倍政権からすれば「天の恵み」だろう。夥しい失言により国際的な孤立を招いた「親ナチ・歴史認識に欠ける政府与党」というレッテルが、これで払拭されるのか。彼らにとって、リスクは何もなかった。開催を逃した場合も「原発事故の風評被害のせい」と言えば、責任は免れられたわけだからだ。
福一原発の事故は収束していない。小出氏の言うように、矛盾の噴出はこれからだ。この夏の「汚染水流出」など、序章でさえない。
やはり世界の人たちにとって原発事故は「極東の国」の遠い出来事でしかなかったのか。あるいは、同情か、憐憫、励ましか。そうではなく、五輪を機会に世界の人たちが「当事者」の立場を強く意識してくれたのだ、と信じるしかない。
今後、詳細な情報が全世界に開かれ、「抜本解決のプログラム」がないことが露見し、「やはり五輪開催に適していない」という意見が出始めれば、この国はオリンピック誘致のために虚偽の認識を垂れ流したとして、批判の対象となっていく。東京を選んだからといって、根拠のない安倍演説の責任を、一緒に背負ってくれるわけではない。世界はこの「嘘」を受け入れたのだが、それが善意の「承認」であるとは限らないのだ。首相に「安全」を約束させておけば、今後その「虚偽」を徹底的に攻撃できる。
当座のデメリットとしては、ここしばらくは、「世界が認めた安全」のイメージによって、福一原発への対応が緩み、隠蔽が強化され、真実が覆われしまうことだろう。
逆な場合、メリットとしては、今後の事態の変化や新事実発覚があるたび、世界がより深刻に注目してくれるだろうということだ。
「東京最有力」の噂は数ヶ月前から流れていた。政治や経済界以外の動きもあった。オリンピックと同時開催として文化的なフェスティバルも行なわれる。東京決定なら開会式の演出は誰かという話も既に出ている。マスコミは膨大な広告収入を期待する。ハコモノ建造も堂々と行われる。諸々皮算用している人も多い。不思議だった。違和感を抱えつつの、嫌な予感が当たった。「トーキョー」の決定の声を聞いた時は、悪寒が走った。
スポーツそのものに罪はないという考え方はある。だが、かつてベルリンオリンピックは、ヒトラー政権下、ナチ主導で行われた。
そして、スポーツも、被曝も、身体に関わることだ。「健康な身体」を讃える祝祭が用意される一方で、原発事故収拾の現場で、「自らの身体を蝕む作業」を余儀なくされる人たちがいる。そこにおそろしい矛盾がある。
「子どもたちに夢を与える」と都知事は言う。「聖火ランナーが被災地を走る」そうだ。
元マラソン選手の有森さんは涙ながらに「福島の、外で運動できない子から、オリンピックを取ってきてと言われた」と言ったらしいが、その言い方のどこがおかしいか自分ではわかっていないのだろう。
「善意」の人たちは「せめてこれからの7年間」と、放射能汚染拡大がないよう祈るのかもしれない。しかし真実を見なければならない。
七年後、奇跡的に実現可能だとして、二度目の東京五輪が、どのように歴史に刻まれるか。
7月24日~8月9日という日程は、今年のような猛暑かもしれない。五輪を名目に「電力の安定供給」も云々されることだろう。
本当に開催されるとしたら、この国には背負うべき義務がある。たとえ開催されなくても向き合うべきである問題ばかりだが。うんざりばかりはしていられない。責任は、私たちにもあるのだ。そして、世界の人たちとの友情を、汚したくはない。
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現状を記録するだけで疲労する

2013-09-07 | Weblog
子どもたちが毒ガス攻撃を受け殺されるなど、多くの命が犠牲となっているシリア。オバマが軍事介入を行うなら、そこでもまた多くの命が失われるだろう。「実力行使しかない」という考え方じたいを否定するしかない。これ以上の命を失わせることが無駄であると、反戦・厭戦の空気を作り出していくしかない。世界世論は少しずつ努力している。

ところが日本という国は、「戦争のできる普通の国」でいたいという子供じみた姿勢でアメリカに擦り寄る。世界の趨勢を理解していない。

小野寺防衛相は米ネバタ州で8月26日に発生した海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの着陸失敗事故について米側から「砂漠で視界の悪い場所での着陸訓練中に起きた」と伝えられたのを鵜呑みにし、「事故後も運用されているとして安全性は問題ない」とした。鵜呑みというのは、事故原因に関する情報提供はないにも関わらず、だからである。「米ホワイトハウスで使用されている機体を含め、(事故後も)運用が継続されている」というのが、いったいなんの客観的な理由になるのか。
日米両政府が10月に滋賀、高知両県で普天間基地所属のオスプレイを使用した共同訓練を行うことも正式に発表された。山口県の岩国基地も使用するという。
滋賀県では高島市の陸上自衛隊饗庭野演習場で10月上旬から中旬に、海兵隊との戦時想定の定期訓練を実施、上空で停止しているオスプレイから隊員がロープで降下し、陸上に展開する「ヘリボーン」訓練などを予定しているという。高知県では南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練の一環として、10月下旬に香南市内の自衛隊施設や同県沖で、海上自衛隊護衛艦も投入して、けが人の搬送や物資の輸送などの災害対応訓練を行う。あらゆる地形・条件で試すことができて、アメリカは大喜びだろう。

維新の会・橋下共同代表・大阪市長は、6月に八尾空港(大阪府八尾市)でのオスプレイ訓練を提案したことをもとに、「八尾空港での訓練という問題提起があったから、こういう流れになったと自負している」「非常に良いことだ」「今まではそういう動きがあれば、すぐに反対だと(地元)自治体の長は騒いでいたが、もうそういう雰囲気ではなくなってきているのではないか」と言う。
日本の植民地化を深化させることが、なぜそんなに嬉しいのだろう。

福島第一原発事故について、日本政府の提言する、摂氏マイナス40度の冷却材を入れた管を使って最深30メートルまでを凍らせるという異様な計画が、少なくとも数十年単位で維持されるというのは、怪しいであろう。
原子力エンジニアのジョン・ラージ氏は、「この技術は小規模な汚染を管理するためにしか使用されたことがない」「彼らは放射性物質を貯蔵する巨大なタンクの建設を計画しているが、この氷壁が崩壊してしまえば汚染水は自由に動き回ることになる。氷壁は脆弱であり、ましてこの規模のものは前例がない」と指摘しているという。冷凍案にリアリティを感じられずにいた私は、「やっぱり」と思う。停電が起きれば溶けてしまい、元の木阿弥なのだから、当然だろう。
世界の報道は「東電」と「日本政府」という2つの情報源だけに頼っていることが問題だと見ている。「騙され続けることを選んできた日本国民」について言及を控えているのは、たんに現状での配慮である。あれから2年半も経つのだ。世界は「東電+日本政府」と「日本国民」を区別して考えてはいないはずである。

原子力規制委員会は五日、関西電力大飯原発3、4号機の再稼働審査を始めると決めた。定例会合で田中俊一委員長が判断の根拠にしたデータを示さぬまま、突然「(断層調査の)見解がまとまったと理解した」と持ち出し、「活動性のある断層ではないとなれば、審査に入ってはどうか」と提案したという。
同氏は会合後の記者会見で「活断層ではないという見解が一応まとまり、審査を進めた方がいいという私自身の判断で提案した」、一方で「突然で戸惑いがあるかもしれない」「今日の委員会に諮って、まだ早いと言われたら引っ込めようと思っていた」と述べた。矛盾だらけだ。
これはなんら判断をしない「日本国民」と、何かを進展させることで解決に向かっているような感覚を持ちたがっている現場の、無責任の交錯の結果である。

出先で『あまちゃん』をのぞく。全部見ているわけではないが、どうやら今週はあまり面白いところがない。

来週『屋根裏』がオープニングを飾る、ヤルタ・チェーホフ演劇祭の詳細。(写真)
ウクライナの言葉はほぼロシア語だが、自動翻訳機にかけると不思議な表現がいっぱい出てくる。
http://theatreyalta.com/typ/17/

『屋根裏』東京千秋楽を観ていて、物質文明・消費社会の澱みにまみれた日本の現状が表されていることに、自分でも意外なくらいに、ぞっとした。深い悲しみを伴って、そう感じた。十一年経って、悪夢が現実に近づいているのだ。
日本社会を説明するに当たって、私はかなり長い間「消費」をキーワードにしてきた。さいきんドキュメンタリー監督の想田氏も「消費」というコトバをよく使う。重なるところもあるが、ちょっと違いがある。どこかから対談の企画でも来ないかな、と思う。

このブログは「現状を記録する」ことも目的としているが、なんだか、ほんとうに疲労する。
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自分の国の安全も守れないのに、なぜ戦争に加担しようとする?

2013-09-06 | Weblog
東電福一原発で観測用の井戸で採取された水から、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり650ベクレルという高い値で検出されたという。水は地下水が流れる深さおよそ7メートルほどのところで採取され、汚染水が地下水まで到達したおそれがある。
同原発で3号機西側で、原子炉建屋の爆発で建物に落下した瓦礫を撤去している大型クレーン(長さ約100メートル)の先端が倒れたという。9月5日午前8時半すぎ突然、クレーン先端が徐々に下がり、「ジブ」と呼ばれる48メートルのアームと、それを支える54メートルの主マストの接続部に亀裂のようなものが見つかったという。けが人や建屋の損傷はなかったが、金属劣化が原因だとすれば、復旧作業の見通しは暗い。
定期検査中の大飯原発3号機で、タービン建屋3階の低圧タービンと軸受け部のすき間から、高温の蒸気が噴出した。同機は2日に定検入りし冷温停止中だが、運転員が電動弁を誤って開放したため、約170度の蒸気がタービン側に流れ込んだという。
原発は危険だ。事故がなくたって危険なのだ。汚染された場所で作業を進めていくことの途方もないしんどさを考えると気が遠くなる。こんなことが毎日起きているのだ。あまりにもみんな鈍感になっている。

福一原発汚染水流出問題で、韓国政府が、日本の福島周辺8県(福島・茨木・群馬・宮城・岩手・栃木・千葉・青森)から出たすべての水産物を全面輸入禁止に踏み切ったという。仕方あるまい。
五輪招致で、海外からの質問に答えて竹田理事長が「東京はパリやNYと同様に安全、福島は250キロ離れている」と発言。福島の人たちが聞いたらどう思う。もはやごまかしは効かない。福島が危険だと政府が認定するなら危険だとして対処していかなければならない。とうに世界は見ている。二枚舌は通用しないのだ。

安倍首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の座長代理・北岡伸一国際大学長は取材に答え、年内にもまとめる報告書で、集団的自衛権の行使容認に加え、「国際社会の一員としての義務」として国連決議に基づく多国籍軍などへの自衛隊の活動を広げられるよう新たな憲法解釈を提言する方針を明らかにしたという。
安倍首相はオバマと何を話したか知らないが、どうせかわりばえのしない迎合だろう。自分の国の安全も守れないでいるのに、なぜわざわざよその国の戦争に加担しようとする?

立命館大学の山田廣成教授が、鉛で、空冷ラジエターのように、汚染水を発生させず、放射線も低下させる方法を考えているという。水が介在しないので汚染水が出ない。ずいぶん説得力があるのに話題にならない。そういうことが私には納得できない。
http://www.kaze-to-hikari.com/2013/09/post-57.html

『屋根裏』東京公演終了。たった一週間の公演なので見逃された方も多いと思う。来週ヨーロッパツアーに出発するが、来年以降も海外の演劇祭等に招かれているので、おそらくまたその前後のタイミングで日本国内でもお見せできるはずだ。
千秋楽を観に来てくれた小熊英二さんとも立ち話したが、この劇は私たちの想像以上に海外からの関心を集めることになっている。「ひきこもり」が世界中の問題になっていることもあるが、これだけ特異な舞台美術の作品は、とにかくじかに観てみたいという気持ちにさせるらしいのだ。

日本にいる間に進めたい仕事があるがなかなか捗らない。仕方がない。やることは次々に堆積してしまう。とにかく海外でもホテルの部屋が「書斎」化するのは目に見えている。チェーホフも一年間滞在した季候のいい保養地でもあるらしいクリミア半島のヤルタが最初の公演地なのだが、あまり外には出かけられないだろう。いつものことではあるのだが。
そもそも団体で海外に行って、まれに空き時間があったとしても、いろいろ不測の事態があったりするので、私と制作の古元だけは町歩きなどできないということも、よくあるのだ。
今回、二十年使ってきた海外旅行用のバッグを、さすがの老朽化で、買い換える。他にも揃えたいものがあるので、買い物に出かけなければならない。慌ただしいが、考えてみれば、どこに出かけようが何をしていようが、たいていいつだって慌ただしいのだ。
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「婚外子」というコトバが嫌だ

2013-09-05 | Weblog
婚外子の遺産相続分を、法律上の夫婦の子の半分とする民法900条4号の規定が憲法に違反するかどうかが争われた裁判で、最高裁大法廷は「規定の合理的な根拠は失われており、法の下の平等を保障した憲法に違反する」とした。明治時代から引き継がれた婚外子規定を合憲とした1995年の判例が覆った。「裁判や調停などで確定済みの他の遺産分割には影響しない」という注釈付きである。早ければ民法改正案が秋の臨時国会に提出される。出生届に婚外子かどうか記載することを義務付けた戸籍法も改正する方向で検討を始められたという。これまで「主要先進国で規定が残るのは日本だけ」とされており、「差別」の撤廃は進んでいるというわけだが、あまりにも遅すぎる。
結婚していない男女間に生まれた子を抱えて苦労するのは、ほぼ「女親」である場合が多いだろう。法律は整備されても、この国の保守勢力は「女親」に対して冷たい。既婚者であってもそうだ。「週刊現代(8月31日号)」に寄せられた、曽野綾子「甘ったれた女性社員たちへ 私の違和感」には、「出産したらお辞めなさい」という見出しがついており、「マタニティ・ハラスメント」や「セクハラ」という、社会の中で自然と生まれた概念を示す言葉を、「汚い表現」と決めつけ、「企業側は、(妊娠・出産した女性社員に対する嫌がらせやいじめについて)反対意見を言えないよう言論を封じ込められている」「実際的に考えて、女性は赤ちゃんが生まれたら、それまでと同じように仕事を続けるのは無理」「彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度」と発言しているという。教育改革国民会議委員や現在でも教育再生実行会議委員などを歴任してきた人間が、労働基準法65条で保証されている産休制度を否定しているのである。「女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです」というが、その「確保」にどういう具体的なプランがあるのか。こうした蒙昧によって「少子化」にさらに拍車がかかり、この国の労働人口も減少していく。そして私たちは、狭義の「専従子育て」の強要が、母親たちにとってストレスであることを知る時代となっている。「保守」であるはずの人たちが、自分たちの国を守っていく気がないのである。
それにしてもこの国は、戦争に負けていなければ、明治時代の法律がもっともっと生きのこっていたのではないか。自分自身で変わることのできない国である。

2020年夏季五輪開催地を決めるIOC総会を前にした記者会見では、東電福1原発の汚染水漏洩問題について、招致する日本に対して厳しい質問が相次いだという。当然だ。
政府自民党では、今更のように「事故発生時の菅直人首相が「東電任せ」に終始したことが、問題の背景にある」として民主党政権の責任を問う声が出ていたり、「責任転嫁」も盛んのようだ。原子力損害賠償法は「異常に巨大な天災地変」による損害に対し電力会社を免責し、国が責任を負うと定めており、「菅政権はこの規定を適用しなかった」というわけだ。河野太郎衆院議員が「東電に資本が残ったまま、国が税金を投入するのは、納税者が東電の株主を助けることになる」というのはもっともだが、自民党が与党になった後も同じことだったではないか。そもそも「原発国家」が作り上げられたのは自民党長期政権の時代だ。
平沢勝栄衆院議員は「なぜ五輪招致前に発覚したのか」と言ったらしいが、これはかなりの問題発言である。「発覚」というコトバはこの立場でこのように使われるとどういう意味になるか、わかっていないのではないか。

ジャック・ニコルソン引退の報。『カッコーの巣の上で』をリアルタイムで観た世代としては感慨深い。
私たちの時代が少しずつ「過去」になっていく。しかし「汚染」だけは「過去」になっていかない。
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「オリンピック開催は2020年であって今年ではない」

2013-09-04 | Weblog
国際オリンピック委員会(IOC)の委員は103人。7日にブエノスアイレスで開かれる総会で、2020年五輪開催都市決定の1回目に投票権を持っている委員は97人。会長と立候補都市のある国の委員、計6人には投票権がない。
候補地の一つ東京は、まったく解決していない福島の原発事故問題から逃れられるはずもない。しかし五輪招致委員会の竹田理事長は、投票権を持つIOC委員に手紙を送り、福一原発の汚染水漏れ問題について「東京は影響を受けておらず、安全だ」と訴えたらしい。安倍首相は「政府が前面に出て完全に解決していく。抜本的な措置を断固たる決意で講じており、7年後の20年には全く問題ないとよく説明したい」と、IOC総会で訴えるという。
安倍の言う「抜本的な措置」とは何なのか、具体的に言ってもらいたいものだ。そんなにいい方法があるならなぜとっくに実践していないのか。そしてそれを国民に教えてくれないのか。子供だましもいい加減にしてほしい。世界からの非難が目に浮かぶが、どうせ日本では報道されないのだろう。
そもそも汚染水だけが問題なのではない。事態はあらゆる方向から刻々と悪化している。万が一、東京に決まったとしても、大きな不安を抱えたままになる。そのストレスに政府と関係者が、そして国民が、耐えられるわけがない。海外選手の出場ボイコットもありうるし、その頃には、更なる汚染も予想される。いや、2020年に、我々は東京に住んでいられるのか?
IOCの委員の一人はインタビューに答え「オリンピック開催は2020年であって今年ではない」と言う。これをこの国の誘致派の人たちは吉報と捉えているらしいが、逆だろう。開催地を決める人たちにとって、「2020年に起きているかもしれない事態について、まったく責任を持てない」という意味でなければ、筋が通らないからだ。
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初めての新潟

2013-09-03 | Weblog
新潟での「演劇大学」。じっさいに新潟大学の構内で行ったので、ほんとに「大学」っぽい? 三時間近くぶっ通しの講座、そしてシンポジウム。さまざまな新潟の演劇関係者の皆さんと交流できた。ありがたい。写真は二次会の後でのもの。
じつは新潟大学の演劇部は私の戯曲をよく取り上げてくれているのである。最近も上演した現役部員たちとは会えなかったのが残念。
翌日は開館十五年となる〈りゅーとぴあ〉を訪ねる。演劇ホールは客席の傾斜が見やすい。能楽堂も素晴らしい。専属ダンス集団もあり充実している。
中央区長さんとも話。いろいろと勉強になる。
そして市民が支える映画館シネウインドを訪ね、いろいろと話を聞かせてもらう。そう、私の秋の新作は題名が『ここには映画館があった』というものである。
「ソースカツ丼」類に関心の強い私としては、残念ながら新潟名物タレカツ丼を本場で食べることはできなかったのが、心残り。
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「劇団」の公演であるということ

2013-09-01 | Weblog
午前中はひたすら雑務に追われるがなんとか脱出、バスの混雑に悩まされつつ武蔵関・ブレヒトの芝居小屋へ。東京演劇アンサンブルの代表作とされている『桜の森の満開の下』を、ようやく観ることができた。
大半の時間を桜吹雪が縦横に吹き荒れる、なるほど濃密な一時間余だった。公家・原口コンビもこのシンプルだが艶やかな世界を必要充分に動き、役を手に入れた自在さを見せつける。それにしても、劇団の総合力と結束力に、あらためて感心させられる。
三十年近く前にこの劇団で二代目「山賊」役だった、今は沖縄の論客である宮城康博さんに「観たぞー」と電話。宮城バージョンからほぼ今の演出になったらしい。二十代前半でこの大役に抜擢されるとは、さすが俳優・宮城もただ者ではなかったのだなあ。
本作は今年シビウ演劇祭のオープニングを飾ったということだ。我々も四年前『屋根裏』でルーマニアには行ったが、いずれシビウにも参加したいものだ。
終えて駆け足で俳優座劇場へ。こんにゃく座『銀のロバ』を観る。こちらも好感の持てる誠実な劇だった。反戦のメッセージを親しみやすく。若い俳優たちがはつらつとしている。全国の子どもたちに見せるに価する内容をじゅうぶん備えている。
また駆け足で梅ヶ丘へ。自分のところの『屋根裏』本番を観る。最近常連の大学同期十名の強者たちが来てくださる。
そしてまた移動。湘南新宿ラインの遅延にはらはらしつつ大宮で乗り換え新幹線最終。車内で今日の自劇団本番についてのノート。ちょうど書き終えて、本当に零時、ミッドナイト新潟に着く。
そういうわけで世間の動向を知ることもなく、演劇人らしい一日を送ったのであった。
純然たる「劇団」公演を三つはしごしたわけだが、やはり「劇団」は演劇を作る基本の場だなあと、意を強くする。
いろいろ追い付かずプレッシャー多々。だが合間に複数の朗報も。どうやら、まだまだ踏ん張れということだな。
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