Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

日本は、人も国も「大安売り」

2013-09-18 | Weblog
安倍総理は外資系証券会社が開いた投資家向け講演会に次のようなメッセージを寄せたという。
「私の3本の矢の経済政策によって景色は一変しました。明らかに今の日本は『買い』です」
今後の成長戦略に自信を持っているということだ。
一国の総理大臣が民間会社のお客相手にこういう発言をするということじたいにまず違和感がある。
だがそれより、政治トップの人間が、「日本は『買い』です」と言って、いったいこの国を誰に買わせようというのか。日本は、言葉通り、「売り」に出されている。しかもリスクの高い投機の対象として、「大安売り」されているのである。だがこの国、全体がブラック企業もいいところだ。

環境省は、福島県内の避難区域のうち、年間の被ばく線量が20ミリシーベルト未満の「避難指示解除準備区域」の住民を対象に、
避難指示が解除されたあと、地元に戻る際、希望すれば携帯式の線量計を配るという。一定の期間が過ぎたら、住民から線量計を回収して被ばく線量のデータを集める。
福島県内の市町村ではそれぞれの自治体が線量計を配布しているが、国が費用を負担して市町村が除染を行う福島県以外の地域の住民に対しても、希望者には線量計を配布する。
「地元に戻る住民の被ばく線量を下げる対策に役立てていきたい」というが、つまり、この線量計を配って、被ばく線量のデータを集めるつもりなのだ。
ニュース映像によれば、線量計自体には表示部分がなく、ソケット上のものにはめ込むと現在形の数字が出る。
長い期間の集積結果を試験者自身が見られるようになっているのだろうか。回収して環境省の人間だけが見られるようになっているのではないかという疑惑が、私の知り合いたちの中から多く出ている。もしもそうなら、人間を、被災者を、避難指示解除地域に戻る住民を、「実験台」と見ていることになる。

毎日新聞等によれば、国際原子力機関(IAEA)総会の関連行事として16日夕、ウィーンで開催された日本政府主催の福島第1原発汚染水漏れ問題に関する説明会では、経済産業省、原子力規制委員会、国際廃炉研究開発機構などの担当者が出席。山本一太科学技術担当相は「汚染水対策は最も緊急性の高い課題だと認識しており、政府が前面に立ち、抜本的な解決に当たる」と言ったが、ほとんど信用されなかったようだ。各国の専門家から抜本対策の遅れや規制当局のあり方などを問う厳しい指摘が相次いだという。
「会場からの質問は今後の対策よりもむしろ、汚染水漏れの深刻化を招いた責任を問うものだった」という。「汚染水問題は原発事故直後から予想できた。なぜ2年以上もたった今まで持続的な解決策を見いだせなかったのか」等の質問に、日本の専門家たちの回答は、「第一義的な責任は東京電力にある」「原子炉建屋に流れ込む前に地下水をくみ上げて海に放出する計画が漁業関係者らの反対で困難になっている」等と、人のせいにするばかりだったらしい。
経産省の担当者が「法的な責任は東京電力にあり、我々はサポーターの立場。東電には資金もアイデアもなく、2年間も良くない状況が続いてしまった」と釈明すると、会場から「責任転嫁ではないか」との「失笑が漏れた」(毎日新聞)。
アメリカのコメディアン、ビル・メイハーがテレビで「もし世界が一丸となって、有毒なものをまき散らす国は攻撃するというのなら、攻撃するべきはシリアではなく、それは日本だろう」と言ったという。
失笑やブラックジョークですまされるのは、今のうちだけだろう。

悲惨な現実を軽く見積もって現実逃避しようと、人の命や汚染の進行という現実を安く見積もっている、本当に社会性の欠如した愚かな国。
「大安売り」したって、誰も買わない。
コメント
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