Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『屋根裏』ヤルタにて上演

2013-09-14 | Weblog
燐光群『屋根裏』が、ヤルタ・チェーホフ演劇祭のオープニングを飾りました。
オープニングセレモニーは、劇場前広場。海岸通りであるレーニン通りとチェーホフ通り(!)に挟まれた場所にあるこのチェーホフ劇場がヤルタの街の中心的な文化スポットなので、町を挙げての大騒ぎだったようだ。
ようだ、というのは、こちらは直前まで字幕の調整など場内でてんてこ舞いだったから。おそろしいことにフェスティバル事務局のパソコン異常で、字幕の一部が壊れていたのだ。移し替える際に異変が起きたのだろう。MacとWindowsの相性の問題かもしれない。で、ついに間に合わず、一部を英語字幕に差し替えて上演することに決定。少し開演が遅れたので、私が開演直前に舞台前に出て挨拶、字幕のことを話す。ウクライナ語通訳の人は素人さんなのでビビったため、一人で出て、スーパーカタコト英語で喋るが、なぜか拍手喝采。……まあとにかく劇場入りからトラブル多々であった。それでも幕は開く。
序盤は堅かったが、「マーケット」シーンで「マイケル・ジャクソンが入っていた〈屋根裏〉」のくだりで受け始め、中学生の少年少女のシーンではクスクスしはじめ、宗像少女の「セクハラ返し」キックに大爆笑とどよめき。短いシーンが並ぶ芝居だとわかってくると、シーンによっては(静けさを重視しなくていいのが明らかな場合)、終わるたびに拍手が来る、こんな現象は初めて。そんなこんなでなんとか進んでいく。
英語字幕の場面は言葉がわからないのでいろいろ問題はあった。この地で英語のできる人は三割。ご高齢のお客さんも多いからその比率はさらに減っていたはず。ともあれ終了。
終演後、VIP席で観ていたヤルタ市長が出てくるなり私の所に寄ってきて「Great!」を連発。ウクライナの演劇人も面白がってくれた様子。
副市長とウクライナ高官も観ていたこのボックス型VIP席、ちょこっと座ってみたが、ソファも楽ちんで足下も余裕があり、こりゃあ贅沢な観劇環境だ。ボックス型なので、〈屋根裏〉から『屋根裏』を観ていた風情ではある。
まあ、この街にいると、ソビエトがあった時代と今の変遷を、否応なく感じる瞬間がある。
フェスティバル事務局がまだ写真をくれないので、まずはこの身内写真。舞台仕込みの日。左にいるのは照明班、海外スタッフとの呼吸はすぐに合った。舞台前では〈屋根裏〉セット組み立て中、ここは日本組だけ。客席で舞台に手をついているのが、私。客席からの見え方を試行錯誤して、前後位置など微調整。
演劇祭は十八日まで。
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何も言えない世の中でいいのか

2013-09-14 | Weblog
自民党石破幹事長は東電福1原発への地下水の流入で汚染水が増加していることに関し「漁師の理解が必要だが、地下水が汚染される前にバイパスして海に放出することを理解してもらわないといけない」と発言。「地下水を汚染前にくみ上げて海へ流すべき」と言った。オリンピック誘致の国際的な責任のある場で総理大臣が「汚染水を完全にブロックした」と言ったその直後にである。

今でさえ我々が得る情報は制限されている。政府が進める「秘密保護法案」は、国民の「知る権利」を、さらに奪うだろう。自由や人権よりも、国の安全保障が最優先されるという法律だからだ。少しずつ「知らされないこと」が増えてくる。しかも我々がそれを気づかない間にだ。
特段の秘匿が必要な「特定秘密」の事項にある「公共の安全および秩序の維持」の項目が「安全脅威活動の防止」「テロ活動の防止」と改められた。この「特定秘密」の指定範囲はあまりにも曖昧で、取り締まる側の「拡大解釈」によって恣意的に判断されてしまう可能性がある。
憲法に保障された国民の「知る権利」の収奪は、アメリカの安全保障政策を真似ているだけのように思う人もいるだろうが、日本政府のせこい自己防衛により情報管制を行った上での「国家主導」を打ち出す意志は明白だ。

そう憂いていたら、時事通信が行った最新世論調査で、機密情報を漏えいした国家公務員らの罰則を強化する特定秘密保全法案について賛否を聞いたところ、「必要だと思う」と答えた人は63.4%、「必要ないと思う」は23.7%だったそうだ。「この法案には国民の知る権利や報道の自由を制限しかねないとの異論もある」と説明した上で質問。有効回収率は64.7%という。
まあ、かつて「コンピューター監視法案」も知られていなかったとはいえ、すんなり通過したわけであり、つまり日本国民は、どのようなことでも政府のやるに任せていいと思っているのだ。適当に放っておいたら誰かが何とかしてくれる世の中だと思っているのだ。体制に依存しきった「お客様社会」ここに極まれりということか。

河北新報によれば、東電福1原発3号機の原子炉建屋の上から湯気が出ているという。建屋の隙間から雨水が入って格納容器の蓋で温められたり、格納容器内に封入する水素爆発防止用の窒素ガスが漏れたりして、湯気になった可能性がある。以前は大騒ぎしていたこういうニュースも、もう日常化している。

2020年東京五輪開催誘致での安倍首相による東電福1原発の汚染水問題についての「状況はコントロール下にある」「汚染水の影響は原発の港湾内0・3平方キロ内で完全にブロックしている」発言の真偽を外国メディアが検証し始めるという。「国際公約」ともいえるこのプレゼン発言を、とうの東電や経産省が否定。放射性ストロンチウム等を含む汚染水が地下水と混じっているという。
国際原子力機関(IAEA)は汚染水漏れを「緊急に取り組む必要のある課題」として、今秋、再び調査団を日本に派遣する。「コントロール下にある』という発言を肯定するような結果が出れば、世も末だ。

そして、調査を受ける云々以前に、安倍首相は、プレゼン発言の内容が国民の認識とはずれているのだから、しっかりと国内でも説明する責任がある。
よそで通った「嘘」だから「本当」になる、なんてことはないのだ。
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