Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「体罰」批判と「入試中止」は繋がらない

2013-01-17 | Weblog
自殺した大阪市立桜宮高校のバスケ部キャプテンへの顧問教諭による「体罰」問題は、妙な方向に脱線していった。「体罰ではなくて虐待だ」と非難が高まる中、大阪市教育委員会は、同校同部とそれ以外にも体罰が継続的に行われていたバレーボール部の、無期限活動停止を決めた。義家弘介文部科学政務官は「練習試合の最中、コートの中で体罰が行われていて、全く問題にならなかったことが異常。街でいきなり、気にくわないからって平手打ち4発、5発やったら、110番入りますよ!」「社会と学校が、あまりにもかけ離れている」「体罰ではなく、日常的、継続的に行われた暴力だ」と、主に教育委員会に対して厳しく批判。次に橋下徹市長は「体育科の受け入れ体制が整っていない」として、「入試の中止」を教育委員会に求めた。体育科(募集人数80名)とスポーツ健康科学科(同40名)について入試を中止し、すでに120人募集することになっている普通科に振り替えようというのだ。橋下市長は「体育科をそのまんま入試をやるなんてことやったら、大阪の恥ですよ!」「体育科を目指してきた生徒諸君は、頑張ってきたのはよく分かるが、今こういう事態だから、1回ちょっと、ここは我慢してもらって、しっかりこちらの方も受け入れ体制を確認しますんで」という。入試は1か月後に迫っており、決定権がある教育委員会は「すぐには受け入れがたい」としている。体育科・スポーツ健康学科は国・数・英に加えて3種目で運動能力検査があるのに対して、普通科の試験科目は国・数・英・理・社の5科目。体育科志望の生徒の普通科への「転進」は容易ではない。……橋下の言い方は、個別の顧問のやったことが「大阪の恥」と言うのが、そもそもナンセンス。なんで「大阪の恥」なんや? そもそも橋下=石原は体罰容認だったはず。当然の如く、世論は「受験生に罪はない」「中止すべきでない」が大勢。それは常識であり良識だろう。学校や学科の存在そのものに罪があるはずはないからだ。ましてや、体育・スポーツ健康学に進みたい子供たちの「学ぶ権利」がないがしろにされていることこそ、問題だ。「悪いところがあったからいったんなくせ」というのは、解決策を持てない、責任を持って解決する自信がないと白状しているようなものだ。「自殺」という結果を便利に使われたのでは、死者が浮かばれない。自殺した生徒は「入試中止」「教員総入れ替え」を望んでいただろうか。死者の思いはわからない。「平手打ち4発、5発」と橋下が容認する「もみあげを引っ張る」ことの、どちらが生徒を傷つけるかもまた、判定のしようがないはずだ。体罰を認めるシステムそのものに問題があったなら、学校・学科だけの責任ではないはずだし、橋下は自らも、事件後も含めた体罰肯定発言を反省し、辞職すればいい。……やめてすむなら、あらゆる要件は、とことん無責任になる。「是正して運営が健全化した」という以外は「解決」ではない。人間が入れ替わったから禊ぎは済んだ、というわけだ。「教員の総入れ替え」は、権力による恣意的な首切りを認めさせる「前例」でしかない。けっきょく教育機関・教育委員会に責任を押しつけ、保守的な市長の教育方針は今回とは無関係であると強調し、逆に市長の教育行政に対する支配権限を強化しようとしている。こんなごり押しが通れば、次はどんな保守的な「強権発動」が出てくるか、わからない。そしてまた、この件がマスコミに大きく取り上げられることが、橋下大阪市体制のさまざまな矛盾を隠蔽する役割を果たしていることも、否定できない。
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