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“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「名ー姓」か、「姓ー名」か

2020-01-06 | Weblog

日本政府は、公文書で日本人の氏名をローマ字表記する場合、「姓ー名」の順とする方針のようだ。昨年、文部科学大臣から提案があり、閣僚懇談会で了承されたという。

かつて、2000年、第22期国語審議会「国際社会に対応する日本語の在り方」答申で、「姓名のローマ字表記についての考え方 」が示された。

「人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し、生かしていくべきであるという立場から、そのような際に、一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として、一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・ 記述されることが望ましいと考える」「したがって、日本人の姓名については、ローマ字表記においても「姓ー名」の順 (例えばYamada Haruo)とすることが望ましい。なお、従来の慣習に基づく誤解を防ぐために、姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo)、姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で、「姓ー名」の構造を示すことも考えられ よう」「今後、官公庁や報道機関等において、日本人の姓名をローマ字で表記する場合、並びに学校教育における英語等の指導においても、以上の趣旨が生かされることを希望する」

当時の文化庁からは「外来語・外国語の取扱い及び姓名のローマ字表記について(依頼)」という通知が発出されたという。

それから二十年、ローマ字表記においても「姓ー名」表記が進んでいるという様子は、あまり見受けられない。

私も海外に行ったり、海外の人達とアルファベットでやり取りするときは、「名ー姓」でしか表記したことがない。そもそもパスポートが「名ー姓」である。正直言うとアルファベットでの「姓ー名」には、不便を感じる。

ただし、韓国・中国・ベトナムなどアジアの多くはアルファベットでも「姓ー名」順の国が多いし、ハンガリーなども「姓ー名」である。

姓をすべて大文字とするのは子どもっぽく感じられるし、例えば戯曲の翻訳などで「姓ー名」か「名ー姓」かで混乱するのも得策ではない。その国で行っているオリジナルを尊重するなら会話の中では「姓ー名」が適切ということになる。

あまり海外との接触がなかった人のほうがアルファベットの「姓ー名」表記に抵抗がないのだろうとも思う。

そうしたことを考えていくことは必要だと思うが、私自身は、アルファベットでやり取りするときの「名ー姓」という「常識」は、なかなか変えられないように思う。

「名ー姓」は、明治時代の日本の「脱亜入欧」の考え方に基づいているのではないかと言われれば、その通りだとも思う。だが、たんにアルファベット世界での表記は「名ー姓」が一般的なのでそれに合わせただけ、という考え方が、私にはしっくりくるのである。

 






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