Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

TPP「聖域」を、あっさり放棄?!

2013-10-07 | Weblog
報道によれば、バリ島での環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、関税を扱う「物品市場アクセス」で、全品目の関税を撤廃する自由化の原則を維持することで一致。
参加国首脳が8日に開く会合で年内妥結の目標を維持することを確認する方向となったそうだ。交渉テーマのうち半分超の合意が年末まで先送りされる。
オバマ米大統領の欠席の影響で交渉が遅れるかもと期待(?)した向きも多かったようだが、アメリカ不在での失速を怖れて逆に頑張ろうとした者もいたようだ。
先行きは不透明だが、日本政府・自民党は、「聖域」と位置付けてきたコメ、麦、牛・豚肉、乳製品、サトウキビなど農産物「重要5項目」の関税維持を求める従来の方針から転換、「品目ごとに撤廃できるかどうかの検討に入った」という。
え、なぜそんなことをそんなにあっさりと言ってしまえる? これまで重要5項目を「聖域」としてきたはずじゃなかったのか。
自民党・西川TPP対策委員長は記者団に対し「(重要5項目の中で)抜けるか抜けないかの(品目ごとの)検討はさせてもらわないといけない」、甘利TPP担当相は「党で考えていただくのはありがたい。連携をとっていきたい」。自民党が選挙民を騙しさらに変更した公約さえ諦め、政府はそれを受けて重要5項目の扱いの再検討(放棄)に入るということだ。重要5項目の関税維持を求める農協に対し、今月になってからも自民党・石破幹事長が「重要5項目は必ず(関税を)守る」と断言していたにもかかわらず、である。もしも特別扱いが認められなければ、安価な外国産品の流入により日本の農業生産額は3兆円の減少が見込まれている。うち8割をこの重要5項目が占めている。
これは、強硬姿勢のアメリカはじめ諸外国のTPP交渉の大筋合意表明に向けた勢いを阻むことができなかった、事実上の「敗北宣言」である。そのはずだが、日本のマスコミはこうした状況をただ淡々と報じている。どうしたことだ。
マレーシアのナジブ首相は、TPP交渉について「年内の目標よりも長くかかるかもしれないというのがわれわれの感覚だ」と、年内妥結に否定的な考え方を示し、おのれを貫いている。
日本も胸を張って譲らぬ姿勢を見せることができないのは、オバマ不在のアメリカを気にしているからだろう。
それどころではないはずだが、1000兆円債務国家はもはや鈍感になって当座をごまかすことのみに腐心し、自滅の道をひた走るつもりのようだ。TPP交渉に遅れて参加したことも、「もう決まっちゃってたから変えられなかった」という「言い訳づくり」のためではないだろうな。
5項目の中での駆け引きになれば、沖縄・奄美、南島のサトウキビがまず最初に差し出されるだろうという噂もある。ここでも真っ先に沖縄に負担を押しつけようというのか。

新型輸送機MV22オスプレイも参加する、米軍+陸上自衛隊の日米共同訓練に反対する集会が高島市であり、市民らが「オスプレイはふるさとを飛ぶな」「住民の命を守ろう」とシュプレヒコールを上げながらデモ行進したという。高島の市民団体の代表は「日本中にふるさとを愛する人が暮らしている。オスプレイが飛び回っていいところはどこにもない。米国に帰ってもらいましょう」と訴えたというが、いくらアメリカのことを持ち出しても、今「帰ってもらいましょう」というと、それは現実には「沖縄に帰ってもらいましょう」ということにしかならない。「帰ってもらいましょう」のコトバの重みは、ヤマトと沖縄では違う。

それにしても、「戦争は嫌だ!」と本気で発言する人が減っている気がする。戦争に反対することにリアリティを持てない者たちが蔓延しているのだろう。壊滅的に敗北するとか、占領されるとか、「総合的な淘汰」に晒されない限り「やり直し」ができないという「刷り込み」が行き渡ってしまっているのだろうか。だとすれば、この「敗戦国民根性」を脱却する方策こそが必要だ。
そして、「絶対に譲らない」とすれば、まず沖縄の状況を変えていくしかない。

日本で働く外国人の能力を点数化し、高得点者の在留資格などを優遇して有能な外国人労働者の受け入れを促進する「高度外国人材ポイント制度」について、在留外国人らからの「認定する際の要件(とくに年収の基準)が厳しすぎ、利用しづらい」という不評を受けて、法務省が見直し案をまとめたという。といっても、研究者の年収の最低基準をなくす程度で、根本的見直しではなさそうだ。
ポイント制度は、研究者、技術者、経営者の3分野で、年収や学歴、職歴などを点数化し、合計70点以上の外国人を「高度人材」に認定するものだというが、ここに横たわる「差別」の感覚に対して、関係者はあまりにも鈍感な気がする。海外からの労働力抜きにはやっていけない国であることは明白なのに、あまりにも「上から目線」の自分本位である。
この国の、身勝手さや差別性についての鈍感さは、歯止めがきかないものになっている。チェック機能も見られず、国の施策を批判する世間の「良識」派に対するエクスキューズ、応対の慎重ささえなくなっている。あからさまなのだ。

自民党・塩崎政調会長代理は、東電福1原発の廃炉や汚染水漏れ対策に関し、「福島第1原発を全部扱う会社と、それ以外の東電とに分けた方がいいという考えを今議論している」と発言。東電を分社化し、専門の別会社を設立する案を党内で検討しているという。これで、福島を切り捨てて「クリーン」になった本家の東電は安泰、ということになるのを狙っているのだろう。
桜田文部科学副大臣は千葉県北西部の市長・国会議員らに、「(処理に困っている、福一事故で放射能に汚染されたごみを焼いて出た焼却灰を)原発事故で人の住めなくなった福島に置けばいい」と発言。福島「切り捨て」は各方面から「当然」のように語られている。
しかし本家本元の会社がまさに命がけで責任を取らなければならないはずの核心部分を切り捨てて禊ぎを受けたように再生しようというのは、犯罪的なまやかしだ。社内で切り捨てられる立場になるのは誰なのか知らないが、どうせ抜け道は用意されているのだろう。
東電を解体するとすれば、しっかりと責任を取らせた上で、確実で無駄のない処置をするための国営化を果たすべきであり、それを怠り避けて逃れている政府もまた、同罪である。

東芝は、英国で原発の新設を進めているというフランス・スペイン合弁会社「ニュージェン」を買収する方向で最終調整に入ったという。買収額は少なくとも100億円を上回る見通し。原発事故を受けて「国内の新設は難しい」ことから、欧州やアジアなど海外での原発事業を強化するそうな。
東芝が海外で原発の事業運営会社を買収するのは初めて。建設後の原発運営は電力会社などに委託する方針という。そんなに甘くことが進むと思うのか。
本当にこの国は「原発ビジネス」を止めようとしないのだ。

朝日新聞の世論調査によれば、安倍首相が来年4月に消費税を8%に引き上げると決めたことについて、「評価する」51%。「評価しない」の38%より多い。再来年10月に消費税を10%に引き上げることにも賛成は24%(反対は63%)。安倍内閣の支持率も56%と、「安泰」だそうだ。
日本国民はなぜこの政権を許すのか。
自分が多少損することは仕方ないが、大きな声でものを言う者に縋っていれば、とりあえず何とかなるとでも、思っているのか。
そんな甘いはずはないだろう!

防忘録として始めた面もあるこのブログだが、たった一日でこれだけのことが起きている。こんなことに時間をかけている余裕はないのだ。勘弁してほしい。
この先はいったいどうなるのか。
コメント
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