Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

秘密にする気力さえ消えていくのか

2013-10-03 | Weblog
小野寺防衛大臣は、「航空機どうしの戦闘は、パイロットの力量ではなく兵器の能力で勝負がつく。そのため、新しい兵器を持つことがとても大事だが、その開発は多国間で行っている」などとして、最先端の軍事技術の開発は多国間で共同して行うことが多いため、日本がそうした枠組みに入りやすくするよう「武器輸出三原則」を抜本的に見直すべきだという考えを示したという。そうしなければ「日本が本当の意味で取り残されてしまう」という。
「国連のPKO=平和維持活動に参加する自衛隊員が、武装集団に取り囲まれた日本のNGOの人たちを救ったりすることは多分できない」として「武器使用基準の緩和」も訴えた。
日本が「自衛」のみであることを徹底し、武器を出さない、よその国で戦闘行為をしないという原則を守れば、そもそもそんなリスクはないし、平和憲法を守ることで、取り残されるどころか、世界の最先端にいられるはずだ。本末転倒も甚だしい。

12カ国による環太平洋連携協定(TPP)交渉の閣僚会合がインドネシア・バリ島で開幕。日本のコメなど5項目の「聖域」が通るのか否かなどの他に、「知的財産権」のことも話し合われるらしい。
年内妥結の「大筋合意」が、内容も知らされぬままに一人歩きしている。

安倍首相の「熟慮したうえでの結論」で、来年4月から消費税率は8%に引き上げられるという。再来年10月には、10%にアップされる、って、本気なのか。消費税8%は、7.5兆円~8兆円の大増税。政府の「経済諮問会議」によれば、国民1人当たり年間5万円の負担増になるそうだ。
1999年に労働者派遣法が改悪されて以来、非正規雇用は増え続け、今や全労働者の約4割。「一億総中流」時代は夢のまた夢。貯蓄なし世帯は約30%。生活保護受給世帯数が過去最多の158万8521世帯。消費が冷え込むのは当然、倒産も失業も増え、デフレ状態は必至。
安倍首相は「消費税収は社会保障にしか使わない」としつつ、法人税は減税、6兆円の大経済対策を行うのだから、この国の中心はやはり「大企業」だということだ。
消費税を導入していないアメリカのメディアは日本の消費増税を危惧する報道が多い。安倍首相はときどきアメリカとは違うことをやってプライドを維持する感じがあるが、それが消費税なのは、納得しがたい。

日本には独自の考えがない、ということが、この間の多くの出来事の中で、際だって感じられる。
そして、都合の悪いことは秘密にする。

秘密といえば、なんとしても成立を阻止すべき秘密保護法案だが、国民や有識者により厳密に討議されるべきその検討過程から、既に秘密だらけのようだ。
タイトルや見出し以外は真っ黒に塗りつぶされた特定秘密保護法案に関する開示文書の写真が「情報公開」されたが、ほんとうにべったり黒塗り状態。隠す理由は「公にすることにより、国民の間に未成熟な情報に基づく混乱を不当に生じさせる恐れがある」ということだが、それだけの重要事なら、だからこそ開示すべきであると思うのが、筋だろう。
文字通りブラックだが洒落にもなりはしない。

東電福一原発で、また汚染水が漏れている。
地上から5メートル余りのタンクの側面にある点検用の通路がせきの外側に張り出していて、これを通じて汚染水がせきの外に出ていたという。このタンクの近くには外洋につなる排水溝があり、東電は「排水溝を通じて海に流出した可能性も否定できない」として、せきの外に流出したタンクの汚染水の量を約430リットルと推定。汚染水には、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり58万ベクレルの濃度で含まれていたという。
このタンクじたい、8月にも漏出が発覚した、鋼板をボルトでつなぎ合わせる直径9メートル、高さ8メートルの円柱状タイプ。漏えいタンクを含むタンク群は、西から東へと傾いた地形の場所に5基並び、連結して使用していた。漏えいタンクは一番東側にあり、天板から10センチの位置まで水を入れていた。天板はボルトで留める構造だが、実際に締めていたのは一部分だけだったという。なんという杜撰さだろう。
「最も高い位置にある西側のタンクの水位計を見ながら作業していたため、低い東側のタンクの端から漏えいしているのに気付かなかった」というが、一番低いものに付けなきゃだめに決まっている。なぜ平気な顔をしてそんなことが言えるのだろう。
これでは「汚染水をわざと流している」と疑われても仕方がない。
あるいは、もう秘密にする気力も残っていないというのが本当なのか。
コメント (1)
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