サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

ジョン

2018年03月07日 | サカタだよ
ジョンといえば多くの人が思い出すのはジョン・レノンのようで、Googleにジョンと入れてスペース
空けるとジョン・レノンが候補の筆頭に出ます。『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタ
も何番目かに出ますし、練炭自殺したというSHINeeのジョンヒョンが出ることもありますけれども、
ぼくの場合はジョンというと真っ先に思い浮かぶのはジョン・アンダーソンです。



ジョン・アンダーソンはイエス(Yes)というイギリスのプログレッシヴ・ロックのバンドの中心人物の
1人です。プログレッシヴ・ロックは直訳すると「進歩的ロック」になりますが、どこが進歩的なのか
強いていえば変拍子や転調や長いソロ演奏が特徴的な技巧派ロックで、進歩的とかいうわりには
クラシックに歩み寄る傾向のあるロックです。70年代が全盛で、当時最先端のシンセサイザーを
駆使するところも「進歩的」だったかもしれません。



先端技術を駆使したりクラシックに歩み寄るのは、ジョン・レノンがいたビートルズの影響を抜きに
考えられないので、その意味では同じジョンでもジョン・レノンのほうが、ジョン・アンダーソンよりも
偉大であるのは間違いないです。断然レノンが偉いし、イエスよりもビートルズのほうが歴史的な
功績が大きいに違いない。でも、ぼくが飽きずによく聴くのはジョン・アンダーソンが在籍している
イエスなんですね。ビートルズは好きだけど、たまにしか聴かない。



進歩的なイエスのどこがいいか、考えてみると演奏はすごく上手だけどアラもあるし無理もある。
つぎはぎだらけの壊れものみたいなバンド(『壊れもの』というアルバムで評価を高めて『危機』と
いうアルバムで地位を確立した)を、ゆるく束ねているのが少年みたいなジョン・アンダーソンの
ボーカルです。少年みたいなのは容姿ではなく声です。たいへん変わった声をしています。



ロックのボーカルは大抵、悪そうだったり野太かったり嗄れていたり、男性的ですけど、例外的に
イエスのボーカルは純真無垢な子どもが歌ってるみたいな癒しが魅力で、演奏がメチャクチャに
聴こえてしまうような「進歩的」な曲でもジョン・アンダーソンの声が入ると奇跡のように素晴らしい
構築物に思えるんですね。同じプログレでも例えばキング・クリムゾンはイエスより前衛的ですが、
ボーカルのジョン・ウェットンがどこか演歌っぽいので印象が暗い。そこがいい。ピンク・フロイドも
暗い。そこがいい。プログレは陰鬱な音楽なのに、イエスだけジョン・アンダーソンがいるせいで、
難しいことをハードにやっても明るく聴こえてしまうのが面白い。



聴いたことがない人にこんな長文をつらねて伝わるとも思えませんが、それぐらいジョンは独特な
存在なんです。ジョン・アンダーソンのいないイエスなんて考えられない。にもかかわらず、バンド
はメンバーの離合集散を繰り返し、イエスからジョン・アンダーソンが抜けた時期が何度かあって
いまもそうです。30年ぐらい前もそうでした。



30年ぐらい前はイエスを抜けたメンバーが集まって、それぞれの名前をつなげた長い名義で活動
していました。Anderson,Bruford,Wakeman,Howeといって、長いのでAWBHと略されてました。先頭
のAndresonが、ボーカルのジョンです。あとは順番にドラム、キーボード、ギターです。イエスという
バンド名が使えなくても、こっちの4人が実質イエスだという顔ぶれで、来日公演もありました。それ
を見にいくと、イエスの代表的なアルバム『壊れもの』や『危機』の曲をバリバリやりまくって実力を
見せつけていました。



ボーカルのソロパートで、会場が静まり返っているとき、ジョン・アンダーソンがこっちのほうに顔を
向けたのでゆっくりと手を大きく挙げてみたら、向こうも気がついて同じように手をゆっくりと挙げた
ことがありました。タイミングよく合図を送れば人は応えてくれるものだなと思った出来事です。



それからイエスに戻ったジョン・アンダーソンは、またイエスを脱退してメンバーの名前をつなげた
名義で活動しています。もう73歳なのに元気なことです。Anderson,Rabin & Wakemanという名義で
昨年、来日公演もありました。Rabinはギターで、以前ジョンがイエスを抜けたときイエスをやってた
人です。キーボードのWakemanは以前ジョンと一緒にイエスを抜けてABWHで共に活動した人です
から、離合集散のすさまじさが垣間みえますね。



来日公演を見にいったとき、いくらなんでも老人になったから昔のような天使の声は出ないのでは?
と心配したのに、出るわ出るわ。昔は声は優しくても顔は険しい場面がありましたが、今は年寄りで
角が取れてニコニコしっぱなし。飄々としたおじいちゃんが少年の声で歌う、『壊れもの』や『危機』。
生きてるってすごいと思わずにいられません。しかもライブをスマホで撮っていいとは「進歩的」です。
お言葉に甘えて撮りましたよ。



ややこしい演奏ばかりのイエスがめずらしくポップな、じつはヘンテコな「ロンリーハート」という曲で
ヒットを飛ばしたことがあり、その曲をやったらお客さんの一部(中年女性)が踊ること踊ること……
プログレで踊る人を見たのは初めてだったので驚きました。今日「ロンリーハート」を聴いたらそれを
思い出したので、ちょっと長くなりましたが書きとめました。最後まで読むのは大変だったと思います。
おつかれさまでした。
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