A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

memorandum 544 シリアス

2017-08-18 23:28:17 | ことば
●フィッシュマンズはだんだんシリアスになってきているように感じますが…。
「そうです。やっぱりシリアスにやらないと通じないと思う。そこが音楽がナメられる原因だって気が僕はするんです。音楽はかなりナメられてる。だからマジメにやる。純粋にやればそうなるんだと思う」
●誰がナメてるの?
「(笑)いや、9割5分の国民がナメてるよ。作る人も聴く人もレコード会社のひとも含めて、芸術の歴史というものを軽視してる。本当は、ミュージシャンの”こういうことをやりたい”っていう純粋な気持ちと、リスナーの”こういうのを聴きたい”という純粋な気持ちが直接結びつくのが普通じゃないですか。それがあまりになさすぎる。それに対して、誰一人立ち上がろうとはしない」
●立ち上がるというのは?
「オレたちは音楽を作ることしかないから、それでやっていくしかない。リスナーの心をむりやり変えることはできないわけだし。だからやっぱりただ作っていくことしかないけど。ほんと、悪い星の下に生まれたと思ってるよ」
(『ez』96年12月号、聞き手:水越真紀、212頁)


加藤典洋『耳をふさいで、歌を聴く』アルテスパブリッシング、2011年、280-281頁。

加藤典洋の著書からフィッシュマンズ・佐藤伸治のインタビューの孫引き。昔持ってた『フィッシュマンズ全書』(小学館、2006年)で読んだ気がする。やっぱりフィッシュマンズは正しい。
上記の「音楽」を「美術」や「批評」に置き換えても同様だろう。9割5分の国民が「批評」をナメてる。状況や業界、人の心を早々に変えることはできないが、私はただ書き続けよう。未来の読者に向かって。