京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

沙羅

2021-06-02 21:46:52 | 季節のことば

沙羅の花 捨身の落花 惜しみなく   石田 波郷

        

        沙羅は夏椿とも言われる。一日花なので、咲きたてのようなきれいな花が、夕方には

        ほとりほとりと地に落ちる。まさに潔い捨身を思わせる落花、落ちた花も絵になる。

        片づけるのがしのびない。

        

         褐色(かちいろ)の 根府川(ねぶかわ)石に

          白き花 はたと落ちたり

          ありとしも 青葉がくれに

          見えざりし さらの木の花   「沙羅の木」 森鴎外

 

        梅雨の季節に雫を溜めつつ、いよいよ白く凛と咲き、潔く散る沙羅の花を見ていると、

        梅雨だろうがコロナ禍だろうが、うつうつとばかりはしていられない、さあ、前を

        向いて!と言われているような気がする。

        白絹のようなこの花がそんな勁さを感じさせるのが不思議だ。