ヤブカンゾウのことです。
辛い恋の想いや憂いを忘れさせてくれる花として、万葉集にも歌われています。
鮮やかな朱色は目が覚めるよう、エネルギーに満ちた不思議な花姿が元気を
送ってくれるからかもしれません。
忘れ草 我が紐に付く 香具山の 古りにし里を 忘れむがため 大伴旅人
この歌は旅人が大宰府に長官として赴任した時に詠んだ歌。
忘れ草を帯に付けてみた、懐かしい明日香の故郷を忘れられるかと。
忘れ草 垣もしみみに 植えたれど 醜(しこ)の醜草(しこぐさ) なほ恋にけり 詠み人知らず
この歌の方が忘れ草のイメージに合っているような気がする。
苦しい恋を忘れようと垣根いっぱいに忘れ草を植えたけど、
何と忌々しい嘘つき草だ!余計恋の想いがつのっちゃったよ!
ね、ヤブカンゾウはあっけらかんと笑っているみたいだよ。