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京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

偲ぶ梅

2009-02-22 23:07:22 | ちょっと立ち話
母の庭では、父がお気に入りだった梅が今盛りです。

       
       父が植木屋さんの畑で直接選んで植えてもらった木です。
      

       
       可憐なピンクの花は春の青空によく映えます。今年は花が
       少ないようです。

       
       毎年短く枝を詰めるのですが、この庭に植えて35~6年、
       随分背が高くなりました。

        
       開花は少し遅めなので、この枝がピンクに染まると確かな
       春を感じるのです。

       平清盛の孫の一人に資盛(すけもり)という公達がいます。
       文武両道の魅力ある青年だったようで、私は大好きなのですが…
       彼の恋人に健礼門院右京大夫(けんれいもんいんうきょうのだいぶ)
       という歌人がいます。平清盛の娘・健礼門院徳子に仕えていました。
       後見人が継父である右京大夫藤原俊成だったので、その役職名を
       女房名にしたのでした。
       資盛が平家一門と共に西海に都落ちをした後、資盛を想って
       引きこもっていた右京は友人に梅見に誘われました。
       伏見の小さな寺ながら見事な古木の梅でした。
       「この梅を気に入って毎年必ず見に来ていたお方が今年は来られ
       ません。むなしく咲く梅が哀れです」と寺の主は言う。
       それは誰かと尋ねると、平資盛だと言う。

       思ふこと心のままに語らはむ なれける人を花も偲ばば
       ――梅の花よ、あなたも資盛のことを偲んでいるのなら、恋しい
         人のことを心のままに語り合いましょう

       資盛が自分の代わりにこの梅を訪ねてくれと私をここに来させた
       のに違いないと右京は一層資盛を案じるのでした。

       花は亡き人の思い出を偲ぶよすがなのですね。


       
       梅の木の足元にはクリスマスローズが楚々とうつむきがちに
       花を開かせています。

       今でも、庭にしゃがみこんで草花の手入れをしている父の姿を
       ふと見かけるような気がします。