母の庭では、父がお気に入りだった梅が今盛りです。

父が植木屋さんの畑で直接選んで植えてもらった木です。

可憐なピンクの花は春の青空によく映えます。今年は花が
少ないようです。

毎年短く枝を詰めるのですが、この庭に植えて35~6年、
随分背が高くなりました。
開花は少し遅めなので、この枝がピンクに染まると確かな
春を感じるのです。
平清盛の孫の一人に資盛(すけもり)という公達がいます。
文武両道の魅力ある青年だったようで、私は大好きなのですが…
彼の恋人に健礼門院右京大夫(けんれいもんいんうきょうのだいぶ)
という歌人がいます。平清盛の娘・健礼門院徳子に仕えていました。
後見人が継父である右京大夫藤原俊成だったので、その役職名を
女房名にしたのでした。
資盛が平家一門と共に西海に都落ちをした後、資盛を想って
引きこもっていた右京は友人に梅見に誘われました。
伏見の小さな寺ながら見事な古木の梅でした。
「この梅を気に入って毎年必ず見に来ていたお方が今年は来られ
ません。むなしく咲く梅が哀れです」と寺の主は言う。
それは誰かと尋ねると、平資盛だと言う。
思ふこと心のままに語らはむ なれける人を花も偲ばば
――梅の花よ、あなたも資盛のことを偲んでいるのなら、恋しい
人のことを心のままに語り合いましょう
資盛が自分の代わりにこの梅を訪ねてくれと私をここに来させた
のに違いないと右京は一層資盛を案じるのでした。
花は亡き人の思い出を偲ぶよすがなのですね。

梅の木の足元にはクリスマスローズが楚々とうつむきがちに
花を開かせています。
今でも、庭にしゃがみこんで草花の手入れをしている父の姿を
ふと見かけるような気がします。

父が植木屋さんの畑で直接選んで植えてもらった木です。

可憐なピンクの花は春の青空によく映えます。今年は花が
少ないようです。

毎年短く枝を詰めるのですが、この庭に植えて35~6年、
随分背が高くなりました。

開花は少し遅めなので、この枝がピンクに染まると確かな
春を感じるのです。
平清盛の孫の一人に資盛(すけもり)という公達がいます。
文武両道の魅力ある青年だったようで、私は大好きなのですが…
彼の恋人に健礼門院右京大夫(けんれいもんいんうきょうのだいぶ)
という歌人がいます。平清盛の娘・健礼門院徳子に仕えていました。
後見人が継父である右京大夫藤原俊成だったので、その役職名を
女房名にしたのでした。
資盛が平家一門と共に西海に都落ちをした後、資盛を想って
引きこもっていた右京は友人に梅見に誘われました。
伏見の小さな寺ながら見事な古木の梅でした。
「この梅を気に入って毎年必ず見に来ていたお方が今年は来られ
ません。むなしく咲く梅が哀れです」と寺の主は言う。
それは誰かと尋ねると、平資盛だと言う。
思ふこと心のままに語らはむ なれける人を花も偲ばば
――梅の花よ、あなたも資盛のことを偲んでいるのなら、恋しい
人のことを心のままに語り合いましょう
資盛が自分の代わりにこの梅を訪ねてくれと私をここに来させた
のに違いないと右京は一層資盛を案じるのでした。
花は亡き人の思い出を偲ぶよすがなのですね。

梅の木の足元にはクリスマスローズが楚々とうつむきがちに
花を開かせています。
今でも、庭にしゃがみこんで草花の手入れをしている父の姿を
ふと見かけるような気がします。