京恋し

頑張った時のご褒美は京都。ずっと憧れ。

花の兄

2006-02-16 21:53:34 | 季節のことば
春(新年)を迎えてまず一番に咲くので梅の花を「花の兄」といいます。
きのうは確かに春と思ったのに、今日は冬に逆戻り
固い蕾だった梅がきのうの暖かさに、まさに「見る見る間に」開きました。

         

梅の花 夢に語(かた)らく 風流(みやび)たる花と我思(われも)う 酒に浮かべこそ
                万葉集・大伴旅人(おおともたびと)
(梅の花が夢に出てきて言いました。わたしは自分でも
優雅な花だと思うのです。どうぞ盃に浮かべてくださいな

万葉時代は桜より梅の花の方が貴人に好まれていました。
万葉集には、萩に次いで二番目に多く歌われている花です。
先の歌は、730年旧暦1月に、梅の宴で読まれた歌。
今から1267年も昔のこと、それにしては旅人はなんとモダンな感覚の
持ち主だったのかと思いませんか
万葉時代は梅は白梅、中国渡来の高貴で貴重な花だったのです。

         

「枕草子」で清少納言は「木の花は、濃きもうすきも紅梅」(木に咲く花は
濃くても薄くても紅梅がステキ)と言っているように、平安時代には紅梅が
ポピュラーになっていました。

紅梅の紅の通へる幹ならん     高浜虚子

紅梅は幹の芯が赤いそうです。紅の色を芯に潜めて、まるで紅の息を吐くように
花を開かせる紅梅。情熱的な花なのでしょうか

実家の庭で、柔らかな小ぬか雨に包まれて咲き初めた梅たちです

ちなみに「花の弟」は菊、霜にあたって色を変えてゆく残菊も風情がありますね。