ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

赤いベンツの客

2009年05月03日 | 巡礼者の記帳
「仕事でニューヨークに渡ったとき、ヴィレッジ・ヴァンガードに何度か足を運んでいますが、その地下鉄のことは、気がつきませんでしたね、フウーン」
繊細な指を器用に振って、客はスイングしていたが、さきほどの話を思い出すように、「ジャズ・バーのトイレを借りようと入ったら、ロン・カーターとばったり遭った」話や、適当に繰り出す話題がジャズと合っている。
コーヒーを届けると、隣りのエレガントな女性が退屈しないように、きれいな敬語でジャケットの解説を話し聞かせているそつのなさ。
この人物は、何者なのかな?
店のまえに停めた赤いベンツを問うと、あれはもう十年以上乗っているダイムラー時代のものと受け、写真の話になったときむかし当方が遠征したアグファ社が閉じた年代を、ピアノを弾くように遡って正確に教えてくれたので、感心した。
捻った話題にどう返ってくるのか?
むかしジャズでお世話になった大先生のことで、あるときその人物が「父は隠居して、近所の碁会所に足を運んでいる」とはじめて親父さんのことを話したので、それまでのお仕事は?と問うと「警視長」といったから、あぶなく敬礼するところでしたねと、もらったコルトレーンのCDを見せた。
するとその客は「ああ、ボクの親父は、警視正です。もう引退しましたが」とあっさり応じたのだが、これはジャズなのだろうか。
エレガントな女性は、当方の話すとき、わざわざ身を乗り出して万全の態勢で微笑んでくれるので、これに驚いた。
お二人に、参りました。







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