ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

ST.THOMAS

2011年10月02日 | 巡礼者の記帳
白のマツダ車から降り立った御仁は、以前にも見覚えのある秋田の人である。
2つのカメラクラブに籍を置いて御仁は、カメラとレンズ一式を手に車高低く迅速な車で各地を席巻されてきた。
前項の横手市から北西の方角に進路を取ると、100キロ先の日本海に突き出るように男鹿半島はあり、地図上で弓なりにきれいに反った海岸の深部に、県庁の置かれる『秋田市』があり、そこに住いがあるという。
飛鳥時代からこの地に国府機能を振るった『出羽の柵』は、そのとき諸国から選ばれた1300戸の移住があったと記録に残り、いまは秋田小町の華やかな人口32万の大都会となっていた。
「200ボルトを引いてみました」
オーディオ装置に電源まで気を配る者に、専用電柱まで特注した有名人もいる至高の世界であるが、いざ行動となると、認可の要する障壁分野である。
この御仁の室内に、静かに増えるCDの山にハッと気のついたご夫人は、いぶかしく視線を向けるときもあるそうで、しかし
「どうも、こちらが留守のときに、何かを聴いている様子です」
当方のアンプリファイアーについて、常時通電したままなのか、お尋ねがあった。
それで思い出すのは千葉の大先生のことで、奥方がこちらに漏らされた話に、主人が出版社から帰宅して、
「きょう電源、落とした?」
部屋の掃除で壁のコンセントを拝借したことが、音の変化に発覚したスゴ耳なのか。
それほどでもない当方は、まいにち遮断していることを、そういえば誰にも黙っている。
最近『Zoot』がよいとあれこれ触手をのばしておられるそうで、
「最後に、ロリンズのモノラル盤のST.THOMASをお願いしたいものです」
あのまばたきのない角形の眼光の先に広がっている太いパイプから、ズートとはことなった直截な野太いテナーサクスがタンノイから放射されると、ご自宅の音や、さまざまの記憶の原風景が一瞬にフラッシュ・バックして、御仁の脳裏にひらめいた。
秋田の金売り吉次の隠し金山の脇を通って、いつか日本海をながめに道の駅を縫って走ってみたい。






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