ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ハイドン:交響曲第93番二長調 by C・デイヴィス&ロイヤルコンセルトへボウ

2009-08-16 | CDの試聴記
さすがに暑い。
でも、最近続いた不気味な地震や異常気象を考えると、お盆特有の暑さもむしろ懐かしく感じる。
浜松に赴任中の息子も帰省してきたが、しばらく見ないうちに少し立派になったかな。
やっぱり苦労しているんだと思う。
いい話もあるようだし、なんでも経験だと思って頑張ってください。

さて、私はというと、8月の終わりに予定されている大きなセミナーの準備や年金のテキストの改訂作業に追われているのだが、そんな中で聴いた一曲がこのハイドン。
大好きな93番の二長調シンフォニーで、サー・コリン・デイヴィスがロイヤルコンセルトヘボウを振った演奏。

素晴らしい。
もう言葉にならないくらい素晴らしい。
温かくて、優しくて、それでいて透明感に溢れている・・・
もし、この演奏を初めてお聴きになる方がいらっしゃれば、ぜひ2楽章から聴いてみてください。
冒頭の弦楽四重奏の何と美しいこと。清潔なフレージングとアーティキュレーションで奏でられる敬虔な表情に、きっと驚かれることだろう。
そしてトュッティがテーマを引き取ったあとの自然な呼吸感と弾力性をもったリズムを聴いていただければ、マエストロ・デイヴィスとコンセルトヘボウの優れた音楽家たちが、どれほどハイドンの音楽に敬意をもって接しているかがお分かりいただけると思う。
柔らかな弦の響きの中にくっきり浮かび上がる木管の美しさ。
フォルテもたっぷりと響くが決して重くならない。
そして、ハイドンの刻印ともいえるユーモアのセンスも抜群。
他の楽章も、これらの特徴はまったく同じで、私はすべての点において理想的なハイドンだと評したい。

この素晴らしいディスクを聴きながら、私は2月に聴いたブリュッヘン&新日フィルのコンサートを思い出していた。
前日にプローベも聴かせてもらって、大きな期待をもって臨んだ本番。
期待をはるかに上回る感動的なハイドンだった。
93番のフィナーレを聴きながら、そして求道者のようなブリュッヘンの姿を目の当たりにして、不覚にも私は涙が溢れてきて止まらなかった。
何一つ悲しいところはないのに、不思議にこみあげてきたあの涙はいったい何だったのだろう。

このディスクにもそんな面影がある。
でも、涙は出ない。
ひょっとしたら、コリン・デイヴィスたちが作るハイドンが、幸福感という点でほんの少し勝っていたのかもしれない。

<曲目>ハイドン
■交響曲第93番二長調
■交響曲第94番「驚愕」、97番、99番、100番「軍隊」、101番「時計」
<演奏>
■コリン・デイヴィス(指揮)
■ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
<録音>1981年11月(第93番)ほか
コメント (2)
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