ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ケレマン&オラリー・エルツ/読響 プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番ほか

2009-05-30 | コンサートの感想
5月の読響マチネを聴いてきました。
指揮者もソリストも、私は初めて聞く演奏家でしたが、まず選曲がいい。
センスの良さがうかがえます。
果たして演奏も素晴らしかった。
とくに、プロコフィエフのコンチェルトとラフマニノフが印象に残りました。

<日時>2009年5月30日(土) 14:00開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■シベリウス:
 トゥオネラの白鳥
 レンミンカイネンの帰郷
■プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番
(アンコール)
■パガニーニ:カプリス第1番
■バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番からサラバンド
(休憩)
■ラフマニノフ:交響的舞曲
<演奏>
■ヴァイオリン:バーナバス・ケレマン
■指揮:オラリー・エルツ
■管弦楽:読売日本交響楽団

まずプロコフィエフの2番。
ケレマンはハンガリー出身の若いヴァイオリニストですが、必死に弾きすぎないところがいい。
彼は、心身を縛ろうとする様々な鎖を巧みに解き放ち、音楽そのものを楽しもうとしていました。
そんなアプローチは、古典的でモダン、抒情的でウィットに富んでいるけどどこか風刺的という、プロコフィエフの2番のような曲にはまさにうってつけ。
ハイフェッツが愛奏したからというわけではありませんが、余裕しゃくしゃくで汗ひとつかかずに弾ききってこそ、この曲本来の魅力が顔を覗かせます。
昔、まさに「全身全霊を込めて」弾いた演奏を聴いたことがありますが、一番おいしいところがものの見事に消え去っていました。
今日のケレマンの演奏では、とりわけ第2楽章が良かったなぁ。
シンプルな美しさに満ちていて、最後にテーマが帰ってくるときの表情が実に素敵。
アンコールは2曲。
胸のすくようなスピード感をもったカプリス、ゆったりとしたテンポをとりながらも即興的な装飾音符を散りばめ静かに息づいていたバッハ、いずれも素敵な演奏でした。
故グルダがスリムになってヴァイオリンを弾いたら、ひょっとしてこんな感じ?
一方、ケレマンの容姿だけみれば、「のだめカンタービレ」に出てきそうな風貌だったなぁ。(笑)
冗談はともかく、このヴァイオリニスト、私は大いに気に入りました。
是非また聴きたい!

後半のラフマニノフの交響的舞曲も、非常に充実した演奏でした。
エルツという指揮者は、派手なことは一切やらないけど、常に音楽は躍動感に富んでいるし、その響きは生命力にあふれています。
呼吸感がとにかく抜群なのです。
いい指揮者だと思います。
容貌やもっている雰囲気は、どこかブロムシュテットに似てるかな?
また、最近ときとして響きが粗っぽくなるような気もしていた読響ですが、今日の演奏は素晴らしかった。
演奏後の団員の人たちの表情が、それを物語っていたような気がします。

今日はエルツ、ケレマンという才能豊かな音楽家に出会うことができました。
こんな出会いがあるから、コンサート通いはやめられないのです。
コメント
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