ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

スコット・ユー&読響 ベートーヴェン「英雄」ほか

2009-05-22 | コンサートの感想
新型インフルエンザもなんのその、今週は、鹿児島・宮崎・名古屋と全国を転戦しました。
昨日は、出張先の名古屋から東京芸術劇場に直行。
読響の名曲コンサートを聴いてきました。
セミナーが少し長引いてしまい、名古屋で新幹線に乗ったのは5時前です。
どう考えても7時の開演には間に合いそうもありません。
前半は潔く諦めて後半の「エロイカ」を聴こうと、お気に入りのプレミアムモルツ数本を買い込み、車中ではすっかりリラックス状態。
品川で降りた後も、とにかく池袋へ直行しコーヒーでも飲んで一服した後で「エロイカ」をと目論んでいたのですが、意外にスムーズに移動できるではありませんか。
何と、ぎりぎり開演時刻の19時に間に合ってしまいました。
というわけで、奇跡的に前後半とも聴くことができました。

<日時>2009年5月21日(木) 19:00開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■ラフマニノフ: ピアノ協奏曲第2番
■ショパン:小犬のワルツ(アンコール)
■ベートーヴェン: 交響曲第3番〈英雄〉
<演奏>
■ピアノ=デヤン・ラツィック
■指揮:スコット・ユー
■読売日本交響楽団

前半はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。
まずは、可もなく不可もなくという演奏という印象。
もう少し濃厚なロマンティシズムを感じさせてくれても良かったかなぁ。
良く弾いているんだけど、3年前に同じ読響のコンサートで聴いた若き天才ガヴリリュクのときのような感銘を受けるまでには至らなかった、というのが正直な感想です。
アンコールは「小犬のワルツ」を聴かせてくれました。

後半はベートーヴェンの「エロイカ」。
冒頭から速い。これは相当に速いです。
終始スタイリッシュで、まさに力感あふれる「エロイカ」。
こんなスタイルは決して嫌いではないのですが、聴き終わってあまり心に残らないのは何故だろう。
スコット・ユーの関心は、この日もっぱらテンポとダイナミクスに向けられているようでした。表情ひとつとっても次が読めてしまうというか、とにかくサプライズがないのです。
良く言うとけれんみのない演奏なのですが、例えば第2楽章なんかはもっと陰影に満ちたデリケートな変化をつけてほしいところです。
それと、アンサンブルの乱れも結構ありましたから、まだスコット・ユーとオケの間の呼吸もしっくりいってなかったのかもしれません。
そういえば、終演後の拍手から退場までの流れも、どこかぎこちなさがありましたし・・・。

なんだかネガティブなレビューになってしまいましたが、スコット・ユーの音楽センスの良さは疑う余地がありません。だからこそ余計に、優等生的なまとめ方ではなく、もっと本音で語ってほしいのです。
次に聴くときは、「人間スコット・リー」をもっともっと前面に出して、生きざまを見せてほしい。
期待しています。
コメント
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