ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ヤノフスキ&ベルリン放送響 日本公演 <2/13 ベートーヴェン・プログラム>

2009-02-15 | コンサートの感想
13日の金曜日のコンサートでした。
不吉だと思われるかもしれませんが、私はむしろ期待してしまうのです。
忘れもしません。2006年の10月、戦慄の走るようなアバドのマーラーを聴いたのが奇しくも13日の金曜日だったから。
会場も同じサントリーホールでした。
果たして、ヤノフスキとベルリン放送響はどうだろうか・・・。

<日時>2009年2月13日(金)19:00開演(開場18:30)
<会場>サントリーホール
<曲目>
《ベートーヴェン・プログラム》
■『エグモント』序曲
■ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.61 (ヴァイオリン:樫本大進)
■交響曲第7番 イ長調Op.92
(アンコール)
■バッハ:無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番より「サラバンド」
■ブラームス:交響曲第3番より第3楽章
<演奏>
■樫本大進(ヴァイオリン)
■マレク・ヤノフスキ(指揮)
■ベルリン放送交響楽団

まず、前半のメインであるヴァイオリン協奏曲のほうは、いい演奏だったのですが、樫本大進さんの独特の緊張感をもった求心的なスタイルと、オーケストラの音楽性に微妙にずれを感じ、少々もどかしさを感じました。
アンコールのバッハが心に染みるような演奏だったので、余計にその感が強かったのかもしれませんが・・・。

9日・13日の2回にわたってベルリン放送響を聴いてきて、このオーケストラはとにかく熱いという印象を受けました。
プロのオーケストラに対して、「熱い」という表現が必ずしもポジティヴでないことはよく承知しています。
しかし、いい意味でも悪い意味でも「熱い演奏」というのが、一番ふさわしいと私は感じました。
そして、終始泰然としていたブリュッヘンとは対極の、「テンポも表情も積極的に動かす」スタイルの演奏でした。
この日のメインである交響曲第7番に、その特徴がよく表れていたと思います。

第1楽章、序奏から主部に入る過程、そして主部に入ってからも、かなり細かくテンポを変えていきます。同時に音量の変化もつけていきますから、「おっ、やってるぞ。」と感じてしまうのです。
もちろん恣意性をもったやり方ではなく、曲想にあった表現ではあるのですが、何回もやられると、ちょっと先が読めてしまう気がしてしまいます。
あと、気になったのは、若い奏者が多いせいもあるのでしょうが、いったんオケに勢いがつくとなかなか方向が変わらないこと。
ヤノフスキが細かくコントロールしようとすればするほど、微妙にずれが出ます。
さきほど書いた音量の変化も、デュナーミクというよりは、スビート・ピアノといった鋭角的な手法が多く、その都度アンサンブルに乱れが生じていたように思います。

このスタイルがピタリ嵌ったのは第3楽章。
やや芝居がかったところもありましたが、周到に準備された設計の巧みさに思わず興奮しまいました。
クライマックスにおけるティンパニの強打、つなぎ部分の絶妙の間合いは、とりわけ印象に残りました。
そして、スケルツォの高揚感をそのまま持ち込んだフィナーレは、まさに熱演。
到達点をめざして、オーケストラ全体が夢中になって駆けていく姿は、聴き手の心も熱くしてくれました。
ベートーヴェンもきっと笑顔でエールをおくっていたことでしょう。

アンコールは、思いがけずブラームス。
分厚い響きと暖色系の音色は、やはりドイツのオケですね。
デリケートな音の綾・深い表現という点で、このオケはさらに成熟していくと思います。
2~3年後にまた聴いてみたいオーケストラです。

コメント
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