ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ヤノフスキ&ベルリン放送響 日本公演 <2/9 ドイツ名曲コンサート>

2009-02-10 | コンサートの感想
昨日聴いたベルリン放送交響楽団のコンサートの感想を。

<日時>2009年2月9日(月)19:00開演
<会場>サントリーホール
<曲目>
■シューベルト:交響曲第8番変ロ短調D.759『未完成』
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
■ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調Op.67『運命』
(アンコール)
■ショパン:前奏曲第4番(第1部)
■ベートーヴェン:交響曲第8番から第2楽章
■シューベルト:ロザムンデ間奏曲

<演奏>
■ラファウ・ブレハッチ(ピアノ)
■マレク・ヤノフスキ(指揮)
■ベルリン放送交響楽団

ベルリン放送交響楽団という名前を聴くと、私はいつも混乱します。
まず思い出すのは、フリッチャイ、そしてマゼールという指揮者が振ったオーケストラ。
なかでも、若き日のマゼールのロ短調ミサが私には忘れられません。
しかし、このオケはRIAS交響楽団というのが正式名称で、現在はベルリン・ドイツ交響楽団として活動しています。
一方、もうひとつのベルリン放送交響楽団が、ドイツ最古の放送交響楽団として1923年に誕生したオーケストラ。
旧東側で活動していましたが、こちらもヨッフム、チェリビダッケ、アーベントロートといった錚々たるシェフに恵まれてきました。
今回聴いたベルリン放送交響楽団は、もちろん後者です。
近年音楽監督であるヤノフスキの尽力もあって、内外の評価を上げているベルリン放送響。
まずはお手並み拝見です。

最初は「未完成」。
意外なくらい、淡々と始まりました。
神秘感よりも明晰性を重視ということなのでしょうか。
しかし、それにしても、音量の幅が狭いような気がしました。
弱音が少し大きすぎるのかなぁ。
ニュアンスの変化もあまり感じられなかったので、私としては、いささか不完全燃焼でした。

次のベートーヴェンの4番のコンチェルトはどうなんだろう。
祈るような気持でブレハッチを待ちました。
ステージに登場したブレハッチは、想像以上に小柄。
しかし、いったんピアノを弾き出すと、とても大きく感じます。
この人のピアノは良いですねぇ。
華麗なテクニックに加えて、瑞々しい感性と確かな様式感を併せ持っています。
さすが一級品というところでしょうか。
第一楽章のカデンツァに彼の良さが象徴されていました。
そんな素晴らしいブレハッチのピアノに、オーケストラが触発されないわけがありません。
第2楽章冒頭、オケがユニゾンでレチタティーヴォ風に奏でる箇所、芯の強い見事に引き締まった音がしていました。
続くフィナーレは、両者が火花を散らすようなスリリングな演奏。
私も手に汗握って聴かせてもらいました。
コンチェルトの醍醐味はまさにこれですね。
ミスター ブレハッチ、ありがとう。
今夏来日するガブリリュクと同様、底知れない可能性を秘めた恐るべきピアニストだと思い知らされました。

この日のメインは「運命」。
木管のトップが、そっくり入れ替わっています。
ふと見れば、オーボエに古部賢一さんが参加しているではありませんか。
期待して最初の音を待ちます。
第1楽章は、速い速い!
フリッツ・ライナーを彷彿とさせるようなテンポで、一気呵成に突っ走ります。
しかし、オーケストラ全体の呼吸に一体感があって、充実した心地よい響きがしていました。
第2楽章は、一転して情感のこもった温かい演奏。
聴き手の心まで開かせてくれるような表情に、うっとりして聴き惚れました。
木管をスパイス的に使ってみたり、新鮮なアイデアもふんだんに盛り込まれていました。
「未完成」で、どうしてこんなアプローチができなかったんだろう。
うーん、少々残念です。
続くフィナーレはこの日の白眉でした。
豪快にして精緻な表現に、頷くことばかり。
ヤノフスキの構成力の確かさと、オケの表現力に脱帽です。
13日には、同じサントリーホールでオールベートーヴェンプロを聴きますが、この日のベートーヴェンなら期待が持てます。
今から楽しみです。
コメント (2)
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