ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

「クララへの愛」 東京ニューシティ管弦楽団定期演奏会

2006-12-06 | コンサートの感想
「クララへの愛」
このタイトルに惹かれて、東京ニューシティ管弦楽団の定期演奏会へ行ってきました。

今年は、ロベルト・シューマンの没後150周年のメモリアルイヤーにあたります。
今宵のタイトルの「クララ」とは、もちろんロベルト・シューマンの愛妻であるクララ・シューマンのこと。
このプログラムを見て、最初仰天しました。
うん?冒頭の曲がブラームスの1番?しかも、終楽章だけ?
ブラームスが生涯クララを敬愛していたことは有名ですが、よりによってあの大曲の、しかも終楽章だけをなぜオープニングに持ってきたのか。
パンフレットを読んでその理由が分かりました。
1868年9月12日、ブラームスはクララの誕生日に第1交響曲の第4楽章のホルンの旋律へ「幸せに!貴方に1000回もの挨拶を送ります」という歌詞を書き付けて、彼女に贈ったそうです。

続く前半のメインは、夫ロベルト・シューマンのピアノ協奏曲イ短調。
クララと結婚した1941年に、彼女に捧げられた「ピアノとオーケストラのための幻想曲」が、このコンチェルトの第1楽章になっています。
初演でピアノを弾いたのは、もちろんクララ。

そして、後半は、ロベルト・シューマンの交響曲第4番。
良く知られているように、この曲は第1番と平行して作曲されたものですが、22歳のお誕生日にこの曲のピアノスコアを贈られたクララは、大変喜んだそうです。

なるほど・・・。
そう考えると、よく考えられた選曲ですね。


   

「クララへの愛」(シューマン没後150年記念)
<日時>2006年12月6日(水)19:00開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■ブラームス: 交響曲第1番から終楽章
■シューマン: ピアノ協奏曲イ短調 op54
■シューマン: 交響曲第4番ニ短調(マーラーオーケストレーション版)
<演奏>
■指 揮: 曽我大介 
■ピアノ: 三浦友理枝
■管弦楽: 東京ニューシティ管弦楽団

さて、今日の席は、何と1列目でした。
よく知っているつもりの芸劇ですが、1列目に座るのは初めてです。
東京ニューシティ管弦楽団は初めて聴くオーケストラでしたが、そのサウンドは、ひとことで言うと重厚。
派手さはありませんが、音の響きは私の好みです。
ただ、軽妙さ・いい意味での色気という点では、やや不足しているかなあ。
それと、木管の歌いまわしに、やや癖があるように感じました。

シューマンのコンチェルトを弾いてくれたのは、三浦友理枝さん。
写真のとおり、大変美しいピアニストです。
シューマンのコンチェルトとは、まさにイメージがぴったり。
第1楽章はよく弾けているんだけど、「とにかく一生懸命弾いています」という印象が拭えない。
しかし、第2楽章は詩的な雰囲気が素敵だったし、フィナーレでは、清潔なタッチから生まれる瑞々しい音楽に惹かれました。
さすがに、昨日聴いたヴォロドスや、私の大のお気に入りである小菅優さんが聴かせてくれる、いい意味での奔放さとか強烈なパッションといったものは、まだ感じられませんでした。
でも、彼女にはステージで聴衆を惹き付ける何かがあります。
今後、さらに魅力的なピアニストになってくれることでしょう。

本日のメインであるシューマンの4番。
これは、良かった。
オケのサウンドと曲がよくマッチしていました。
曽我さんの指揮も、きびきびしていて、歌わせるところとリズミックに表現するところのメリハリがよくついていたと思います。
終楽章は、フルトヴェングラーのトラウマからいまだ抜け切れない私ですが、素晴らしい演奏でした。
また、この日はマーラー編曲版による演奏でしたが、オリジナルと正直それほど大きな違いは感じませんでした。響き自体は、少し華やかになった印象はありましたが・・・。

P.S
終演後、CD購入者向けのサイン会があったので、三浦友理枝さんにサインしてもらいました。
素顔の彼女はとても華奢な感じでしたが、やっぱりチャーミング。
でも、舞台ではもっと大きく感じました。
「名手は舞台で大きく見せる」と言われているので、既に名演奏家の資質十分かも・・・。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする