今朝も冬晴れの清々しいお天気です。
昨日から、カレンダーは最後の一枚になりました。
最近、特に日が過ぎるのが早く感じます。
さて、一昨日は、マリス・ヤンソンス率いるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
のコンサートを聴いてきました。
コンセルトヘボウを聴くのは13年ぶり。
前回は、地元の大宮ソニックシティで聴きましたが、タクトをとっていたのは若きシェフのリッカルド・シャイーでした。
シェフも変わり、13年の年月を経て、今回はどのような演奏を聴かせてくれるのでしょうか。
とても楽しみにして、溜池山王からサントリーホールに向かいました。
<日時>2006年11月30日(木)19:00~
<会場>サントリーホール
<曲目>
■ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
■ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ長調「新世界より」
(アンコール)
■ブラームス:ハンガリー舞曲第6番ニ長調
■ドヴォルザーク:スラヴ舞曲ハ長調 op.72-7
<演奏>
指 揮:マリス・ヤンソンス
管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
この日の席は、例によってP席。
5列目のど真ん中で、音が生々しい上に全体が見渡せる素晴らしい席でした。
ヤンソンスの指揮ぶり、細かな指示も全て分かります。
まるで、オーケストラの一員になったような錯覚を覚えます。
開演を告げるチャイムが鳴り、首席フルートのエミリー・バイノンを先頭にして、メンバーがステージに現われました。結構女性の奏者も多いですね。
さて、チューニングが終わり、マエストロ・ヤンソンスが登場しました。
前半は「新世界」。
奇しくも13年前と同じプログラムです。
第1楽章冒頭のフレーズの扱いが、とても清潔で心地よい。ヤンソンスの意志がはっきり感じられます。続くフォルテとの対比も非常に鮮烈な印象を与えてくれました。
第2楽章は、ヤンソンスが、演奏前に非常に柔らかな笑顔でオケのメンバーを見渡します。
そして、とくに管楽器のメンバーがリラックスしたのを確認して、ゆっくりタクトを振り上げました。
管楽器が弱音で合奏するのは大変だと思いますが、このような背景もあり素晴らしい演奏でした。
この日のイングリッシュホルンは女性の奏者でしたが、本当に柔らかい表情で魅了してくれました。
ただし、ヤンソンスは絶対に情緒に溺れるような音楽は作りません。
抑制された表情の中にデリケートなニュアンスが感じられる、そんな印象です。
もう少し自由に歌わせる演奏を私は好みますが、このスタイルはそれで素晴らしいと思いました。
ラスト近くに登場する前一列だけの弦楽合奏、この箇所もとても素晴らしい演奏でしたが、ここは13年前のほうがさらに素晴らしかったなあ。そのときは、とにかくピアニシモの表現力が凄かった・・・。
「新世界」で印象に残ったのは第4楽章。ヤンソンスが最も統率力を発揮した楽章でした。
途中で、ががっとテンポを上げていきますが、テンポだけではなく内的なテンションも同時に高めて、ぐんぐん核心に切り込んでいきます。
ヤンソンスの意図を完璧に表現できるコンセルトヘボウの実力も凄い!
そして、エンディングは、まさにスコアどおり、徐々に時間をかけながら消えていくような表現。
見事です。
後半に向けて、10分以上前に席に着いたのですが、既に10人以上の奏者がステージで各々ハルサイのフレーズをさらっています。
5分前には、3分1くらいの奏者が席についていたのではないでしょうか。
もう、ミニ・ハルサイというか、「ハルサイのテーマによる即興曲」のような感じです。こんな光景は、実演ならではですね。楽しませていただきました。
さて、後半の「春の祭典」。
冒頭、最高音域を使う例のファゴットの音色が、普段聴かないような独特のしなやかさをもっていて、のっけからため息をつくような素晴らしさ。
その後も、夢見るような柔らかな表情をみせたかと思えば、一転して暴力的と言ってもいいくらいの強烈な表現が交錯します。
とくに第一部ラストの「大地の踊り」のエキサイティングな表現には、もうすっかり参りました。
どのパートが、どのフレーズがというレベルではなく、全てが生気に溢れ躍動感をもった見事な演奏でした。
ヤンソンスは、ひとことで言うととても真面目に、真正面から音楽を作る人です。
CDできくと、ときに非常に濃厚な表情を作って「やっぱりロシア出身の指揮者だ」と思うこともありますが、決して所謂「はったりをかます」タイプの指揮者ではありません。
だから、コンセルトヘボウやウィーンフィルのように、アンサンブル能力が高くかつしなやかなサウンドを持ったオーケストラを振ると、相乗効果で素晴らしい演奏を聴かせてくれるのではないでしょうか。
そして、コンセルトヘボウ管弦楽団のなんと素晴らしいこと!
間違いなく超一流のオーケストラです。
キャッチフレーズにもなっている「ビロードの弦、黄金の金管、典型的なオランダ風の音色を持つ木管」に、私はまったく異論がありません。
でも、この音色はどう表現したらいいんだろう。
ウィーンフィルとはまた違った魅力的なサウンド。
とくに新世界で感じたのですが、弦楽器が同じテーマを楽器を変えながら引き継いで行く部分で、同じ系統の音色なんだけど、微妙に違う。
例えて言うなら、光の当たり方で、同じものでも少し異なって見えますよね。
まさにそんな感じでした。
しっとりとした弦の魅力もさることながら、私は木管の音色とブラスの素晴らしさにも大いに惹かれました。
とくに、単にでかく目立つ音・華麗なテクニックを見せびらかすのではなく、音楽の要求にしたがって自在に振舞うことの出来るブラス、私はすっかり酔いしれました。
私にとって「特別なオーケストラ」は、やはりウィーンフィルですが、コンセルトヘボウを「特別のオーケストラ」だと感じる音楽ファンも少なからずいらっしゃるでしょうね。
そんな気持ちにさせてくれた素敵なコンサートでした。
昨日から、カレンダーは最後の一枚になりました。
最近、特に日が過ぎるのが早く感じます。
さて、一昨日は、マリス・ヤンソンス率いるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
のコンサートを聴いてきました。
コンセルトヘボウを聴くのは13年ぶり。
前回は、地元の大宮ソニックシティで聴きましたが、タクトをとっていたのは若きシェフのリッカルド・シャイーでした。
シェフも変わり、13年の年月を経て、今回はどのような演奏を聴かせてくれるのでしょうか。
とても楽しみにして、溜池山王からサントリーホールに向かいました。
<日時>2006年11月30日(木)19:00~
<会場>サントリーホール
<曲目>
■ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
■ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ長調「新世界より」
(アンコール)
■ブラームス:ハンガリー舞曲第6番ニ長調
■ドヴォルザーク:スラヴ舞曲ハ長調 op.72-7
<演奏>
指 揮:マリス・ヤンソンス
管弦楽:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
この日の席は、例によってP席。
5列目のど真ん中で、音が生々しい上に全体が見渡せる素晴らしい席でした。
ヤンソンスの指揮ぶり、細かな指示も全て分かります。
まるで、オーケストラの一員になったような錯覚を覚えます。
開演を告げるチャイムが鳴り、首席フルートのエミリー・バイノンを先頭にして、メンバーがステージに現われました。結構女性の奏者も多いですね。
さて、チューニングが終わり、マエストロ・ヤンソンスが登場しました。
前半は「新世界」。
奇しくも13年前と同じプログラムです。
第1楽章冒頭のフレーズの扱いが、とても清潔で心地よい。ヤンソンスの意志がはっきり感じられます。続くフォルテとの対比も非常に鮮烈な印象を与えてくれました。
第2楽章は、ヤンソンスが、演奏前に非常に柔らかな笑顔でオケのメンバーを見渡します。
そして、とくに管楽器のメンバーがリラックスしたのを確認して、ゆっくりタクトを振り上げました。
管楽器が弱音で合奏するのは大変だと思いますが、このような背景もあり素晴らしい演奏でした。
この日のイングリッシュホルンは女性の奏者でしたが、本当に柔らかい表情で魅了してくれました。
ただし、ヤンソンスは絶対に情緒に溺れるような音楽は作りません。
抑制された表情の中にデリケートなニュアンスが感じられる、そんな印象です。
もう少し自由に歌わせる演奏を私は好みますが、このスタイルはそれで素晴らしいと思いました。
ラスト近くに登場する前一列だけの弦楽合奏、この箇所もとても素晴らしい演奏でしたが、ここは13年前のほうがさらに素晴らしかったなあ。そのときは、とにかくピアニシモの表現力が凄かった・・・。
「新世界」で印象に残ったのは第4楽章。ヤンソンスが最も統率力を発揮した楽章でした。
途中で、ががっとテンポを上げていきますが、テンポだけではなく内的なテンションも同時に高めて、ぐんぐん核心に切り込んでいきます。
ヤンソンスの意図を完璧に表現できるコンセルトヘボウの実力も凄い!
そして、エンディングは、まさにスコアどおり、徐々に時間をかけながら消えていくような表現。
見事です。
後半に向けて、10分以上前に席に着いたのですが、既に10人以上の奏者がステージで各々ハルサイのフレーズをさらっています。
5分前には、3分1くらいの奏者が席についていたのではないでしょうか。
もう、ミニ・ハルサイというか、「ハルサイのテーマによる即興曲」のような感じです。こんな光景は、実演ならではですね。楽しませていただきました。
さて、後半の「春の祭典」。
冒頭、最高音域を使う例のファゴットの音色が、普段聴かないような独特のしなやかさをもっていて、のっけからため息をつくような素晴らしさ。
その後も、夢見るような柔らかな表情をみせたかと思えば、一転して暴力的と言ってもいいくらいの強烈な表現が交錯します。
とくに第一部ラストの「大地の踊り」のエキサイティングな表現には、もうすっかり参りました。
どのパートが、どのフレーズがというレベルではなく、全てが生気に溢れ躍動感をもった見事な演奏でした。
ヤンソンスは、ひとことで言うととても真面目に、真正面から音楽を作る人です。
CDできくと、ときに非常に濃厚な表情を作って「やっぱりロシア出身の指揮者だ」と思うこともありますが、決して所謂「はったりをかます」タイプの指揮者ではありません。
だから、コンセルトヘボウやウィーンフィルのように、アンサンブル能力が高くかつしなやかなサウンドを持ったオーケストラを振ると、相乗効果で素晴らしい演奏を聴かせてくれるのではないでしょうか。
そして、コンセルトヘボウ管弦楽団のなんと素晴らしいこと!
間違いなく超一流のオーケストラです。
キャッチフレーズにもなっている「ビロードの弦、黄金の金管、典型的なオランダ風の音色を持つ木管」に、私はまったく異論がありません。
でも、この音色はどう表現したらいいんだろう。
ウィーンフィルとはまた違った魅力的なサウンド。
とくに新世界で感じたのですが、弦楽器が同じテーマを楽器を変えながら引き継いで行く部分で、同じ系統の音色なんだけど、微妙に違う。
例えて言うなら、光の当たり方で、同じものでも少し異なって見えますよね。
まさにそんな感じでした。
しっとりとした弦の魅力もさることながら、私は木管の音色とブラスの素晴らしさにも大いに惹かれました。
とくに、単にでかく目立つ音・華麗なテクニックを見せびらかすのではなく、音楽の要求にしたがって自在に振舞うことの出来るブラス、私はすっかり酔いしれました。
私にとって「特別なオーケストラ」は、やはりウィーンフィルですが、コンセルトヘボウを「特別のオーケストラ」だと感じる音楽ファンも少なからずいらっしゃるでしょうね。
そんな気持ちにさせてくれた素敵なコンサートでした。