ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

グルダ&ベームのモーツァルト:ピアノ協奏曲第9番『ジュノーム』

2006-12-03 | CDの試聴記
今日は、国立競技場で大学ラグビーの試合を見てきました。
対戦カードは、伝統の一戦といえる早稲田vs明治。



この日に向けて、両校の選手たちがどれくらい必死に練習してきたかは、今日のプレーをみたらすぐに分かります。
試合結果は、あえて書きません。
決定的なチャンスに、「あー・・・」というシーンも確かにありました。
しかし、こんなにひたむきに、人生の一時期をラグビーに打ち込めるのは、本当に幸せなことではないでしょうか。
「青春」という今やあまり使われなくなった言葉を、つい思い出してしまいました。

ラグビーは、野球と並んで私の大好きなスポーツですが、正直決して人気があるとはいえないのが現状です。
しかし、あの広い国立競技場を満員にするほどの魅力が、確かに存在するのです。
ひたむきに楕円形のボールを追いかけてプレーする選手たち。そして声をからして懸命に応援する観衆。
スタンドからは、地鳴りのような声援が、試合中、ずーっと響き渡っていました。
きっと、観衆の多くは、両校の学生、家族、関係者、OBたちなんでしょうね。
自分の母校を誇りに思うこと、つまり愛校心というのは、こういう積み重ねなのかもしれません。
こんなに必死に母校を応援できる対象を持っている人たちをみてて、ちょっぴり羨ましく思いました。

さて、せっかく忘れかけていた青春を思い出させてくれたのだから、今日は何かそんな音楽を聴きたい。
プロコフィエフの最後のシンフォニーも考えたのですが、さんざん迷ったあげく取り出したのが、モーツァルトの「ジュノーム」。
今年になって、この曲をブログで採りあげるのは、早くも3回目になります。

このジュノーム、青年モーツァルトの名曲のひとつですが、決して昔からよく聴いていたわけではありません。
モーツァルトでピアノコンチェルトを聴きたいときは、どうしても20番以降のコンチェルトに食指が動いたし、もっとオペラティックな雰囲気に浸りたいときは、12番から15番、あるいは17番・18番といったナンバーを聴くことが多かったのです。
「ジュノーム」に本格的に惹かれたのは、ことしモーツァルト250回めの誕生日のこと。
NHKテレビで、小菅優さんが弾き振りで、この曲の第3楽章を演奏していたのです。
好調時の小菅さんを聴くときにいつも感じることですが、まさしく「天馬、空を行く」といった風情で、こんな曲だったのかと、しばし呆然としておりました。
そのときからです、この曲が私の大好きなコンチェルトになったのは。

ところで、今日聴いたのは、グルダがベームと1969年にミュンヘンで共演したディスク。

<曲目>
■ブラームス:交響曲第1番
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番『ジュノム』
<演奏>
■フリードリヒ・グルダ(P)
■カール・ベーム指揮
■バイエルン放送交響楽団
<録音>
■1969年9月~10月(ステレオ・ライヴ)



グルダには意外なくらい、正攻法の演奏です。
しかし、よく聴いてみると、淡々と弾きながらも、その音楽は常に瑞々しく生気に溢れています。
ためしに、第一楽章のカデンツァを聴いただけでも、すぐに分かるでしょう。
そして、どんな箇所でも、モーツァルト一流の和音の変化に対して、さりげなく気配りされています。
もう見事すぎて、ため息が出るくらい・・・。
カデンツァの後、最後にきらきらと天から降ってくるようなピアノの分散和音も、たまらなく魅力的です。

このジュノームはモーツァルト21歳のときの作品ですから、まさに「青春真っ盛り」の音楽ということになりますが、この録音当時、グルダは39歳、ベームは75歳でした。
したがって、若さにまかせて一直線という演奏ではありません。
しかし、この2人の名人は、お互い20代の頃を思い出しながら演奏したのではないでしょうか。
この瑞々しさを聴くと、そんな気がしてきます。
「若さにまかせて一直線」の演奏もいいけど、今の私には、こんな2人のスタイルがぴったり来るのです。

P.S
このディスクにカップリングされている、ブラームスの1番。
これがまた大変な名演奏なんです。
賛否両論あるようですが、ライブのベームの凄さを再確認させてくれる演奏です。
後日、ご紹介したいと思います。








コメント (4)
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