ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

アーノンクール&ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 モーツァルト:3大交響曲

2006-11-27 | BS、CS、DVDの視聴記
昨夜は、アーノンクールのモーツァルト3大シンフォニー(11月11日の公演)を、NHK教育テレビで放映していたので、まさしくかじりつくようにして観ました。
今回のウィーンフィルの公演の中でも、ただ一回しかない貴重なプログラム。
しかも、土曜日かつサントリーホールとくれば、一番人気は当然でしょうね。
私があえなく撃沈したのも、むべなるかな。
オークションでペア15万円の値段がついたのには少々驚きましたが・・・。
そんなプラチナチケットのはずなのに、P席で結構空席があったのはなぜなんだろう。
あー、もったいない!

<日時>2006年11月11日(土)
<会場>サントリーホール
<曲目>
モーツァルト
■交響曲第39番変ホ長調 K543
■交響曲第40番ト短調 K550
■交響曲第41番ハ長調 K551
<演奏>
■指 揮:ニコラウス・アーノンクール
■管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

最初は39番。
この曲は13日に実際にステージで聴いたのですが、あらためてその日の感動が甦ってきました。
とくに第3楽章のトリオのなんと見事なこと。
クラリネットの夢見るような柔らかさ、そしてリピートでほんの少し音量を落としたクラリネットの背景で、優雅に浮かび上がる弦楽器の3拍子、またまた涙ぐんでしまいました。

そして40番。
私が常々この曲のスタンダードだと考えているジョージ・セルのテンポ設定とは随分違います。
第1楽章はとにかく速い!
でもこれがモルト・アレグロなんですよね。フルトヴェングラーのテンポに近い印象。まさしく疾風のごとく駆け抜けました。ちなみにフレーズ単位の表情は濃いめ。
第2楽章は良く歌います。
続く第3楽章は、やや速めのテンポ。
でも私が感銘を受けたのは、速さ云々よりも、この楽章が「メヌエット」という舞曲であることを強烈に意識させてくれたことです。
アーノンクールのモーツァルトは、いつも第3楽章にご注目です。
そして、終楽章はアレグロ・アッサイという設定にもかかわらず、やや遅めのテンポ。
しかし、フレーズというフレーズはすべてアーノンクール&ウィーンフィルという名工によって克明に彫刻されていました。

最後はジュピター。
これは、ほんとに見事な演奏。
「どこがどうだった」と言うような表現をためらわせるくらいのレベル。
とくに、フィナーレの立体的で輝かしい音楽は、まさに圧巻でした。

そして、このコンサートの放映の前に、番組では短い特集が組まれていました。
題して「新潮流ピリオド奏法」。
これは面白かった。
新婚ほやほやの金聖響さんをゲストに迎えての番組内容でしたが、スーダン&東京交響楽団、ノリントン&NHK交響楽団のピリオド奏法への取り組みも興味深かったし、最も印象に残ったのは、他ならぬアーノンクールへのインタビューでした。

「歴史に忠実なだけの演奏が、本当に聴衆のためになるのか。博物館のような演奏は大嫌い。音楽の生命を伝えるために、あらゆる方法を試みている。原点を知りそこに生命を吹き込みたいんだ!」

たしか、こんな要旨だったと思います。
素晴らしいコメントだと思いませんか。
私はこの言葉をきいて、思い切り感動しました。
そして、この言葉を「演奏という現場」でしっかり体現できるところが、アーノンクールのアーノンクールたる所以でしょう。
やはり偉大なマエストロです。

少しこの話題からはずれますが、残念なお知らせがあります。
私が大阪出張時の憩いの場所だった梅田新地の音楽バー「アインザッツ」が、この12月22日をもって閉店することになったのです。
秘かな楽しみというよりは、アインザッツへ行くこと、そしてそこでマスターやブログでお世話になっている人たちと大好きな音楽について語り合うことが、出張の主目的だったかもしれません。
閉店の理由等は、アインザッツのHPをご参照いただきたいのですが、マスターの菖蒲さんには本当にいろいろご教示いただきました。
本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

来月、お目にかかれる日を楽しみにしています。
そして、同じビルの「新地のアーノンクール」さんにもご挨拶しなきゃ。(笑)
コメント (8)
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