ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

小菅優&コヴァーチュ/ブダペストPO  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調他

2006-11-08 | コンサートの感想
月曜日の名古屋出張の疲れも少しあってあまり体調はよくなかったのですが、昨日は、ブタペスト・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行ってきました。
10日ほど前に半額チケットが入手できたことと、小菅優さんのピアノ、それもラフマニノフの2番が聴けるというので、いそいそと池袋の東京芸術劇場へ。

      

<日時>2006年11月7日(火) 19時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■リスト:ハンガリー狂詩曲第2番嬰ハ短調
■ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調OP.18
■ブラームス:交響曲第1番ハ短調OP.67
<演奏>
■ピアノ:小菅優
■指 揮:ヤーノシュ・コヴァーチュ指揮
■管弦楽:ブタペスト・フィルハーモニー管弦楽団
 
席は2階のLBC列4番。
ステージに近いし、なかなか素晴らしい席です。
この席が半額の4,000円とは・・・。
本当にありがたいことです。

定刻を5分ほど過ぎた頃、コンサートミストレスを先頭にオケのメンバーがぞくぞく入場。
うん?どこかで見た入場スタイルだなあ。
そうです、あのウィーンフィルのスタイルです。
ウィーンフィルの場合は、ライナー・キュッヘルが先導するのですが、このブタペスト・フィルハーモニーは女性のコンミスが先頭にたって登場しました。
このオーケストラ、普段はハンガリー国立歌劇場のオーケストラとしてオーケストラピットに入って演奏しているのですが、オケのコンサートをやるときは、ブタペスト・フィルハーモニーとして選抜メンバーを組んで演奏するようです。
道理で、ウィーンフィルを意識するはずですよね。

また、奏者がひととおり着席したところで、オーケストラ全体を見て驚きました。
「何と女性奏者が多いんだ!」
弦楽器では7割が女性です。とくにヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの前8人のうち、何と女性が7名を占めていました。
このあたりは、皮肉なことにウィーンフィルと全く逆ですね。

さて、コヴァーチュが登場しました。
指揮棒をもっていません。また指揮台も使いません。声楽曲への造詣が深いのかしら。
最初の曲は、リストのハンガリアンラプソディ第2番。
手慣れた演奏です。さすがお国もの。
でも、響きが少し薄い感じがします。まだホールの空気がこなれていないせいかなぁ。

前半のメインは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。
小管さんは、鮮やかな赤のドレスで登場しました。
5月のラ・フォル・ジュネ・ジャポンで聴いたモーツァルトが、彼女としてはいささか残念な結果だったので、私としては一抹の不安を持っていましたが、まったくの杞憂でした。

とにかく、上手い!
とくに第3楽章は「天馬、空を行く」という感じの演奏で、音楽する喜びに溢れていました。
ピアノを弾きながらも、オケの音を絶えず身体で感じながら演奏するその姿は、それだけでも聴き手を魅了します。
今まで、モーツァルトの21番、ベートーヴェンの3番、チャイコフスキーの1番と3回彼女のピアノコンチェルトを実演で聴きましたが、いずれもほんとに素敵でした。私の中では、早くも「小菅優のピアノコンチェルトは、絶対聴くべし」というイメージが定着しました。
盛大な拍手に応えて、アンコールではラフマニノフの6つのモーメントミュージカルから第1番を聴かせてくれました。
何と詩的で美しい表現!
15歳の時にレコーディングもしている彼女の得意のレパートリーですが、間のとり方や弱音の表現力等さらに成長した音楽を聴かせてもらって、本当に嬉しかった。
これなら、今夏ザルツブルクで大評判だったことも頷けます。

後半は、ブラームスの一番。
前半とは明らかに響きが違います。
オーケストレーションの差もあるのでしょうが、奏者達のテンションも明らかに高くなっています。
悠然としたテンポに、やや濃厚な表情づけ。
第2楽章では、ブラームスから首席に座ったオーボエが抜群に上手い。
素朴な響きが美しい第3楽章を経ていよいよフィナーレへ。
そして、ホルンが活躍するあの有名な場面にさしかかりました。
ここまで、少々不安を感じさせたホルンだけに、「何とか、ここは頑張ってくれ!」
まさに祈りにも似た気持ちで、ホルンソロを待ちます。

決まった・・・。そのあとのフルートも素晴らしいぞ。
こんな演奏が出来るのなら、もう少し前からやってくれたらもっと良かったのに・・・。
あとは一気呵成に力強くエンディング。

コヴァーチュの指揮は、全体をしっかり見通した上で、緻密にテンポ設定を行うので、聴き手は安心してブラームスの世界に浸ることが出来ました。

アンコールは、次の2曲。
・ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
・ベルリオーズ:ラコッツィ行進曲
とくに、ハンガリー舞曲の濃厚なロマンチシズムは、大いに泣かせてくれました。

彼らがオーケストラピットに入ったときのオペラも、是非聴いてみたいなあ。
でも、ちょうど来日公演が終わったところなんですよね。
いつもの悪魔が横で囁きそうだったのですが、残念!(笑)


コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする