ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

小澤&サイトウキネンのブルックナー交響曲第7番

2005-05-06 | BS、CS、DVDの視聴記
先日の健康診断で再検査を指示されたので、今日は午後から休みをとって診療所へ。
今日の診察では特に大きな異常は見られないとのことでしたが、不整脈のチェックのため、後日「24時間心電図検査」を行うことになりました。
(まる一日、携帯用の器具を装着して検査するらしいですが、うっとしいなぁ!)
まあそんな関係で早めに帰宅できたので、昨日みー太さんの記事を読んで気になっていた「小澤征爾&サイトウキネンのブルックナー7番」を、録画しておいたDVDで見直しました。


<曲目>
マルタン:7つの管楽器とティンパニ, 打楽器と弦楽合奏のための協奏曲
ブルックナー:交響曲第7番ホ長調

<演奏>
小澤征爾 指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ
(2003年9月10日、長野県松本文化会館)

ブルックナーの交響曲のなかで、抒情的な第7番は小澤征爾にもっとも合った曲だと思います。
とにかくブルックナーとしては異質なくらい透明感が高い。それが清潔なフレージングと相まって、独特の抑制された美しさを醸し出しています。このスタイルは強いていうとジョージ・セル&クリーブランドに似ているかもしれません。違いは、メリハリを含めた陰影のつけかたが、セルのほうがはっきりしていることでしょうか。
第1楽章の冒頭から、とくに弱音の弦楽器が美しい。響きが本当に透明。
第2楽章はあの名手バボラクがワーグナー・チューバを吹いています。やはりホルンを含めた金管の響きが見事。でも第1楽章で感じた「透明感」が、この楽章でも印象に残ります。フィナーレでは最後に大きなクライマックスを築きますが、どんな場合も決して音が濁らない。これもこのコンビの特徴です。

どの楽章もどのフレーズも、オーケストラのひとりひとりが、小澤征爾の棒を信じきって一心に演奏していることが本当によくわかります。
今回のブルックナーは、徹頭徹尾オザワとサイトウキネンのスタイルだと言えるでしょう。このスタイルを受け入れられるかどうかで評価が決まるのではないでしょうか。一部の評論家が言うような、無機的、冷たいという評は正しくないと思います。
ただ、みー太さんがコメントされているように、ブルックナー特有の「オーラ」が不足していることも事実です。コクがうすいというのかなぁ。これは、先ほどの「決して音が濁らない」ことと無関係ではないかもしれません。
私もこの演奏、心が洗われるような素晴らしい演奏だとは思うのですが、「オマエは本当のところどうなんだ?」と問われたら、マイベストにはならない。やはり無色の演奏より、何らかの色がついている演奏が好きなんでしょうね。たとえばウィーンフィルやドレスデン・シュタッツ・カペレのような。

でも、このオーケストラのメンバーは、さすがにすごいですね。
世界で活躍する桐朋時代の盟友や後輩が名を連ねる弦楽器群、ライスター、宮本文昭、工藤重典という豪華な管楽器、バボラク、モリソン等のブラス、加えて小澤が最も信頼するティンパニストのファース。
このビッグネーム達が、世界の小澤と気持ちを一つにしてひたすら演奏している姿は、やっぱり感動します。


コメント (2)
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