ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

コーガンの室内楽

2005-05-11 | CDの試聴記
レオニード・コーガン。
初めてコーガンを聴いたのは高校生のときです。17センチLP(こんなLPが何故か我が家にあったのです)で、曲はクライスラーの小品集でした。当時くずした弾き方も多かったなか、スタイリッシュな演奏が大変新鮮に感じたことを覚えています。
今回聴いたCDは、若き日のコーガンがギレリス等と組んで演奏した室内楽コンサートのライブ録音です。

<曲目>
ブラームス:ホルン三重奏曲
ジュリアーニ:セレナーデop19
フンメル:セレナーデ№1

<演奏>
L.コーガン(Vn)、ギレリス(P)、シャピーロ(Hr)、イヴァノフ=クラムスコイ(g)他
(1951年:mono)

ブラームスのトリオは、びっくりするくらいコーガンの音が生々しい。
ライブらしく、コーガン、ギレリスともに情熱を秘めた好演。ただ、ホルンのヴィブラートがいかにも目立ちすぎ。これがロシア風なんでしょうか。
次の2つのセレナーデは、あまり演奏されない曲だと思います。
まずジュリアーニのセレナーデ。
ジュリアーニは、自身イタリアのギターの名手で、作曲家としても華麗なギター独奏曲やコンチェルトを書いています。
この1951年当時に、クラシックギターを含めた室内楽、とくにジュリアーニというギター関係者以外はほとんど無名の作曲家の曲が、コーガンのような大物を交えて演奏されたことに驚きを覚えます。(いやギター弾きの立場から言うと、本当は嬉しくてたまらないのですが・・・。)
でも、この1951年といえばコーガン27歳、エリザベート妃国際ヴァイオリンコンクールで優勝した年です。若々しくって当然ですね。
しかし、しかしです。肝心のギターが弱い。弱すぎる・・・。
アンサンブルの妙味と言うものは感じさせてくれませんでした。(残念!斬り!)
最後のフンメルのセレナーデは、ずっと楽しめます。
ピアノ・フルートが入ったことも一因だと思いますが、ずっと華やかな曲想です。
モーツァルトの魔笛(モノスタトスのアリア)のアリアではじまり、最後はフィガロの結婚序曲で終わります。「気のおけない仲間同士が、楽器をもって、思いっきり楽しむ」という、まさにハウスムジークそのものですね。これは楽しく聴かせてもらいました。

そういえば、1951年という年は、フルトベングラーがバイロイトであの有名な「合唱」を指揮した年でもありました。
感動させる音楽、神がかり的な音楽、その一方で音楽仲間が集まって楽しむ音楽、いろいろありますよね。

ところで、今回ご紹介したこのCDは、韓国のYedang Classics(イエダン・クラシックス) から発売されているもので、いまタワーレコードでバーゲン中です。お値段はあっとおどろく1枚590円です。
ロシアの名演が多く含まれており、スベトラーノフのミャスコフスキーの交響曲など面白いアルバムもありますよ。
一度ご覧になられたらいかがでしょうか。
音質、ジャケットの装丁も、結構いいです。

コメント (4)
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