岐阜県の、しかも私が疎開生活を送った大垣の出身だという。知らなかった。
別に地元だというわけでコンサートに行ったわけではない。
いじましい話だがそのチケットが500円という異例のお値打ちだったからだ。
これで土曜の午後をノンビリ過ごせたらいいではないか。
紅葉しはじめた樹木とサラマンカ裏手
他にも理由はあった。このひと、ショパンなども弾くが、どちらかというとロシアの作曲家を得意とするというのだ(モスクワ音楽院国際サマースクール、最優秀で卒)。さらにいうならば、弾く曲についてのトークを混じえてのコンサートだともいう。
まさに昼間のコンサートにはふさわしいかも知れない。
結果をいうなら予想以上に楽しく、しかも後半はグンと聴かせ、ようするに当たりのコンサートであった。
期待を込めてホールへのエスカレータを登る
プログラムは最初はショパン。これは今年がショパン・イヤーだからだろう。
小品三曲を弾いたが、いちばん厚みのある「幻想即興曲 嬰ハ短調」が最も聴き応えがあった。
後はロシア音楽。チャイコフスキー(一曲)とラフマニノフ(三曲)で前半の終わり。
ラフマニノフでは「前奏曲 嬰ハ短調 op3-2 鐘」が良かった。
余談だが、浅田真央さんがバンクーバーのフリーで使った曲である。この重厚な曲は、その折、真央さんのイメージとは少し違うような気がしたものである。同じ「鐘」ならパガニーニのものか、そのピアノ版(リスト)の方が似合っている感じがする。
サラマンカホール ロビー
さて木曽さんのトークであるが、これがうまいのだ。涼やかな声で、曲の解説などを行うのだが、一般的な知識にとどまらず、彼女の実体験に基づく話はとても説得力がある。
くわえて、とても研究熱心であるようで、何でも体験しようとする積極さに溢れている。
例えば、ラフマニノフを弾くに際しては、彼と深い関わりのある村の博物館などを訪れ、曲のイメージを膨らませるなどしている。
さらに、ムソルグスキーの「展覧会の絵」を弾くに当たっては、彼の生誕地を日本人の単身では初めて訪問し、それが荒涼たる地であることを身をもって感じたりしている。
ホール入り口 ここから先は撮影禁止
なお、「展覧会の絵」の画家(ムソルグスキーの親友にして31歳で夭折したヴィクトル・ガルトマン この曲がその遺作展をテーマにしていることは周知の通りである)の絵画を、その曲に対応させながら鑑賞し、分析し、この二人の芸術家の関係を跡づけてゆくくだりはなかなかの熱弁であった。
さらには、この曲の彼の自筆の楽譜を見にも行ってもいる。当時のムソルグスキーは、親友に先立たれ、音楽仲間との軋轢やオペラ(「ボリス・ゴドゥノフ」か)の初演の不成功などもあって、重度のアルコール依存症であったという。
そのせいで、その楽譜はワインの飛沫や手垢での汚れをいっぱい残しているのだそうだ。
それだけその作曲家にのめり込み集中しているだけあって、MC抜きの演奏だけの後半、「展覧会の絵」は入魂の演奏で、厚みのある豊かな音を紡ぎ出していた。
私は、正直言ってピアノの技量などを評価できるほど鍛錬された聴き手ではないが、この演奏はとてもよかったと思う。
当日のパンフと入場券
彼女自身がそのブログで、
「最後の『展覧会の絵』では天国でムソルグスキーとガルトマンが 仲良く手を取り合っているのが見えるような、そして会場全体がムソルグスキーの想いにひとつになっている感じがして、弾き終えた時には 感激で涙をこらえるのに必死で、しばらく立ち上がれませんでした」(一部改行や表記を編集)
と述べている。
確かに最後の「キエフの大門」辺りでは、亡き友・ガルトマンへのレクイエムであると同時に、ムソルグスキー自身が、苦悩のうちにありながら、尚かつ敢然と生きて行こうとする決意のようなものが明確に表現されていたように思う。
彼女のHPから借用
木曽真奈美さんは弾いて語れて、尚かつ、絵になる演奏者であった。
思いがけぬいい演奏会で、至福の午後であった。
ところで、こんないい演奏会を岐阜県下でベストといわれるサラマンカホールで聴かせて、僅か500円の入場料というのはどういうことだ。
確かに満席状態だったが、あれならもっととっても客は入ると思う。
あれで500円では、演奏者に失礼では外科医、いや、ないかい?
責任者、出て来いっ!
(500円につられていったくせによく言うよ)
以下罪滅ぼしに・・・。
*木曽真奈美さんのHP
http://www.kisomanami.com/
*木曽真奈美さんのブログ
http://ameblo.jp/kisomanamiblog/
*今後のコンサート日程(本年分)
">・11月13日(土) 千葉市 木曽真奈美 アドバイスレッスン
・11月14日(日) 東京都中央区 ヤマハ銀座 木曽真奈美
トーク&コンサート(2回公演)
・11月19日(金) 横浜市 桐蔭学園 音楽講座
~青島広志氏の音楽なんでも帳~ 鵜川メモリアルホール
・11月20日(土) 大阪府大阪市 木曽真奈美 ピアノコンサート
・11月21日(日) 同上
・11月28日(日) 静岡市 木曽真奈美 ピアノコンサート
・12月5日(日) 東京都
サイ・イエングェン プライベートコンサート
・12月6日(月) 東京都世田谷区 日本フィル学校コンサート
・12月12日(日) 茨城県水戸市 2回公演
木曽真奈美<ピアニストコミュニケーションコンサート>
・12月14日(火) 東京都・エドモンドホテル
サイ・イエングァン クリスマスディナーショー
別に地元だというわけでコンサートに行ったわけではない。
いじましい話だがそのチケットが500円という異例のお値打ちだったからだ。
これで土曜の午後をノンビリ過ごせたらいいではないか。
紅葉しはじめた樹木とサラマンカ裏手
他にも理由はあった。このひと、ショパンなども弾くが、どちらかというとロシアの作曲家を得意とするというのだ(モスクワ音楽院国際サマースクール、最優秀で卒)。さらにいうならば、弾く曲についてのトークを混じえてのコンサートだともいう。
まさに昼間のコンサートにはふさわしいかも知れない。
結果をいうなら予想以上に楽しく、しかも後半はグンと聴かせ、ようするに当たりのコンサートであった。
期待を込めてホールへのエスカレータを登る
プログラムは最初はショパン。これは今年がショパン・イヤーだからだろう。
小品三曲を弾いたが、いちばん厚みのある「幻想即興曲 嬰ハ短調」が最も聴き応えがあった。
後はロシア音楽。チャイコフスキー(一曲)とラフマニノフ(三曲)で前半の終わり。
ラフマニノフでは「前奏曲 嬰ハ短調 op3-2 鐘」が良かった。
余談だが、浅田真央さんがバンクーバーのフリーで使った曲である。この重厚な曲は、その折、真央さんのイメージとは少し違うような気がしたものである。同じ「鐘」ならパガニーニのものか、そのピアノ版(リスト)の方が似合っている感じがする。
サラマンカホール ロビー
さて木曽さんのトークであるが、これがうまいのだ。涼やかな声で、曲の解説などを行うのだが、一般的な知識にとどまらず、彼女の実体験に基づく話はとても説得力がある。
くわえて、とても研究熱心であるようで、何でも体験しようとする積極さに溢れている。
例えば、ラフマニノフを弾くに際しては、彼と深い関わりのある村の博物館などを訪れ、曲のイメージを膨らませるなどしている。
さらに、ムソルグスキーの「展覧会の絵」を弾くに当たっては、彼の生誕地を日本人の単身では初めて訪問し、それが荒涼たる地であることを身をもって感じたりしている。
ホール入り口 ここから先は撮影禁止
なお、「展覧会の絵」の画家(ムソルグスキーの親友にして31歳で夭折したヴィクトル・ガルトマン この曲がその遺作展をテーマにしていることは周知の通りである)の絵画を、その曲に対応させながら鑑賞し、分析し、この二人の芸術家の関係を跡づけてゆくくだりはなかなかの熱弁であった。
さらには、この曲の彼の自筆の楽譜を見にも行ってもいる。当時のムソルグスキーは、親友に先立たれ、音楽仲間との軋轢やオペラ(「ボリス・ゴドゥノフ」か)の初演の不成功などもあって、重度のアルコール依存症であったという。
そのせいで、その楽譜はワインの飛沫や手垢での汚れをいっぱい残しているのだそうだ。
それだけその作曲家にのめり込み集中しているだけあって、MC抜きの演奏だけの後半、「展覧会の絵」は入魂の演奏で、厚みのある豊かな音を紡ぎ出していた。
私は、正直言ってピアノの技量などを評価できるほど鍛錬された聴き手ではないが、この演奏はとてもよかったと思う。
当日のパンフと入場券
彼女自身がそのブログで、
「最後の『展覧会の絵』では天国でムソルグスキーとガルトマンが 仲良く手を取り合っているのが見えるような、そして会場全体がムソルグスキーの想いにひとつになっている感じがして、弾き終えた時には 感激で涙をこらえるのに必死で、しばらく立ち上がれませんでした」(一部改行や表記を編集)
と述べている。
確かに最後の「キエフの大門」辺りでは、亡き友・ガルトマンへのレクイエムであると同時に、ムソルグスキー自身が、苦悩のうちにありながら、尚かつ敢然と生きて行こうとする決意のようなものが明確に表現されていたように思う。
彼女のHPから借用
木曽真奈美さんは弾いて語れて、尚かつ、絵になる演奏者であった。
思いがけぬいい演奏会で、至福の午後であった。
ところで、こんないい演奏会を岐阜県下でベストといわれるサラマンカホールで聴かせて、僅か500円の入場料というのはどういうことだ。
確かに満席状態だったが、あれならもっととっても客は入ると思う。
あれで500円では、演奏者に失礼では外科医、いや、ないかい?
責任者、出て来いっ!
(500円につられていったくせによく言うよ)
以下罪滅ぼしに・・・。
*木曽真奈美さんのHP
http://www.kisomanami.com/
*木曽真奈美さんのブログ
http://ameblo.jp/kisomanamiblog/
*今後のコンサート日程(本年分)
">・11月13日(土) 千葉市 木曽真奈美 アドバイスレッスン
・11月14日(日) 東京都中央区 ヤマハ銀座 木曽真奈美
トーク&コンサート(2回公演)
・11月19日(金) 横浜市 桐蔭学園 音楽講座
~青島広志氏の音楽なんでも帳~ 鵜川メモリアルホール
・11月20日(土) 大阪府大阪市 木曽真奈美 ピアノコンサート
・11月21日(日) 同上
・11月28日(日) 静岡市 木曽真奈美 ピアノコンサート
・12月5日(日) 東京都
サイ・イエングェン プライベートコンサート
・12月6日(月) 東京都世田谷区 日本フィル学校コンサート
・12月12日(日) 茨城県水戸市 2回公演
木曽真奈美<ピアニストコミュニケーションコンサート>
・12月14日(火) 東京都・エドモンドホテル
サイ・イエングァン クリスマスディナーショー