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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

逆流する川を見つめて(1)

2013-09-04 00:45:27 | よしなしごと
                                   写真は内容とは関係ありません。最近見かけた廃屋(1)

 あ、ピクピクッと動いた。こいつ生きているなと思った。夢の中でである。
 なんのことはない、動いたのは私の脚が痙攣したからで、それで目覚めた。
 こんな目覚めがいいはずがない。
 気付いたらここ3、4日、ほとんど家からでていない。
 そのせいか体調も良くない。
 目覚めの不快感もそのせいだろう。

 心機一転、所用を兼ねて雨のなか、徒歩で出かけた。
 結論をいうと、その所用はうまく果たせなかったのだが、さほど強くない雨のなか、歩くのはそんなに悪くはない。見慣れた風景が、ちょっと濡れるだけでずいぶん違って見える。
 ♪ Just walking in the rain ♪である。

 帰途、いつも見ている川を渡る橋へとさしかかった。
 こういう場合、川を覗きこむのが私の習性である。
 何か生き物の姿を見つけたりすると楽しい。
 この前、ここにさしかかったときは、親子か雌雄か分からないが、大きさの違う二匹の亀がじゃれ合うようにして泳いでいるのを見た。

 今回もそれを期待して覗きこんだが、やはり雨で濁っているせいで何も見えない。幾分増水した水面を木の葉や雑草などが流れてゆくのが見えるばかりだ。
 諦めて帰ろうとしたとき、不意にある違和感に襲われた。
 この川は、私がこの辺に住むようになって以来、約半世紀近くの間見慣れてきたのだが何かが違うのだ。

 やがてその違いがわかった。
 逆流しているのだ。
 いつもとは逆の方向へ流れているのだ。
 この川はやがて長良川へと至り伊勢湾へ達するのだが、そこまでの距離は数十キロほどある。
 したがって、潮の干満や、ましてや津波などのせいでもない。

 ここから一キロほど北東の上流でもっと大きな川に水門で繋がっていて、そこから取水し、南西方向へ流れるのがこの川の通常である。ここより少し上流でも、また下流でもいつもその方向へと流れている。
 しかし、今日は明らかに逆の方向に流れているのだ。
 大げさにいえば、平清盛がまさに西の方に沈みゆく太陽を、金の扇をかざし「返せ、戻せ」といったら中空へと戻ったというほどの天変地変ともいえる。

 しかし、ん?とは思ったが、さほど驚いたわけではない。
 やがてその理由がわかったからである。
 ここまででもう十分長くなった。
 この続きは次回。

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