*写真は右往左往の道中で見かけた花々と光景など
車を持っていると車検という制度をクリヤーしなければならない。
私のように10年を経過した軽のポンコツだと2年に一回が義務付けられている。
来月はじめに期限切れということで、予め予約しておいた業者のところへ出かける。
基本的な車検料金の他に、「追加作業項目」について見積りをとる。
しばらく待つうちにその見積もりがやって来る。
基本的な車検料の他に約70,000円がかかるという。
こちらのコンセプトは、いつ免許返上をしてもおかしくないのだから、安全に関わる最低限の項目以外は拒否というもの。
その観点でチェック。
「これは?」
「消耗品でいずれ必要になりますから」
と、甘いマスクのおニイさんがにこやかに答える。
「ではそれはなくなった時点で補充しますから結構です」
と、にべない私。
「この18,000円は?」
「ヘッドライトが明るくなるコーティングです」
「夜間はあまり運転しませんから」
と、即却下。
といったことで約40,000円をカット。
結局、1)基本料金 16,524 円(初回利用、代車不要で7,000円の割引)
2)税金や自賠責保険などの法廷諸費用 32,770円
3)値切り倒した追加作業分 30,672円
締めて合計 79,966円(66円は切り捨て)
まあまあ妥当なところだろうと帰途に。
代車を断ったので、やや強めの春風のなか、できるだけ田園風景が残っているコースを選んで歩く。
燕が飛び交い、五分咲きの桜を始め、様々な花が咲き誇っている。
雀、椋鳥、鵯それに名も知らぬ水鳥も多いが、カラスだって絵になる。
途中、加納藩の城址に立ち寄る。
この近くに住んでいたことがあるので懐かしい。
今は石垣のうちは公園になっているが、私の子供の頃は米軍が接収し、駐留していて、大手門と反対側の搦手門には憲兵が歩哨に立っていて近寄るのが怖かった。
何組かのファミリーが、お花見をしていた。
一輪車に乗っていた女の子と、それに伴走していた妹と思しき女の子が近づいてきて、「コンニチハ」と元気で挨拶をしてくれる。
「コンニチハ」と返して「上手だね」と声を掛ける。
伴走していた妹のほうが
「これはね、*+@>?、&%$#<・・・・」
と、一生懸命説明してくれるのだが、息せき切って走ったきたせいもあって、何をいっているのかよくわからない。
でも、彼女に失礼にならないように、
「そうなの。いろいろ教えてくれてありがとう」
と、言ったら
「サヨナラ。またね」
と、いってくれた。本当にまた会いたいものだ。
65年前の今頃、卒業した中学校の前を通りかかる。
度々来るのだが、懐かしさはいっさいない。
当時を偲ぶよすがになるようなものや面影がまったく残っていなからだ。
周りの風景にしてからそうだ。
川に沿った道を歩く。
軽鴨、白鷺などに混じって哲学する亀を見かける。
春風がいざなうさざなみを見ながら、彼は思考する。
波は実在するものだろうか、それとも単なる現象か。
移ろい現れるものが現象だとしたら、われらが生もまた振幅の大きな波であり、実在を装った無ではあるまいか。
そこへ、そうした思考とは無縁の日常性を背負った軽鴨が通りかかる。
どうやら対話はないようだ。
遠回りも含めてゆっくり歩いたせいで、小一時間かかって帰宅。
さて、ゆっくりお茶でもするかと玄関を開けようとするが、ん?鍵がない。
ポケット、カバン、すべてを探したがないっ!
はっと気づいた。
車検の業者に車のキーを渡す折、家の鍵もついたまま渡してしまったのだ。
もう一度歩くのもしんどい。
ならば自転車でと思ったが、嗚呼、自転車の鍵も家の中だ。
なんとか自宅に侵入できないかと試みる。
玄関や窓など、侵入口は数箇所ある。
しかし、どれもだめだった。
わが家の防犯体制は意外としっかりしている。
ったって、プロのピッキングにあったらひとたまりもないだろうが。
諦めて、業者への道を歩き始める。
もう花鳥風月を嗜む余裕はない。
ひたすら歩く。そして帰途も。
嗚呼、ナンタルチア!
かくてまた、約2キロの往復。
おかげで今日の歩行距離はその他も含めて約8キロ。
歩行計の記録は約14,000歩余。
思いがけない運動になったはやせ我慢。
80歳の身にはけっこうしんどい。
筋の通った粘り。気力、体力とも素晴らしいです。